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木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

五稜箸 その後

2009-12-17 20:57:13 | 
作成中の五稜箸


#400の耐水ペーパーで水研ぎして刷毛刷りにかかっています。

ところで、課題となっている箸の先の形状


これが従来の五稜箸の箸先。
先を極端に細くして、「ゴマがつまめる」ような箸もあるそうですが、五稜箸は箸先の丈夫さを重視し、先を丸く仕上げています。
それでも長く使っていると、先の丸みの肩の部分から漆がすり減ってきます。

そこで、今回箸の先は、

このような、砲弾型にしてみました。もちろん先まで5角形は保っています。
なぜこのようにしたかというと・・・


これは、私が試みに数年間使い続けた箸の箸先。
角がすり減って砲弾型になっています。
ならば、はじめからこの形にしたら痛みも少ないのでは?と思い立ったのです。
一番の先端は漆を厚く残して丸くします。

その時に使う漆ですが・・・

これは、以前くろめた手グロメ漆を塗った椀。実に良い光沢で丈夫な塗膜ができています。
そこでこの手グロメ漆を仕上げと箸先に使ってみようと思います。さて、どうなるか楽しみです。

もう一つ。制作中のセンターテーブル
塗装に掛かろうと思ったら、オイルが足りない。まだ十分残っていると思っていたのですが・・・・。
あわてて注文し、本日届き、早速塗装にかかりました。

裏から塗り始め


塗ったオイルを潤滑油に、400番の耐水ペーパーで研磨します。


しばらく置いて十分しみ込ませて、布で拭き取り、1回目が完了。

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センターテーブル

2009-12-14 21:25:04 | 工房
センターテーブルの部材の胴張りを削るため、途中になっていた極浅の内丸鉋を仕立てました。


刃の幅42mm。R(丸みの半径)400mm程度の極浅。
刃と下端の丸みを合わせるのがなかなかやっかいですが、うまくいったようです。


刃はちょっと贅沢ですが、千代鶴貞秀作。切れ味抜群です。


これを使ってセンターテーブルの仕上げ削りをして、


組み立てました。
使い勝手を考え棚も付けましたが、重くならない構造にしました。
天板は、ソファーに合わせて角を丸くしました。
塗装をすれば完成です。
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長勝塾「鋸研ぎに挑む」

2009-12-13 23:14:12 | 道具
「町家発ほんまもん」主催の12月企画 長勝塾「鋸研ぎに挑む」に参加しました。
会場は大津市の滋賀県建築組合大津支部の事務所。 
静岡県伊東市から長勝さんの出張講義です。


午前中は、まず長勝さんの鋸刃の構造や研ぎについての講義。
ここでまず、目から鱗!下刃の角度、なげしの角度など、全く理に叶っており大いに納得しました。


その後、従来の研ぎ(目立て)と長勝さんの研ぎの2つの鋸で試し切り。

私も挽かせていただきました。その結果・・・

これが、有名な鋸も研いでおられる目立て屋さんの研がれた鋸で挽いた木口。
切れ味は下がりの良い、良く切れる鋸といった感じ。

そしてこれが長勝さんの研いだ鋸で挽いた木口。ささくれが全くなく、鉋か鑿で一削りしたような切り口なのです。
切れ味は、抵抗がなく、滑っているような感触。ですが下がりは抜群なのです。
そして鋸道も全く広がりません。またまた目から鱗がぽろぽろ・・・。
この衝撃は実に大きかったです。


その後、お二人の大工さんの基本的な鋸の使い方と、ちょっとした技で調整する切り口の妙技を見せてもらいました。
これまた大変勉強になりました。

昼の休憩をはさんで、午後はいよいよ「鋸研ぎの実習」
長勝さんも言っておられたように「短時間の勉強で上手になることなどあり得ない」とは重々承知の上で挑んでみました。


はじめに長勝さんが一人一人に見本の研ぎを数カ所残してくださり、それをお手本に研ぎ始めましたが・・・。
鑢は思うように動かず、研いではいけないところばかり研いでしまい、そのうち元の歯の形状さえ壊してしまい・・・惨憺たる有様。
結局、中勝さんに刃先を揃え、最度すり込みの見本を作っていただき1から研ぎ直し。
予定の時間もあっという間に過ぎてしまい・・・。鋸研ぎの難しさをいやと言うほど知りました。(写真を撮るのもわすれてしまいました。)
しかし、今回参加させてもらって本当に良い勉強ができました。
教えていただいた長勝さん、お世話くださった町家発ほんまもんのスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。
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漆の掻き殻

