その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

初秋のサリー州を走る

2010-09-14 23:04:45 | ロードレース参戦 (in 欧州、日本)
 来月のアムステルダムマラソン出走に向け、遅まきながら本格準備開始です。この日は久しぶりのハーフマラソン出場で距離慣らし。

 朝から素晴らしい天気に恵まれました。朝、家を出るときは雲ひとつない晴天です。初秋と書きましたが、この日はむしろ夏の名残りと言う方が相応しいお日柄でした。

 この日の会場はサリー州のドーキングという町にあるワイン農場からの出発。地球温暖化のあおりを受けてイギリスでもワインの生産が盛んになりつつあります。


(ワイン農園)


(ぶどうも熟れごろ)


 スタート前。ハーフマラソンの他に5キロのFUN RUNもあるので、面白コスチュームのチームもいます。

(パンサーズ?)


 コースは、9割が草地、土、砂利道の殆どクロスカントリーでした。舗装の道は1割もないぐらい。デコボコで走りにくいことこの上ないですが、それはそれで微妙な体のバランスをとったり、足裏でデコボコを確かめるように走るのは、アスファルトの上をただ走るのとは違った面白さがあります。

(スタート直前)


(草地の上)


(土道)


(山道)


 ただ、閉口したのは、さすがワイン農園の丘ぞいを走るだけあって、コース半分までは微妙な上り坂がずーっと続きました。心臓に悪い。しかし、丘の最上部を駆け抜ける際の気持ちの良い風景は、何物にも代えがたいものでした。






 ワイン農場での大会と言うこともあって、給水所ではワインの支給もありました。でも、流石に、それはパス。ワイン何か飲んだら、もう走れない。

 タイムは手元の時計で1時間57分11秒。まあ、こんなもんでしょ。

(ゴール間近)


 参加賞はTシャツとメダルです。ちょっと、Tシャツはおじさんには色が派手すぎ・・・


 余談ですが、本当にイギリスのロードレースの距離掲示板はいい加減です。普通の自分の走りなら、1マイルは大体8分30秒目安。それが6マイル地点から7マイル地点の1マイルは5分15秒(このタイムならオリンピックを真剣に考える)、7マイルから8マイル目までの1マイルのラップは11秒26秒。同じ1マイルでこの差はあり得んでしょう。マイルの掲示板が間違っているとしか思えない。

 加えて、今回も列車の予定にない運休で、途中駅からは代替バスで振り替え輸送。これで当日の予定外の列車の運休は2回連続。今回は時間に余裕をみて家を出たから良いものの、きっとこのお陰で間に合わなかった人もいるに違いない。ホント、この国の中の移動は時間が読めない。

 2010年9月12日
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ロンドン 夕焼け

2010-09-13 23:55:19 | ロンドン日記 (日常)
 思わず見とれる夕焼けでした   2010年9月12日 19:15

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Prom 75: Monteverdi's Vespers of 1610

2010-09-12 06:07:53 | コンサート (in 欧州)
 自分の今シーズン最後のプロムスを飾るに相応しい素晴らしい演奏会でした。深く、重く、心が揺さぶられました。アルバートホールが、時間の概念を超えた「宇宙」空間というか、人間の社会を超越した「神」の空間というか、はたまた「禅」の空間とも言えそうな、日常とは全く異次元の世界になった2時間でした。

 この曲は1610年の『聖母マリアの夕べの祈り』とか『聖母マリアの晩課』と訳されるようです。モンテヴェルディが、世俗曲の作曲家から教会音楽へ移行する最中での、最初の大曲だそうです。6月にセントポール寺院で同じ曲を聴きましたが(こちら→)、場の雰囲気に圧倒されて音楽は良く分からなかった。

 今回は、全体を通じて指揮者のガーディナーが芸術監督を務めるモンテヴェルディ合唱団の素晴らしい歌唱が強烈な印象を残しました。この合唱団は、今年LSOとベートーベンの第9をやった際に、わずか30名そこそこで、大合唱団を遥かに上回るような素晴らしい合唱を聴かせてくれたのですが(→こちら)、昨日も40名に満たない編成で、清廉かつパワーある歌声で、聴く人の心を清めるとでも言うのでしょうか、自分の心にひだに溜まった汚いものが流されていくような気にさせてくれます。ソリストとしても歌ってくれたEmanueal Galliさん、LemmeleRuitenさんの2人のソプラノ、Stephane Guilderaさんのアルト、Andrew Tortiseさんのテナーを初めとする独唱も素晴らしかったです。

