日本水泳選手権の男子1500m決勝を昨夕4時からのテレビ中継で見た。結果は平井彬嗣選手が15分080秒で優勝したが、世界選手権派遣記録の14分54.0秒に達しなかった。しかし、平井選手のこの記録は、戦後すぐの時代、古橋広之進、橋爪四郎両選手が世界記録を続発し”フジヤマのトビウオ”と呼ばれたのを知っている世代にとってはまさに驚異的だ。
70年前の昭和24年6月、まだ占領下の時代だったが、古橋、橋爪両選手は招かれて全米選手権に出場したが、その時の古橋の優勝記録は18分29.9秒、二位の橋爪は18分32.6秒で共に当時の世界記録であった。平井選手の記録はこれを3分以上も上回る。当時、大学1年で関東インカレの予選に出場したことがある僕からみれば、平井選手の記録は神業である。
敗戦で国民全体がうち虐げられていた時代だ。古橋さんの自伝を読むと、合宿所からリュックを背負って買い出しに行き、サツマイモを食べていた時代である。それなのに、一番体力が必要な1500m競泳で、二人が優勝を重ねたのか不思議である。二人の後も長距離競泳は日本の御家芸だったが、いつの間にか予選さえ通過できなくなってしまった。飽食が災いしたのであろうか。
来年の東京五輪では”フジヤマ.トビウオ”日本の復活をのぞみ金メダルを期待したい。それには世界舞台で挑戦させることだ。”派遣記録”という枠にこだわらず、有望選手は出場させることだ。