Creator's Blog,record of the Designer's thinking

毎月、おおよそドローイング&小説(上旬)、フィールド映像(中旬)、エッセイ(下旬)の3部構成で描き、撮り、書いてます。

ドローイング234. 小説:小樽の翆165. いつもの小樽時間

2020年09月06日 | Sensual novel

 

 翆は、今日は準夜勤だから夕方まで時間はタップリある。そんなときはクロッキーでもしようか。7分ポーズ2回で3セットにするか。このボディで昨夜も、激しく燃えていたのだから欲望は昇華したはずだ。それを描こうというのだから、やはりデッサンを勉強してきた長年の習慣だろう。女のボディは複雑な曲面の構成で面白いのであるが・・。

 翆は、お爺ちゃんのアトリエでクロッキー教室のモデルもしていたことがあるから、およそ裸になることに抵抗がない。一体何人の人間達に、翆の裸体を観察させていたことだろうか。

 ふと思うと、自分の恋人や上さんの裸体を他人の視線に触れさせる事ってあるのだろうか。いや、それは少ないはずだ。あるいは皆無かもしれない。つまり恋人・旦那独占か。それとも見せるに値しないボディだからだろうか。あるいは一々オトコの好奇心にさらされては疲れるだけだからシラーとしておこうという女の根性か。

 そうでなくても、絵描きは、街を歩く女達のコスチュームの一部に身体の体型が必ず現れるところがあるから、そこを手がかりにお尻の大きさや骨盤の形、ブラの大きさから乳房の大きさを観察して、女の体全体のプロポーションを描き出そうとしている。それを弁解的にいえば、デッサン力を維持するための努力なわけだけど・・・。

「翆は、モデルをしているときに何を考えているの?」

翆「えーーっと、生協で食材は何にしようとか、クリーニングに出す物はなかったかなとか、準夜勤が終わるのは深夜だから、今晩はどうしようかなとか・・・、そんなことだねえ」

なんだあ、高尚なことを考えていてもしょうがない。現実的にゆこう。

「そうだ、久しぶりに房チャンのお店で夜食をしようか?」

翆「それ、いいね、房チャンに予約しておくね」

いつもの小樽時間にもどってきた。

コメント
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