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マディソン郡の橋

2024年12月30日 03時03分35秒 | 洋画2024年

 ◎マディソン郡の橋(The Bridges of Madison County)

 

 つまり、4日間の濃密な恋の物語というだけで、とりたてて斬新な撮り方をしているわけでもなければ、ものめずらしい恋というわけでもない。

 いつイーストウッドが歯を噛みしめてマグナムをぶっぱなすんだろうとおもってたら、最後まで怒鳴ることすらなかったっていうのはくだらない冗句だけど、まあ、今回は監督だし、メリル・ストリープの目線だしってこともあって、イーストウッドは単なる相手役に終始してる。

 それにしても、メリル・ストリープは、イタリアで結婚適齢期までくすぶってて、ちょうど戦争で村へやってきたジム・ヘイニーにくっついてアメリカに渡るんだけど、摩天楼の都会を夢見てたのが、だたっぴろいだけのアイオワの片隅に住まわせられて、子どももふたりこしらえて、ただただ漫然と暮らしてたっていう設定で、まったく下品な言葉でいえば身体が夜泣きする状態つまり欲求不満のかたまりになってるところへ、まるで西部劇のカウボーイのように宿場から宿場へ放浪していくクリント・イーストウッドが登場するわけだから、こりゃもう大変で、欲情に火がついてもう4日間の愛欲に没頭しちゃうっていう物語なだけなんだけど、それがオブラートに包まれたような映像になっちゃってるもんだから、世の中の女の人は夢中になっちゃったんだろうか?

 まあしかし、これ『シェーン』でしょ?

 イーストウッドでいえば『ペイル・ライダー』か『荒野のストレンジャー』だわね。

 でもまあ、なんていうんだろう。世の中年や老年の人達にとって、家庭があっても好きな異性ができたらもう身も心もぞっこんになっちゃって、どこまでも溺れちゃいたいっていう願望はあるんだろうなあ。それでいて、結局、その相手と逃げちゃったら破局になるのが予感されちゃうし、美しい思い出にして死ぬまで取っておきたいっていう気持ちもあるんだろうなあ。だから、世の中の不倫騒ぎは、自分がしたくてもできないのを棚に上げて、とことん良識をふりかざして糾弾するのかなあ。なのに、こういう4日間のとくべつな時間には憧れちゃうんだなあ。なんだかなあ。

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