2009-12-12 22:16:18 | 
岩手県の浄法寺漆産業の松沢さんから漆の木が届きました。


早速2本ほどいてみました。
漆の木といっても、漆を掻いた後切り倒した木で「掻き殻」というのだそうです。
ブルーシートできれいに梱包されていました。


さらに、元と末の切り口にはビニールが巻かれていました。
今年漆を掻いた掻き殻なので、運送中さわってかぶれたりすることが無いよう丁寧に梱包されているのです。

この掻き殻、浄法寺漆産業の松沢さんのブログで知り、送っていただいたのです。
何にするのかと言うと、工房に立てて眺めたり、作品展の時に展示して、作品展に来ていただいた人に、少しでも漆について知り親しみを持ってもらおうと思いついたのです。
ところが、梱包をほどいて入り口に立てかけてみると、予想以上に樹皮と掻き跡のコントラストが美しく、実によい雰囲気になるのです。


どうです。良いでしょう。
そこで、1本は、工房の看板を兼ねて入り口に置くことを考えて見る事にしました。

漆を掻いた跡じっくり眺めてみると

樹液を出して傷を自ら癒そうとしている様子が痛々しくも感じます。
10数年もかかって作り出し、自らの命に代えて提供してくれている漆ですから、大切に使い、その良さを広めていけたらと思います。

梱包を解いてない3本は、同じ木工仲間の注文です。挽き物(ろくろ)や刳り物の材として使えないか試してみたいそうです。
松沢さん、漆生産組合の組合長さん、ありがとうございました。


今日はこのうれしい出来事の他に、悲しい知らせがありました。
中学校時代の同級生が、昨日急死したという連絡が入りました。
大変厳しい仕事、しかも単身赴任という環境の中でしだいに身体を蝕み、それが原因で倒れそのまま帰らぬ人となってしまいました。
引っ越しをして単身赴任やきびしい労働条件から解放されることになった、その矢先のできごとでした。
何とも悲しく、やり場のない憤りを感じてなりません。

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センターテーブル

2009-12-11 21:07:32 | 木工
以前お納めしたソファー

このセンターテーブルの制作に取りかかりました。
ソファーの側板に使ったタモの板と同じ材を使い、統一したイメージでシンプルで使い易いものにしたいと思い、いろいろ考えました。


やっと制作に取りかかり、ほぞ穴あけとほぞ挽きまで進みました。
あとは大入れの加工をして仕上げ削りです。

ところで、作業台の向こうに見えるもの・・・

これは、鋸の目立てに使う鋸ばさみ。
明後日、「町家発ほんまもんの会」主催の 長勝塾大津出張講義「鋸研ぎに挑む」に参加するため急遽作ったものです。


それからもう一つ。

炭山ふれあい陶器まつりの時に注文を頂き、欅座卓と並行して進めていた合鹿椀の拭漆がほぼ完了しました。
最終は手ぐろめした、新潟産の漆を使ってみました。深みのあるよい艶に仕上がりました。
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五稜箸制作

2009-12-10 20:59:14 | 木工
在庫がなくなった五稜箸の制作にかかりました。
この五稜箸、作る度に新たな課題が見えてきて、未だに発展途上です。
今回の課題は・・・

一膳の杢を合わせることと、太さの再調整
5~6年前に購入した楓の框材に縮みの良い杢があることがわかり、今後これを使って五稜箸を作ることにしました。

安定して材が使えるので、これを機会に一膳の杢を合わせてみることにしました。


木取りの段階からペアーに組んで作業を進め、太さも揃えて削らなければなりません。


漆を塗るまでは、紙で巻いて2本ずつセットにして作業を進めましたが、漆を塗る段階になるとそれができません。
長短を互い違いに並べて何とかペアーを保とうと思いますが、ひっくり返してしまったらどうしよう・・・。

