「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

平成の「玉音」放送 理解できる陛下のご心情

2016-08-09 05:19:43 | 2012・1・1
昨日、天皇陛下の「お言葉」を71年前の同じ8月の昭和天皇の敗戦詔勅の「玉音」放送に想いをはせ、ダブらせながら、老妻と冷房のきいた茶の間で聞いた。昭和天皇の「玉音」放送は有史以来初めて聞く天皇の肉声で、僕は緊張しながら亡母と家の庭に掘られた防空壕の中で聞いたが、ラジオの雑音でほとんど理解出来なかったことを想いだす。

その点、今回の陛下の10分余のテレビ録画による「お言葉」は明快で、陛下のご心情がはっきり理解できた。僕ら夫婦は陛下より少し上だが、ほとんど同世代である。高齢化時代に入り、陛下自身も2回の外科手術もされ、身体に衰えを覚えるようになったというお言葉はよく理解できる。そのために憲法上での国民の統合の象徴として決められている国事が将来支障をきたすのではないかというご心配は痛いほどわかる。

陛下は「生前退位」という語句は使用されなかったが、「お言葉」にはそれが滲んでおられる。現在の憲法下の皇室典範では、天皇の存命中の退位は許されていない。しかし、天皇陛下のお言葉のように、憲法上規定されている象徴としての天皇の国事が出来なくなったらどうするのか。天皇のおっしゃるように公務の回数を減らすというものではない。

戦後、”人間宣言”されるまで、天皇陛下は「神」的存在であった。しかし、今は違う。天皇陛下の国事ご公務は80歳を過ぎた老人には激務すぎる。それに陛下は天皇終焉にまで配慮されている、天皇には国政機能がないのだから、安倍総理も述べているが、この天皇の「お言葉」を重く受けとめ、将来の天皇制度の在り方を早急に検討してもらいたい。