「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         110年前の「谷根千」のわが家

2010-05-08 05:21:33 | Weblog
先日,夕方のNHKテレビの首都圏ローカル番組を見ていたら「谷根千」の最新情報が
紹介されていた。「谷根千」とは東京の地名、谷中、根岸、千駄木の略で、関東大震
災、東京大空襲があったにもかかわらず、古い街並が一部残っており、数年前から、
若者を中心にブームになっている地域だ。

わが家も明治30年代に「谷根千」の一角、東京府下日暮里大字金杉150に住んで
いた記録が残っている。110年も前の昔のことだ。古文書を調べていたら、遠縁の人
が昭和17年に、その当時のわが家の模様と「谷根千」の様子を回想して書いた一文
が見つかった。

「K家は谷中御院殿下上根岸の音無川のほとりにあり、庭は広く樹木が生い茂り邸内
には池があって、井戸が二つあった。藁葺き屋根ながら風致があり、門前には藤井福
次郎さんという農家があった。家の後方には牧場があって遠く三河島の農村まで望見
できた。夏には音無川で蛍狩りが出来、春には近くの鴬春亭で鴬の会、肴屋では高価
な万年青(おもと)の品評会が催された」

「谷根千」の内、とくに根岸は、明治時代まではJR「鶯谷」の駅名からもわかるように、鴬
のさえずりがする風雅の地で、文人墨客の住いが多かったようだ。徳川の幕臣だった祖
父は明治20年代までは下谷に住んでいたが、32年に根岸に引っ越している。遠縁の書
いたわが家の回想文によると、昭和10年代までは、農家の藤井さんの家は屋根はトタン
張りに替わっていたが、そのままだったという。今はどうなっているのだろうか。一度訪ね
てみよう。