「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

戦前夏休み 遠き日のカキ氷の想い出 スイ、小倉

2016-08-16 05:38:42 | 2012・1・1
戦前、小学生だった少年時代の遠い夏休みの想い出の中に、海水浴場の松林を抜けた十字路にあった、小さなよしず張りのカキ氷屋がある。「氷」と赤字した布の看板があり。風鈴が涼しげに音を立てている。中には手製のテーブルと椅子が幾つか置かれ、手拭の鉢巻姿のおじさんが汗を拭き拭き、鰹節すり器と似た道具の上に氷を載せて手を動かしている。種類はたいがい、イチゴ、メロン、レモンの三つだったが、甘い砂糖水の「スイ」といのもあり、一番値段が安かった。

今またカキ氷ブームだそうである。わが住む町は住宅街だが、土日だけ長い行列のできる「カキ氷屋」さんがる。元々は地元の老舗の和菓子屋さんだが、数年前からネット情報で有名になり、最近は電車に乗って食べに来る人もいる。近所に住みながら、まだ一度も食べていないが、カキ氷といっても昔のような庶民的な値段のものではなく、店の和菓子などをあしらった豪華なもので”おまかせ”は1000円もするという。

海辺のよしず張りとは別に、戦前東京には甘味専門の店が多くあった。母親や姉に連れられて餡みつやフルーツポンチなどを食べた記憶があるが、その中に小倉カキ氷もある。カキ氷に小倉(つぶ餡)を入れたもので、高価であり、また何故か少年には”おナカをこわすから”と食べさせてもらえなかった。その小倉のカキ氷を10年前ほど前、インンネシアのバンドンのAA会議博物館近くのホテル.ホーマンで食べた。メニューにも”Es okura "と記載されていた。このホテルは戦時中、日本軍の兵站ホテルだったので、その名残であろう。

和食ブームで、世界中どこへ行っても「SUSI」「RAMEN」があるそうだが、カキ氷もその有力候補である。といっても、南方の国ぐにには氷を使った同じようなものがあり、果たしてブームになるかどうかは不明だが。