戦前昭和の時代(正式には22年まで)初代天皇、神武天皇が崩御された4月3日の神武天皇祭は国の「旗日」であった。戦争中、東京の国民学校の生徒であった僕の脳裏には、今なお、桜満開の中、日の丸の国旗が門(かど)ごとに春風にはためいている風景が浮かぶ。御陵のある奈良県橿原では今も厳かに式典が行われてるが、あまり、一般国民の間では昔ほど神武天皇祭」の名前はは知られなくなった。
新元号「令和」が決まり、今上陛下の譲位、新天皇の即位の儀式も迫り、国民の間で伝統的な皇室の祭祀への関心が深まってきた。即位後初めての新嘗祭(にいなめさい)を大嘗祭(だいじょうさい)といい、即位の重要な儀式であることを僕は初めて知ったが、戦前の国の祝祭日は宮中の儀式に関連していた。1月1日の元始祭(元旦)から始まって春秋の皇霊祭(お彼岸)、10月17日の五穀豊穣に感謝する神嘗祭(かんなめさい)、11月23日の新穀を食する新嘗祭など。
宮中儀式にそって一般家庭が特別なことしたわけではないが、子供心に普段聞きなれない”嘗める”という言葉から皇室の儀式に変な親しみを持ったものだが、戦後、新憲法の下で、天皇陛下が国の象徴になって以来、こういった伝統的な皇室儀式が国民から遠ざかってきた感じがする。元号もそうだが、世界で今や一つのものだ。皇紀2679年の皇室の祭祀行事をもっと、大切にしてもよいのでは。