◇夜叉(1985年 日本)
実はこの映画は予告編を劇場で観て、
それ以来、なんとなく気にはなってたんだけど、
なかなか観る機会にめぐまれなかった。
で、ようやく観られた。
でも、
なんだか時代が逆戻りしちゃった観のある作品だった。
たしかに1985年あたりっていうのは、
男が男っぽく生きようと突っ張ってた最後の時代かもしれなくて、
そういうことからすると、
ここに出てくる健さんの人生は、とっても男っぽい。
けど、あの時代にして、
やっぱり、老年と中年と若造の男というものに対する考え方は、
かなり違ってきてたのかもしれない。
絵づくりはさすがに木村大作で、
海やら雪やらまったく見事な仕上がりだった。
ただ、
物語がどうにもこうにも、
ぼくの今いる世界っていうか時代とはちがってる気がして、
ちょっと入り込みにくかったんだよね。
まあ背中の刺青から「人斬り夜叉」とか呼ばれた男の、
再生という主題はあるにせよ、
結局のところは不倫相手のためにひと肌脱いじゃった男の話なわけで、
う~んとおもわず腕を組んじゃうのは、
もしかしたら、
ぼくがおとなのおとこの世界がよくわかってないのかもしれないね。