◎駅station(1981年 日本)
端的にいって、ぼくはこの映画が好きだ。
倉本聰が健さんのために書き下ろしたっていう話だったから、
当時、ぼくはものすごく期待し、わくわくしながら劇場に向かい、観た。
たしかに健さんはとってもかっこよくて、
電車に乗るとき片足をちょんと乗せてちょっと考え込むポーズは、
なんともいえず渋かった。
ただ、ひとつだけわからないのは、
倍賞千恵子と出会って男と女の関係になったとき、
健さんはどんなふうに考えていたんだろう?
淋しさをまぎらわすための相手だったんだろうか?
真剣に好きになっていたんだろうか?
中途半端だったから、
やがて逃げてきた室田日出男を銃撃するという、
ある種、罰があたったような運命が待ってたんだろうか?
それだけが、どうも判断しにくい。
ま、そんなことはいいとして、
ぼくは酒飲みじゃないもんだから、
ひとりで酒場に足を踏み入れることはまずもってないんだけど、
健さんはこうやってふらりと暖簾をくぐる。
で、居酒屋でかかってるのは紅白歌合戦で、
しかも矢代亜紀の『舟唄』だ。
こういうしみじみ感は、倉本聰の骨頂だね。
『北の国から』でもそうだったけど、
どうしてこういう心寂しい世界に矢代亜紀は合うんだろう?
悲しくて淋しい映画だったな~。
ひさしぶりにしみじみ観ちゃったわ。