元の太さはほぼ決まってきましたが、先は、ものがつかみやすく傷みにくい形状をもう少し模索していこうと思います。

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彫刻刀の柄

2009-12-09 21:24:25 | 木工
千代鶴貞秀さんからの依頼で彫刻刀の柄をはめました。
鎌倉彫をする方からの特別注文だそうです。


材は尾州桧を使いました。2枚に挽いた一方を彫刻刀の形に合わせて彫り、貼り合わせますます。


細いのは、刃の幅5厘(1.5mm)。彫る鑿も5厘、千代鶴貞秀作です。


刃をはめて、2枚合わせて接着し、ハタガネで押さえます。


刃の部分を養生して、鉋で楕円に削ります。


柄の先の部分は小刀で削って細くし、豆鉋で整えます。
柄尻の部分も小刀でやや丸く削ります。


最後は400番の紙ヤスリで磨いてできあがりです。

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欅座卓 拭漆最終工程

2009-12-08 20:15:10 | 
欅座卓の拭漆の最終工程


この段階になるとほとんど漆を吸わなくなるので、ヘラ摺りして


モスリンの布で拭き取り、


そして、漆風呂で乾かす。これを3回ほど繰り返します。


まずまずきれいに上がりました。


こちらは裏。天板は風呂に入らないのでそのまま乾かしました。

後は組み立てて完成・・・といきたかったのですが・・・


入り皮部の仕上がりがもうひとつ。
錆を完全に乾かないうちに重ねていったので中がまだ乾いていません。
野沢パトロール隊員さんもお忙しということでしたので納品を1ヶ月ほどのばし、ここも完全に仕上げてから納品させていただく事にしました。
野沢パトロール隊員さん、申し訳ありませんがしばらくお待ちください。

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K先輩と再会

2009-12-07 20:44:56 | その他
先日看板をお送りしたKさんご夫婦が京都へ来られたので久しぶりにお会いし、妻も含め4人で夕食を共にしました。


Kさんは私の大学時代の同じ寮の先輩
1970年代初め、変わりつつある世の中の動きの中で、若者や学生のエネルギーがほとばしっていた時期。
夜な夜な先輩の部屋に集まり、熱く語るK先輩の哲学や運動論に耳を傾けながら、将来への展望やその中での人生を論じ合いました。
ものの見方や考え方、さらにその後の生き方そのものの基礎ができたとも言える大学時代に、一番影響を受けいろいろ教えていただいた先輩です。

大学を卒業後、岐阜県の職員になり、教護院を皮切りに児童福祉の分野で、ぎりぎり追い詰められた子ども達を守る最後の砦のような仕事をされてきました。
時には身の危険さえ伴うような曲面の中でも、子ども達を守る立場を毅然と貫かれ、今年の3月の定年退職後も嘱託職員として現場に残られて、現役職員を下から支える立場で頑張っておられる姿には本当に頭が下がる思いがします。
いろいろお話を聞きながら、私も職場は違っても、不十分ながらも同じような思いや目で子ども達や子ども達の於かれている状況を見て、33年間教育に携わってこれたということが再確認できました。
お話をしていたら時間があっという間にすぎてしまいましたが、これから時間的にも少しゆとりができた中で、時々こんな機会が持てることを願っています。
Kさん本当にありがとうございました。
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座卓 拭漆その後

2009-12-03 22:27:40 | 
座卓の拭漆 240番、320番、400番と進めてきた水研ぎが今日で完了


600番の耐水ペーパーで研ぎます。まず、天板のおもてから


表が完了 約1時間かかりました。
この段階になると、研ぎすぎないように注意しながら均一に研ぐ事がこつです。


次は天板の裏面。


天板が研ぎ上がると、脚、貫、摺り桟に掛かります。


これですべて終了。
すべて研ぎ上がるまでに4時間かかりました。


ここからがいわば拭き漆。漆を塗っては布で拭き取ります。
これまでは、下地作りです。


天板の裏を乾かしている時間に、脚や貫、摺り桟を拭きます。


最後に天板の表を拭きます。
この時拭くのに使う布は綿です。漆を生地にしっかり吸い込ませた後、残さないようにしっかり拭き取ります。
ちなみに、早川謙之輔氏が、著書「黒田辰秋 木工の先達に学ぶ」のなかで、「・・・捨て摺りが丁寧に行われていれば、あと1回だけ仕上げに漆をかければよいように思う。」と述べているのは、この段階のことです。
ここまでの捨て摺りと水研ぎで、生地にしっかり漆を吸わせたムラの無い下地ができているかどうかが仕上がりに大きく影響してきます。
これからは漆を拭き重ねていきます。

ここまでは順調なのですが、一つ問題が。
天板の端にある入り皮部分をこくそと錆で埋めたのですが、乾きが遅いため完全に埋まり切っていないのです。
この部分の仕上がりが納期に大きく影響しそうです。
コメント (1)
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