「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

             カストリ焼酎

2008-09-10 05:17:23 | Weblog
先日、東京の老舗の”どぜう”屋で"カストリ焼酎”を飲んだ。"カストリ焼酎”と
いっても知らない世代が多いはずなのにと思いながら、つい名前の懐かしさ
につられて飲んでみた。戦後まだまもないころ、一般にはまだ酒が手に入らず
飲兵衛は"第三国人”が密造した粗悪な焼酎を闇市で求めて飲んだ。これが
”カストリ"焼酎だ。それが何故また今"カストリ焼酎”なのか。酒造会社の宣伝
文句によれば、名前がレトロ調だかららしい。当時を知る世代だったら、とても
こんなネーミングは出来ない。

今、市販されている"カストリ焼酎"は、文字通り酒粕から醸造したもので粗悪
品ではないが、僕には米粉加工会社三笠フーズの心ない商行為で、またもや
焼酎の”カストリ”時代が到来しなければよいがと心配している。昔、”カストリ”
が飲まれた時代には、”カストリ”は、焼酎だけでなく「粗悪品」の代名詞 として
使われていた。例えば”カストリ雑誌”といえば、内容がエロ、グロで安い紙の雑
誌をさした。

焼酎はもともと安サラリーマン向けのサケだった。昭和30年代までは低コースト
で大量生産できる甲種焼酎が中心で、これに梅やブドウ液をわって飲むのが普
通で、一杯30円ぐらいだった。今の焼酎ブームは50年代に入ってからだ。味気の
ない甲種に代わってイモ、麦、そばなどを使った乙種に人気がでてきてからだ。
僕も外で飲むときは、イモ焼酎のお湯割りだ。

三笠フーズの粗悪米の中には、中国からの農薬漬の危険なものもあったらしい。
これを使用した酒造会社の中には、地元の「山田錦」使用を売り物にしていたメー
カーもあった。酒造会社はいっせいに回収を始めたようだが、事,食に関する問題
である。昔、”カストリ”時代には、メチルアルコールを飲んで失明者が続出した。
監督官庁は厳重に対応してもらいたい。