「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          神輿がかつげなかった世代

2008-09-21 05:34:17 | Weblog
台風一過とまでは行かなかったが、東京にも秋空が戻り、昨日今日、わが町も秋祭り
で湧いている。朝早く僕より背の高くなった孫が北海道から着いたばかりのカボチャを
届けにやってきて”今日からお祭りだよ”と老妻の前にぬーっと手を出した。小遣いの
せびりである。

齢をとると、残念ながら祭りの笛太鼓を聞いても心はあまり”勇み”たたなくなってきた。
想い出の中でのお祭りだけだ。それも幼児だったころ、山車をひいて菓子の入った紙袋
を貰ったぐらいだ。考えてみると、僕らの世代はお神輿をかついたことがない。子供御輿
の頃は戦争の真っ最中、戦後の青年期には食糧難で御輿を担ぐ元気などなかった。

老妻が昼間、神社を参拝すると、千円の小遣いを貰った孫が、商店街の肉屋の前で友
だちと一個30円の揚げたてのコロッケを食べていた。境内で売っているお祭りらしいソー
セージなど食べればよいものをと思うが、そこがやはり子供なのだろう。あるいは”食の
安全”に賢くなったのかー。

本殿までの境内の両側には、昔ながらの露天が並んでいた。が、僕らが子供のときには
人気のあったハッカ・パイプ屋や、女の子が口で鳴らしていた海ほおづきを売る店もなか
った。金魚すくいの店はあったが、一回500円では、ただ眺めていることにした。お神楽の
舞いを眺めながら、御輿の担げなかった、あの過酷の時代を回想し、平和の有り難さに
改めて感謝した。