「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         檀家とお寺との関係

2010-05-30 04:40:12 | Weblog
菩提寺の先代の梵妻が96歳のご高齢でお亡くなりになり、昨日老妻と一緒に葬儀に
参列した。わが家の菩提寺は東京の浅草にある。徳川時代からある古刹で、お寺の
前の墓地には、昔、修身の教科書に師弟愛として取上げられた江戸時代の地理学者、
伊能忠敬、高橋至時のお墓が並んでいるし、侠客、幡隨院長兵衛のお墓もある。

葬儀は午後1時からお寺の本堂で行われたが、今にも降り出しそうな空の下、正門か
ら本堂まで50㍍ほどの境内には行列ができ、一部は外の歩道にまではみだす盛儀で
あった。最近、東京などの都会では葬儀は年々簡素化され、家族葬や中には火葬場で
僧侶なしの密葬まであると聞くが対照的だ。

葬儀は人生最後のお祀りである。出来れば盛大に葬儀を行いたいが、葬儀にかかる費
用が高すぎる。数年前だが近所の人の勧めで、老妻が生前からの積み立て制による葬
儀会社に入会しようとして娘から叱られた。老妻としては、遺族に経済的な負担をかけさ
せたくないという気持からだったのだが。

わが家はごく一般的な仏教徒だと思っている。菩提寺といってもお墓参りするのは春秋の
彼岸とお盆だけだ。ただ、ここ数年は老妻がお寺の行うお施餓鬼とお十夜の法要には参
列することにしている。これだけのことだが、最低限のお寺さんとのお付き合いは出来て
いると僕は思っている。

よく人の死後、戒名代が高いとかお墓への埋葬代をめぐってお寺と檀家とのトラブルの話
を聞くが、ほとんどが普段、お寺さんとのお付き合いがない”檀家”のようだ。わが菩提寺
は明治維新という社会変革を経て、大正大震災、東京大空襲の被害にもあっているが、梵
妻のご葬儀の参列者の多いのに驚いた。檀家との関係がうまくいっているのだろう。