「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

        秋がきても”秋”を感じない東京

2008-09-24 04:52:05 | Weblog
”暑さ寒さも彼岸まで”-というが、昨日の東京はまだ残暑が厳しく秋の気配は
感じなかった。でも夜になれば、さすがに虫の声が聞こえてくる。▽あれ松虫が
鳴いている。チンチロチンチロ チンチロリン あれ鈴虫も鳴き出した。リンリンリ
ンリンリンーあの風情はないのだがやはり秋である。

東京でも昔は彼岸の頃になると、街にも赤トンボが現れ、子供たちは竿をもって
追いかけまわしたものだ。が、今年はわが家の周りにはその姿がみえない。”秋
の日ざしを浴びて軽く羽を休ませる野辺の花”がなくなってしまったからかもしれ
ない。

メールの普及からか、あまり関係のないはずの僕らの世代でも手紙のやり取りが
少なくなってきた。昔は”灯下親しむの候”とか”柿の実が日ごとに色ずき”とか”天
高く馬肥ゆ”といった手紙の常套句があったが、すっかり使われなくなってしまった。

明治の日本にはこんな秋もあった。
          ○ 田舎の四季(堀沢周安 作詞 尋常唱歌)
        二百十日もことなく済んで 村の祭りの太鼓がひびく
       稲は実がいる日よりはつづく 刈って広げて日に乾かして
       米にこなして俵に詰めて 家内そろって笑顔に笑顔

こんな風景は今でも日本に残っているのだろうか。”食の安全”なんていわなかった
時代である。