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ライフ・オブ・デビッド・ゲイル

2024年12月26日 17時23分12秒 | 洋画2003年

 ◎ライフ・オブ・デビッド・ゲイル(The Life of David Gale)

 

 性的異常者に味方することで有名とされる記者をケイト・ウィンスレットが演じてるんだけど、あいかわらず性格のきつそうな演技だ。

 これもまたあいかわらず露出をしぼった渋い画面。気持ちよく影が黒に潰さアラン・パーカーアラン・パーカー。ミシシッピー・バーニングをおもいださせる不気味な迫力だなあ。刑務所の中を案内されるとき、こんなふうに言われる。さすが、アメリカだ。

「ここは日本庭園だ。コインを投げ込まないでくれよ」

 ちなみに、ケビン・スペイシーは、ジャック・ラカンの言葉を引用して講義をしてる。

「夢想は非現実的でなければならない。実現するとたちまち興味が失せてしまう。生きるためには夢は決して叶えられてはならない。我々が欲するのは、それではなく、それの幻影。欲望が叶うはずのない狂おしい夢を育む」

 また、パスカルも引用する。

「人は将来の幸せを夢見る時だけ幸せである」

 そしてケビン・スペイシーはこんなふうに結論づける。

「夢を生きがいにすると決して幸せは得られない。知性と理想を持って生きるのが充実した人生。夢が叶うか叶わないかで人生の価値は決まらない」

 さらに死刑前日、ケビン・スペイシーはケイト・ウィンスレットにこんな謎かけをする。

「人は日々、死を遠ざけようとする。そのために食べ、工夫し、愛し、祈り、闘い、殺す。だが死の何を知ってる?そこから誰も戻らない場所?だが、ふと人は気づく。ある一瞬、人の心は欲望とか執念を、乗り越える。習性が、夢に勝つんだ。多くを失うと死は喜びだ」

 達観したよーな台詞だな~とかおもってると、なかなかそんなではなかったことが、結末のどんでん返しで見えてくる。ローラ・リニーが白血病だってことがわかると、いよいよ、謎めいた事件が明らかになってくる。死を宣告された女がどれだけ強いかってことになるんだけど、死刑を宣告されたようなもので、これはかならずやってくる死なんだけど、死刑は止めることができるというのが、ローラ・リニーの主張するところなんだろうね。それで、その主張のとおりに、マット・クライヴンとケビン・スペイシーが仕掛けてくるっていう寸法なんだけど、う~ん。

 つまり、ケイト・ウィンスレットは嵌められたことになるのは、わかるんだけどなあ。

 

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