 合唱団はこの他にも、Schola Cantorum of The Cardinal Vaughan Memorial School とLondon Oratory Junior Choirの2つの青少年合唱団が参加しており、正面コーラス席や、また場所を移動してアルバートホールの上部から美しい歌声を聞かせてくれました。ホール全体に響くその声が、演奏を、立体的な厚みや異次元的な深みを与えてくれました。

 演奏はもちろん古楽器による演奏。見慣れない、ギターのお化けのような楽器や木管楽器も金管楽器も通常のオーケストラで見かけるのは大きく違いますが、それらの楽器からはせられる音は、即、我々の時間軸を現在から1610年当時に運んでくれます。

 プログラムの楽曲解説は何と指揮のガーディナーさん自身の筆によるもの。プログラムによると、1964年3月5日、彼がまだ学部学生だった時、初めてモンテヴェルディ合唱団を結成し、キングス・チャペルでこの曲を指揮したそうです。それ以来、半世紀近くにわたってこの曲を指揮している、ガーディナーさん。この日はその彼ならではの、一点の迷いも感じられない指揮ぶりです。ガーディナー指揮、モンテヴェルディ合唱団のモンテヴェルディを聴けるなんて、なんと幸せでもったいないことなんだろう。

 演奏後の聴衆の反応は、即の熱烈大拍手と言うより、ゆっくりとした拍手から段々加速していくものでした。聴衆自身が、拍手することで、異次元の余韻から醒め、自分たちの世界に戻って行く、そんな感じがするものでした。


 ※この日はProms今シーズンの中で、最良席のストール席をゲット。


 ※楽団と合唱団の入場です


 ※終演後。素晴らしい演奏・合唱でした。


 ※起立しているのが、独唱陣の皆さん。ホント、素晴らしかった。


 ※焦点がボケてますが、ガーディナーさん


 ※幾度も続くカーテンコール




Prom 75: Monteverdi's Vespers of 1610


Date Friday 10 September 2010
Time 7.30pm–c9.20pm
Venue Royal Albert Hall

Monteverdi Vespers of 1610 (95 mins)
There will be no interval

Monteverdi Choir
London Oratory Junior Choir
Schola Cantorum of The Cardinal Vaughan Memorial School
English Baroque Soloists
His Majestys Sagbutts and Cornetts

Sir John Eliot Gardiner conductor
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プロムス2010 ラストナイト

2010-09-11 22:31:22 | ロンドン日記 (日常)
 初めてプロムスの最終日の公演をTVで見る。評判通りの凄いお祭りコンサート。ロイヤル・アルバート・ホールを本拠地として、ロンドンのハイドパークを初め、全英各地で同時開催している。

 イギリス人は、感情をあまり表に出さないのを美徳としていると思っていたが、このProms最終日の騒ぎようはすごい。確かにPromsというイベントは素晴らしいが、この最終日だけは全く異質だ。一瞬、昔の大晦日のNHK紅白歌合戦を連想したが、そんな騒ぎではない。イングランドのワールドカップ敗退の憂さをPromsで果たしているのだろうか?

 う~ん、イギリス人の気持ちは読めん・・・・。見てるだけで、とっても疲れた。お祭り好きの私も、これにはついて行けそうにない。

 
(BBC放送より)
 最初からすごい盛り上がり・・・


 ルネ・フレミングの独唱


 「日の丸」の旗を振っている人もいます


 ハイドパーク会場



 どっかの地方都市から


 最後の締めは、定番のエルガー威風堂々で


 これで、夏は完全に終わりです


 2010年9月10日


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シェクスピア・グローブ座 「ウインザーの陽気な女房たち」

2010-09-10 23:05:57 | ミュージカル、演劇
 先日、シェクスピア・グローブ座に「ウインザーの陽気な女房たち」を見に行きました。

 グローブ座は、シェイクスピアの芝居小屋を再現して造られた劇場で、是非行って見たいと思っていたのですが、なかなか実現しませんでした(春/夏の間しか開催されていないし、オンライン予約も結構席がいつも早く埋まってしまいます)。なので、「ついに来れた」と言う感じでした。


 中に入った途端、その独特の雰囲気に酔いしれます。劇場は想像以上に小ぶりで、舞台が手の届くようなところにあります。そして、プロムス同様、一番近くで見られる平土間の席は立ち見席。私が入場した時はもう多くの人が、平土間で劇が始まるのを心待ちに立って待っていました。


