電波、身近なところではラジオ放送。
これはたいていは見通し程度の範囲に超強力な電波をFBなロケーションから送信している。
パワーはなんと、東京のNHK第一放送が300000W(300kW)!
TBSラジオは100000W(100kW)
なんという大パワー。送信所の近くに居たら体に悪そう・・・。
中波放送はアンテナが巨大になるため、また、電波の直進性もそれほどこだわる必要が無い(私は電波が柔らかい、と表現します)ので、広い河川敷や野原に送信アンテナが設置されることが多いです。
そんな強い電波を出しているのだからどこにでも届いてしまいますね。
小さなLEDの光は見えるところに行かないと見えないけれど、太陽の明かりは太陽が見えなくても日陰も含めてそこら中が明るくなる。そんな感じ。(ちょっと違うけど)
FM放送だと高いところから最大10000W(10kW)という大パワーで放送している。
面白いのは東京タワーの時は10kWだったのに、スカイツリーに越したら7kWに減力したりしている。高さが倍になったのでそれでも以前より強く届からでしょう。
送信側の強力な電波のおかげでそれほど努力しなくても家の中でも放送が聞こちゃいます。
ところが、アマチュア無線のように通話目的の電波で、放送のような強い電波を出すことはあまり無い。短波帯の無線局は100Wが多く、たまに1kW、移動局の最大出力は50W。ポータブル機、ハンディ機となるとせいぜい5W。市民無線が0.5W、特定小電力無線が0.01Wなんです。
電波の飛び方は出力に関係ないけれど、出力は放送レベルとは雲泥の差。この弱い、微弱な電波を良好に聞きたければ自分から捕りに行くしかありません。
弱い電波は地形や建物の影響で、地表近くではますます聞こえにくくなっています。逆にノイズ源が近くに増えて劣悪そのもの。
家の真ん中でソファーに座ってハンディ機を聞いたところで交信が聞こえてくることは殆どないでしょう。(純木造の家が見晴らしのいいところに建っているならよく聞こえるけど)。
弱い弱い電波はどこで捕まえることが出来るかと言うと、高いところ。
高いと見通し範囲が広がったり地上の地形や建物の影響が少なくなるからです。波長という電波の体の大きさの影響もあって、大きいほど地面近くを飛び続けるのが苦手です。
海岸で釣り糸を垂れても沖にしかいない魚は釣れません。そこには居ないからです。船で沖に出ないと釣れません。
電波は地面近くではあまり居ない(弱い)、高いところにいけばたくさん居る(強く聞こえる)。
山の頂上、丘の上は最高の場所です。地面からも離れたいのでそこにタワーを建てててっぺんに行けばそれはもう別世界です。
超高層のビルの窓際もVHF,UHF、SHFならよく聞こえます。
アンテナのついた無線機を持ってそこに行けばいいのです・・・が、いつもタワーの上に居る訳にいきませんから、アンテナをそこに設置してケーブルで自宅に引き込みます。
遠くとの交信に燃える無線家がなぜタワーを建てるか、わかりましたね。そこにアンテナを持っていかないと聞こえない電波があるからです。
この努力をせずに、聞こえない、飛ばない、無線機が悪い、無線がつまらない、などと言っていてはいけません。
自ら聞こえない場所でうだうだしている状態なのですから。
すべては電波をちゃんと捕りに行っているかどうかです。
一方、日中の7MHzのコンディションが良い時などは、近距離電離層反射のため電波は上から降ってきますから、見晴らしにこだわることなくても自分の周りには結構電波が来ています。
それがあまり聞こえないのなら、利得の少ないアンテナを、条件の悪い位置に置いているからに外なりません。7MHzは波長が40mもある巨体です。10mのワイヤーでやっと144MHzで言うところの50㎝のアンテナと同等です。しかも巨体ゆえ細かいところに入ろうとするとかなり減衰してしまいます。まず鉄筋コンクリートの部屋には窓を開けていても入ってきません。だから外に出ましょう。大きなアンテナを張りましょう。そしてアンテナの地上高も高くしましょう。コイルで短縮したものでも全長4m程度のアンテナからかなり強く聞こえ、競争にも勝てるようになります。
いずれにしても、無線通信の電波はもともと弱い。これを十分に聞き、よく届けるには、アンテナの条件を整えることが一番大切なこと。
送信に関して言えば同じ出力なら5万円の無線機も100万円の無線機も飛びは同じです。(受信性能はお値段なりに性能が向上します。)
すべてはアンテナ勝負です。
タワーが建てれられなくても、努力はしましょう。自宅で無理なら移動運用で頑張りましょう。たまには巨大アンテナの無線局を訪問して聞かせてもらいましょう。
何が自分に足らないか、よくわかります。
また自宅で過ごす時間が増えるご時世です。アンテナ作りなんていかがでしょう。