「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

座高測定の廃止と徴兵検査

2014-05-07 05:36:26 | Weblog
学校の健康診断で義務づけられていた座高の測定と蟯虫(ぎょうちゅう)検査が早ければ平成27年から廃止される。この新聞記事で、僕は座高の測定が1937年(昭和12年)、僕の小学校入学した年から始まり、この座高測定が徴兵を意識したものだったことを知った。戦前、徴兵は国民の義務であり、満二十歳の男子は、みな徴兵検査を受け、結果によって兵隊にとられた。検査の結果は甲種、第一乙、第二乙、丙種と四つに別れ、平時には徴兵されなかった丙種まで戦争末期には徴兵された。座高、平たく言えば胴の長さだが、これが長いほど健康だと、当時は信じられていたようで、学校での座高測定が始まった。

手文庫の中に僕の小学校の通信表(昭和13年度)が保存されていたので、確認すると「身体検査表」の中に座高が書いてあり、僕の座高は70.00センチとある。これは二年生の東京市の児童体育平均67・78センチより長く、四年生の69.6センチなみだ。このまま成長していたら、僕は座高の面では甲種合格であった。ちなみに、昭和15年度までは、成績表の表記は甲、乙、丙、丁で、操行(行儀)だけは優、良、不良評価であったが、何故か国民学校制に移行してからは優、良上、良下に変り、操行の表記はなくなっている。

昔の軍歌に”五尺の命引っさげて”(学徒出陣の歌)とあるが、徴兵検査甲種合格の身長の基準は五尺三寸(約1メートル60センチ)と言われていた。今なら小学校高学年の身長である。座高検査と同時に蟯虫検査も廃止になるそうだが、戦前は畑で下肥を使っているから、蟯虫ではなく、回虫が多いとされて検査が行われたが、容器がマッチ箱だった記憶がある。座高廃止から、忘れていた昔の事を思い出した。