 観客席とステージが近いので、公演では、役者、観衆が一体となっていた独特の空間が形成されます。観客の笑いがダイレクトに役者に伝わり、役者は観衆の反応を一つ一つ確かめながら劇を進めているような感じです。同じ劇を観るのでも、「場」によってこうも雰囲気が違うものかとびっくりです。

 私のチケットは、1階椅子席ではあるものの、舞台袖の奥で、舞台には視界を遮る木が置いてあったりで、もうひとつ良く見えませんでした。なので、休憩後の後半では、平土間に移り、立って観ました。オペラでもパブでもいつも立って鍛えていますので、立つこと自体は苦になりませんが、この平土間席は、たとえ立つのが大嫌いな人でも是非、試してほしいと思います。俳優さんは目尻の皺まで数えられるようなところで演じており、迫力、面白さ抜群です。ナマナマ感が素晴らしい。この会場の反応のビビッドさは、ダイレクトに俳優さんの演技や気分に大きな影響を与えるでしょう。


 「ウインザーの陽気な女房たち」公演は、この会場にぴったりの明るく、楽しいドタバタ喜劇でした。テンポの良いセリフ回し、動きのある舞台。やっぱりシェイクスピア劇は喜劇が楽しい。
 
 俳優陣ではサー・ジョン・フォルスタッフを演じたChristopher Benjamin、フォード夫人のSarah Woodward とページ夫人のSerena Evansの熱烈演技は大いに会場を沸かせたし、そしてアン・ページ役のCeri-lyn Cissoneは可愛かった。


 また行きたいです。



 ※帰りはエムズ川沿いをウエストミンスターまで散歩。夜風が気持ち良かったです。

 川向うにセントポール寺院


 国会議事堂。


 ビッグベン。ピーターパンが出てきそう。



The Merry Wives of Windsor

by William Shakespeare
A revival of the 2008 hit

Directed by Christopher Luscombe
Designed by Janet Bird
Composed by Nigel Hess

Cast
Nathan Amzi Simple
Gareth Armstrong Evans
William Belchambers Slender
Christopher Benjamin Falstaff
Philip Bird Dr Caius
Ceri-lyn Cissone Anne Page
Barnaby Edwards Rugby
Serena Evans Mistress Page
Peter Gale Shallow
Michael Garner Page
Gregory Gudgeon Nym
Andrew Havill Ford
Gerard McCarthy Fenton
Jonty Stephens Host
Sue Wallace Mistress Quickly
Paul Woodson Pistol
Sarah Woodward Mistress Ford

Musicians: William Lyons, Paul Bevan, Robin Jeffrey, Sharon Lindo, Neil Rowland

Running time: 2 hours 35 minutes including an interval

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Strike "RUN" (地下鉄スト日のランニング通勤)

2010-09-09 21:37:02 | ロンドン日記 (日常)
 月・火のストライキのネタを未だ引きずって恐縮ですが、7日のストライキ当日は思い切って会社まで走ってみました。私の住まいはロンドンの北西部で、会社はロンドンのシティの外れなのですが、距離的には10キロちょっとなので、1時間もあれば着く計算になります。ということで、7:25分0出発。ちょっとロード・フォトをご紹介。

 週末のランニングでもシバシバ訪れるRegent's Park。朝日に反射する緑や紅葉し始めた木々が綺麗でした。こんなに気持ちいいんなら、ストでなくても州に1日は走って通勤するのもいいかもと思うぐらいです。




 殆どの駅は閉鎖中です。ゲートの前には係りのおじさんがご案内役。



 同じようなランニング通勤仲間をたくさん見かけました。


 自転車で通勤している人もとっても多かった。


 バスは増発して走っているのですが、それでも満員でなかなか乗れません。昨年のストの時にこのイライラを経験したのも、この日走った理由の一つです。


 大英博物館前通過。7:55頃。


 やっぱり、バスに乗車するのを待つ多くの人が。


 セントポール寺院前では、バトル・オブ・ブリテン(第二次世界大戦におけるドイツ空軍とイギリス空軍の戦いのうち、ドイツによるイギリス本土上陸作戦の前哨戦としてイギリスの制空権の獲得のために行われた一連の航空戦)の70周年の記念イベントが。この日(9月7日)は、丁度、ロンドン大空襲があった日。それを記念して、当時の戦闘機がセント・ポール寺院前(このあたりは空襲でひどい被害を受けたエリア。たまたまセントポール寺院は全焼を免れた)で展示。







 モニュメント(ロンドン大火災の犠牲者追悼塔)通過。


 シティに向かう通勤ラッシュ。


 何の列でしょうか?


