△フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年 アメリカ 115分)
原題/The Florida Project
監督/ショーン・ベイカー 音楽/マシュー・ヒーロン=スミス
出演/ウィレム・デフォー ブリア・ヴィネイト ブルックリン・プリンス
△フロリダ州キシミー
そうか、子供たちが暖炉に枕をおしこんで火をつけたらボヤになっちゃった屋敷はサブプライム住宅ローンで不良債権になった住宅だったのか。なるほど、その住宅地を背景にしたモーテルに住んでる貧困層が描かれてるわけね。ということは、ここに住んでる人たちの中には、ひどい目にあった人達もいたりするわけね。
まあそれが、ブリア・ヴィネイトとブルックリン・プリンスの演じる母子なのかどうかは微妙なところだけど、もう、不当に手に入れた香水をディズニーランドにやってくる観光客たちに売りつけることと、ファストフードの賞味期限切れで廃棄処分される食品を分けてもらうことでしか生きていけず、それが滞ってしまったらもはや売春するしか生きる術のない人達ってのは実際どこにでもいる人々なわけで、そういうアメリカの現実をまのあたりにさせられちゃうと、なんだかね、人生ってなんなんだろな~って気になっちゃうわ。
かといって、この作品がものすごく評価が高いのもちょっとな~っておもうし、デフォーの演技がめちゃくちゃいいかっていえば、あまりそうともおもえない。たしかに以前のような怪人のような演技は息をひそめていて、ごく自然にモーテルの管理人を演じているし、そういうところはきわめて人間味のある男を演じてるとはおもうんだけど、かれの人生についてはまるで語られず、多少の想像はつくものの明確さはない。にもかかわらず、なんでここまで評価されるのかわからない。
ていうか、ディズニーランドが近くにあるっていうのは皮肉以外の何物でもなく、破産して崩壊していく町と、ディズニーランドが隣り合い、さらにモーテル群には行き場を失った人々がいるっていう構図は凄いなっておもうし、ラスト、児童保護局の手から逃げていくブルックリン・プリンスとその友達の逃げ込む先がシンデレラ城ってのはもうかわいそうで仕方がないね。ちなみに、この部分は許可を得てなくてゲリラ撮影だそうだけど。