「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          "大東亜”の国々の歴史理解

2009-05-16 06:59:17 | Weblog
観光客で賑うバリ島のクタ海岸の沖合いに日本の沈船があって、現地のガイドが
戦争中、沈められた日本の軍艦だ、と説明していると従軍世代の人から聞いた。
緒戦に「バリ島沖海戦」はあったが、海岸に近いこんな沖合いではない。沈船は昭
和40年代、賠償引当援助で日本が建てたホテルで使用したコンクリート運搬船らし
いのだが。戦後60余年も経つと、こんな話も出てくる。

戦争中「大東亜共栄圏」建設の中で育った銃後の小国民に世代にとって、最近”懐
かしい”国の名前が二つ新聞紙上に出た。一つはミャンマー(旧ビルマ)のスーチー
さんが再び軍事政権によって訴追され、自宅軟禁が延長されるのではないかという
ニュース。他の一つはスリランカ(旧セイロン)の内戦で民間人が”人間の盾”に使用
されているのではないかという懸念だ。

このうちミャンマーのスーチさん問題について、小ブログは彼女の父親、アウンサン将
軍が戦争中、日本に亡命、そのごBIA(ビルマ義勇軍)指導者として日本軍と共に首都
ラングーン(ヤンゴン)を陥れたと書いた。スーチーさん問題とは直接関係ないのだが、
僕らの世代にとっては、戦争中の日本軍政の失敗の反省もこめて、同国の混乱を同情
的な目で見た。

スリランカについても同じ視点だ。かって英国の植民地時代の昭和17年6月、日本の海
軍機動部隊が首都コロンボと軍港トリンコマリを爆撃し被害をだしている。これも現在の
内戦には関係はないし、単なるノスタルジアで書いているのでもない。相手国との過去
の歴史の理解の一助になればよいと思うからだ。

戦後のわが国の歴史教育の中で、戦争中の出来事が欠落している。先の戦争が侵略
戦争であったとか、大東亜共栄圏建設のための聖戦だったかという以前の問題である。
戦後の世代は、これを知らないため、アジアの国々の人たちと同じテーブルで同じ話し合
いが出来ず、いたずらに卑屈になって謝罪したり、逆に傲慢な発言も出てくるわけだ。