 地下鉄が止まっているので、ボートで通勤する人たちの列です。カナリー・ワーフ(ロンドンの新都心のようなところ)に通う人たちのようです。


 朝日に照らされるタワーブリッジはランニングの疲れを忘れさせてくれます。


 所要時間70分。写真取ったり、Cityは人が山のように居て、掻き分けて走るので、ずいぶん時間がかかってしまいましたが、超快適ランでした。

 報道によると、結局、この日のストでは組合側は全く何も勝ち取れず、第2、第3のストを予定しているとのこと。また、走ってみたいです。
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ロンドン 再会

2010-09-08 22:49:32 | ロンドン日記 (日常)
 昨夜は楽しい夜だった。昨年、ザルツブルグ音楽祭で「フィガロの結婚」でたまたま隣り合わせた法善寺さん(模様はこちら→)と、1年ぶりに再会。昨年、街のレストランで音楽談義を交わした後、互いのブログを通じての交流が続いていたが、今年も欧州縦横無尽の音楽旅行中の法善寺さんはProms見学もかねて、ロンドンに立ち寄ってくれたのである。

 私のほうでチケット入手のお手伝いをしたのだが、フランス国立交響楽団のドッビシー「牧神の午後への前奏曲」、「海」、ストラビンスキー「春の祭典」を楽しんでもらえたようである。サウスケンジントンのパブで、閉店の追い出しを喰らう00:15まで、エールとスコッチを酒に、食べ物はポテトチップスだけで、音楽、英国文化等のあっちこっちの話題で楽しんだ。

 よりによって、ロンドン訪問がTubeのスト日に当たると言う不運なスケジュールの中であったが、ロンドンのことは随分と気に入ってくれたようで嬉しい。一期一会と言うしかない出会いであるのだが、そんなきっかけでおいしい酒が飲めるのは、人生の楽しさの妙としか言いようが無い。

 ロンドンは2日弱の滞在で、今日には早速パリに向かっている。今後の無事な旅行を祈りたい。

 ※法善寺さんの旅行記を含むブログはこちらから→
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地下鉄スト (Tube Strike)

2010-09-07 23:59:05 | ロンドン日記 (日常)
 ストで最悪のロンドン。

 朝のBBCニュースから・・・

「昨夕からロンドン地下鉄がストに突入しています・・・」


「55%のTubeは走ってます。でも、駅員がいないため多くの駅は閉鎖です」(それは走っていることにならんだろう・・・)


「King's Cross駅では行き場のない通勤客が・・・」


「それでは、道路の方はどうでしょうか・・・」


 結局、今日は職場まで走って行きました。(所要時間70分)

 2010年9月7日
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週末ジョギング ハムステッド・ヒース (ウエスト・ヒース)

2010-09-06 22:23:22 | ロンドン日記 (日常)
 いろんな秋を感じ始めるこの頃、昨日はハムステッドヒースの新しいエリアを走りました。ハムステッドヒースの中の西端のWest Heathというエリアです。

 いつものヒースがロンドンの市内部に向かって展望が開けている居るのに対し、こちらは西側に開けてます。ウエンブリースタジアムが遠くに見渡せます。


 公園中には鹿が・・・


 雲もすっかり秋の雲です。


 Hampsteadの通りから。紅葉が始まってます。


2010年9月5日 8:00頃
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ナショナルギャラリー 企画展 "Close Examination"

2010-09-05 19:07:04 | ロンドン日記(イベント、観光、スポーツ)
 8月に東京からロンドンを訪えてくれた友人がお薦めしてくれた、ナショナル・ギャラリーの特別展示”Close Examination: Fakes, Mistakes and Discoveries”に行ってきました。もう来週の日曜日で終わってしまう企画展ですが、ロンドン在住の方にはとってもお勧めです。



 ナショナルギャラリー所有の作品の中から、贋作、絵画の再生作業の中で発見された元々の隠されたオリジナルの絵などを解説、展示してくれています。

 例えば、この作者不詳の1510-30頃のイタリア絵画「窓辺の女」。


 この絵は1855年にナショナルギャラリーが来た作品とのことです。しかし、その時の絵はこの絵。(絵はもちろんカラーです)


 1978年の補修作業の中で、実はこの絵の背後にはその元の絵が隠されていたことが判明し、その上塗り部分を丁寧に取り去り、今の展示作品になっているとのこと。購入時の絵は、元絵をビクトリア調のふくよかで明るいトーンに描きかえられたらしいです。

