「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

台風10号と忘れかけ始められた「二百十日」 

2016-08-30 05:14:41 | 2012・1・1
戦前音楽の授業は「唱歌」といったが、僕が習った「唱歌」のうち好きな一つに「田舎の四季」(明治四十三年 尋常唱歌)がある。その中でも三番の歌詞が好きだ。
「二百十日も事なくすんで 村の祭りの太鼓が響く 稲の実がいる ひよりはつづく
 刈って広げて陽にかわかして 米にこなして俵につめて 家内安全 笑顔に笑顔」

「二百十日」という言葉を最近、あまり耳にしなくなった。ウィキペディアによると、雑節の一つで立春から数えて二百十日目の九月一日前後の日(今年は閏年なので八月三十一日)で、台風の襲来が多く、農家の厄日とされている。

戦前、日本の第一次産業(農林水産業)の就労者が七割から八割あった時代には、台風の襲来は日本の産業全体にとって大打撃であった。「田舎の四季」の中で表現されている農民の喜びはよく理解できる。が、今は農林業で働く人は、全産業の半分にも満たない。二百十日が忘れられ始めてきたのも無理はない。

東日本には、先日の台風九号に次いで十号が襲来した。東北の太平洋岸に台風が上陸するのは観測史上初めてであるという。五年前の東日本大震災で大被害を受けたばかりである。沿岸の護岸工事もまだ完全に修復されていないし、高潮の時期とも重なっているようだし心配だ。それに収穫前の稲は大丈夫なのだろうか。二百十日が、事もなくすんで貰うのを祈るだけだ、