「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

     日本遺族会の無神経 海外慰霊碑の整理事業

2008-09-13 05:22:27 | Weblog
日本遺族会(会長古賀誠自民党選挙対策委員長)が今、厚生労働省の委嘱を受けて
海外にある「民間建立慰霊碑整理事業」を行っている。この事業を平たくいえば、かっ
て激戦地であった地に、戦後戦友や遺族の建てた慰霊碑を”整理”つまり壊そうという
のである。日本遺族会といえば、戦争で家族を犠牲にされた方々の会なのに、なんと
も無神経である。

数日前、知人のところへ遺族会の調査団の二人が、現地を調査したという報告書を
持ち、”整理”したいと了解を求めにやってきた。戦争末期、激戦地であった地に戦後、
日本、豪州、現地のの関係者が集まって慰霊祭までやって建てた碑である。たまたま
三基ある一基が台座だけになっているのを見つけ、これを海中に投棄するか土に戻そ
うというのである。

この三基の碑は、現地の方の私有地に建てた碑である。ところが現地調査団は了解も
なく敷地内に入り、報告書にはなんと、所有者”死亡”と死亡年月まで記している。
報告書を受けて、日本の関係者が早速、所有者の家族に連絡したところ、毎日元気で
働いています、とのこと。こんな報告書に基づいて”整理”したら大変なことになるところ
だ。豪州からも毎年、巡礼団がやってくるとのこと。日本政府がこれを壊したとなれば国
際問題にもなりかねない。

何故、厚労省がこのような民間の慰霊碑を整理するのか解らない。どこの地の慰霊碑
も生還できた戦友や遺族たちが、犠牲者の慰霊のために心をこめて建てたものである。
まだ当時の関係者も沢山元気でおられる。もともと、この地の慰霊碑の所在は知人が
一覧にして厚労省に提供したものだ。言ってみれば、建立者も現地管理者もはっきりし
ているものだ。なぜ高い調査費を支払いこんなズサンな調査をするのか。税金の無駄
使いだ。

調査団の報告で聞き捨てならないのは、慰霊碑の一つが現地政府の博物館で保存して
頂いているが、”入場料を支払ってまで入れるか”と現地まで行きながら参拝しなかった
とのこと。先日のテレビ対談で日本遺族会の古賀会長は、政治から手をひいたら妻と海
外慰霊碑の巡拝するのが夢だと語っていたが、早く政治から手を引かれないと慰霊碑は、
自分の会によって壊されてしまいますよ。