 もうひとつ。この絵。


 1845年にナショナルギャラリー初のハンス・ホルバインの作品として呼び物入りで購入された作品とのことです。購入当時から真贋論争があったようで、早々にホルバイン作という目録は外されたようです。そして、1993年にこの絵の画板の木の年輪分析で、この画板の木の最後の年輪は1542年から1543年にかけてのもので、画板として使うためにの一定の乾燥期間を考慮すると、この画板が使われたのは1560年以降であることが、判明。ホルバインが亡くなった1543年なので、ホルバインの作品ではないことが立証されたとのことです。

 補修作業、画板検証、絵具分析、X線判定などなど、科学をフルに活用することで、いろんな過去の事実が浮かび上がってくるのが、興味をそそります。ナショナルギャラリーには、リサーチ部というようなところがあって(正確な名前は忘れました)、先端科学を駆使して、所蔵作品、購入作品の鑑定、補修、再生等を専門的に行っているとのことでした。

 一つ一つの解説を読みながら、絵を観ていくことになるので、通常の展示を観るよりも時間がかかります。


 
特別展会場入り口の横では、本展覧会の15分程度のvideoを流していますが、これも秀逸です。展示してあるのは結果としての作品とその解説ですが、実際の作業やプロセスが、映像で楽しめます。

 ナショナルギャラリーの特別展にはいつも感心させられるのですが、本当にこうした面白い切り口、見せ方を提示してくれます。

 訪れるのが難しそうな方には、是非、下記のホームページをご覧頂けるとよろしいかと。面白いです。

http://www.nationalgallery.org.uk/paintings/research/close-examination/



Close Examination: Fakes, Mistakes and Discoveries

Date and time
30 June – 12 September 2010
Sainsbury Wing Exhibition
Admission free


 ※全然、展覧会とは無関係ですが、今日初めてトラファルガー広場からビッグベンが見えることを発見、


 2010年9月5日 見学
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Prom 65: Berliner Philharmoniker (プロムス ベルリン・フィル)

2010-09-04 19:38:30 | コンサート (in 欧州)
 今年のプロムスの最大の楽しみにしていたサイモン・ラトル指揮、ベルリン・フィルのコンサートに行きました。ベルリン・フィルは、昨年ベルリンでアバト指揮のコンサート(こちら→)に出かけて、涙が落ちそうな経験をさせてもらいました。

 今回のチケットは、Promsオンライン発売開始日に購入をかけたのですが、一番高い座席を希望で出したにもかかわらず、高い倍率を勝ち抜けなかったようで、コンピュータに後ろに廻され、結局今日の席は4階席のそれも最上席という、指定席の中では一番安いものの、一番高いところから聴くことになってしまい、ちょっとがっかりでした。まあ、「東京では、NHKホールの3階席の後ろ部分で、N響の定期公演を聴いていたことを思えば、まだいいか」とポジティブ・シンキングで気分を切り替えましたが・・・。

 ただ、終わってみると、この日のコンサートは座席位置などは全く関係ないがごとくの横綱演奏でした。打ちのめされた2時間でした。

 前半は、ベートーベンの交響曲第4番。こじんまりとした編成ながらも、重厚さと繊細を併せ持ち、かつキレの良さを感じる演奏に、釘つけになりました。弦はもちろんのこと、木管陣のホール中を突き抜けるような音の美しさに惚れ惚れとしました。

 休憩を挟んでの後半の大曲は、マーラーの交響曲第1番。これには、完全KnockOutです。第一楽章から、弦の繊細な響き、木管の個性、金管の爆発が作り出すマーラーの世界。音楽がこんなに立体的な奥行きがあるものだと感じさせ、聴く者に「絵」を浮かび上がらせる、そんな演奏でした。何故、こんな演奏がこの楽団には可能になるのか?人間業とは思えない。不思議でしょうがありませんでした。

 第2、第3楽章も4階席から前のめりになって聞く演奏が続きます。そして、第4楽章のフィナーレも言うまでもありません。あのアルバートホールが狭く感じるなんて、今回が初めてです。

 やはり、一つ突き抜けたオーケストラと言うのは、個々の演奏者の個性と、そのぶつかりあいの中でのハーモニー、そして指揮者のリーダシップ、この3つが本当にしっかり揃っているものだと、妙に納得しました。ラトルは、動きを止めたかと思うと、激しく演奏者に向かって行ったり、変幻自在です。そしてその中で、「紡ぐ」という表現が浮かんだように、オーケストラから音楽を創っていきました。

  今回の演奏が、ベルリンフィルのベストの演奏かどうかは正直わかりません。木管の各奏者はかなりアグレッシブに吹いていて、「あれ?こうだっけ?外したのか?それとも技なのか?」と素人の私には思うようなところもありました。しかし、今回のように、自分が音楽全体の中に完全に取り込まれてしまう演奏というのは、ロンドンで多くの演奏会には行ってはいるものの、そうはありません。評論家風みたいな言い方は好みませんが、こういった「参りました」と思う演奏では、ベルリンフィルとロイヤル・コンセルトヘボウが抜けていると思います。当分、マーラーの1番は聴きたくないというか、聴きに行けない。

 もちろん、拍手は超ド級。ラトルは3,4度、呼び戻されていましたが、まだ万来の拍手が続く中でオケは解散。正直、アンコールが入り込む隙のない、今日のメニューですから、この余韻をもって終わるところがまた素晴らしかったです。

(終演後の拍手に応えるラトル)


(素晴らしいオーケストラです)


(ラトルの左には日本人のコンサートマスター樫本大進さん)




Prom 65: Berliner Philharmoniker
Date Friday 3 September 2010
Time 7.30pm–c9.30pm
Venue Royal Albert Hall

Beethoven Symphony No. 4 in B flat major (34 mins)
interval
Mahler Symphony No. 1 in D major (55 mins)

Berliner Philharmoniker
Sir Simon Rattle conductor
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とある職場の風景 ロンドン 地下鉄ストライキ 再び???

2010-09-03 23:04:27 | ロンドン日記 (日常)
※画像はLondonTubeのHPより

 来週の月・火曜日にロンドンの地下鉄が再びストライキを予定しています。主な理由はオイスターカードの普及によって、利用が少なくなった800の切符売り場閉鎖に反対するとうことらしいです。

 そのため今日、急きょ、社内の危機管理員会の打ち合わせが招集されました。月曜日以降、ストが起こったらどう対応するか?という打ち合わせです。

 ただ、今日は金曜日だし、まだ夏休みの人もいるので、危機管理員会そのものの参加率も悪し。その上、もう去年から、豚インフルエンザ、地下鉄スト、大雪のための鉄道マヒ等で、似たような危機管理会議を何度とやっているので、参加者も全く緊張感なし。

 結局、HRから社員とマネジャー各々に、情報共有及び注意喚起とBCP(事業継続プログラム)が発動されても動ける準備をする旨をメールにて周知ということで、おしまい。

 しかし、危機対応と言うのは、メンバーの慣れが一番、怖いんですけどね。

 それにしても、いい加減にしろ、イギリスの労働者!!!伝統も大事だが、世の中の変化に対応するマインドを身につけてほしい。
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W.シェイクスピア 小田島雄志訳 『ウインザーの陽気な女房たち』

2010-09-02 22:11:38 | 
 今度、グローブ・シアターで、この劇を観るの事前に一読しました。『ウインザーの陽気な女房たち』は他の喜劇と比べると、作品としては余り評価が高くないようですが、その分かりやすさ、単純な笑いが根強い人気を保っているとのことでした(同書解説より)。

 確かに、非常に単純といえば単純なドタバタ喜劇と言えなくもありませんが、私自身はとても好きな作品でした。とても生き生きとした人間の生命力を感じるものだからです。

 今回は原文まで読む時間はありませんでしたが、この作品では「シェイクスピアはラテン語と英語の誤用を使って、フランス人やウェールズ人の語り口を表現している」(Wiki)とのことです。確かに、日本語で読んでいても、ここはなぜこんな変な日本語に訳してあるのか理解に苦しむところがありましたが、いつか原文と小田島訳の併読をしてみたいです。



 
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Bank Holiday Running

2010-09-01 22:25:38 | ロンドン日記 (日常)
 東京はまだまだ暑い日が続くようですが、ロンドンはもう完全に秋の風が吹き始めています。Bank Holidayの朝、約16キロを1時間半かけて走った際のスナップです。

 既に葉の色が黄色に変わってきています。



 道路には落ち葉もたくさん散るようになってきました。朝、道路清掃のおじさんがきれいにしてくれます。





 いつものハイドパークの風景。この日は雲ひとつ無い空でした。(ただし、これは朝だけ)


 
 太陽も秋の太陽になってきています。


 あいかわらず、いつもどおり泳いでます。


 バッキンガム宮殿も本当に華やかです。


 何とかの像も美しい。


 こっから冬になるのが早いんですよね〜

 2010年8月30日

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