オショロコマの森ブログ5

渓流の宝石オショロコマを軸に北海道の渓流魚たちと自然を美麗画像で紹介します、

居麻布川完全破壊とオショロコマ消滅

2015-01-11 21:57:30 | 渓流魚、蝶、自然
にほんブログ村 釣りブログ 渓流釣りへにほんブログ村


にほんブログ村 釣りブログ 渓流釣りへにほんブログ村

2011-4-15(金) 薄曇り

居麻布川完全破壊とオショロコマ消滅。

この日、とある知床半島羅臼側渓流でオショロコマ調査を行い、その帰路に久しぶりに居麻布(オルマップ)川のオショロコマがどうなっているのか気になって立ち寄ってみた。 

国道から居麻布川を見たとたん、あーっという声がでたほどの衝撃で、目をむいてしまった。あまりにすざまじい光景に愕然となり、たちすくむのみであった。

開発による自然破壊という聞き飽きた言葉があるが、これほどひどい自然破壊は滅多にあるまい。

例によって最近知床のあちこちで自然破壊をほしいままにしている大きな魚道造設工事がここでも終わったところであった。

川の周囲の天然の樹木を広範に伐採。両川岸は全部、完膚無きまでに、ひろく地面をほっくりかえして、草木が無い土くれむきだし状態にされている。






















唯一渓流魚が棲んでいたダム下から下流にかけての水域は広範にコンクリート三面張りにされて生き物の生息を許さない人工水路にされていた。
















ダムの上流も広範に伐採された荒れ地をチョロ川がかろうじて流れているという見るも無惨な荒れ果てた光景だ。これは一体何のための工事か。

もともと天然のサケマスが遡上するような川ではない。こんな大げさな魚道を造って、何を遡上させたいのか。

かって棲んでいたとされるオショロコマも最初のダム工事と、それに続くニジマス、ブラウンの放流(ブラウンは1匹のみ発見)で壊滅したとされた。

羅臼町はこれを憂慮し、ニジマスなど駆除のあと、自然再生をはかるとして、わざわざ近くの渓流のオショロコマを放流( 実はこれはきわめて危険な国内外来魚移植に相当し、生態系の概念が広く普及した2014年現在の考えとしてはニジマス放流を凌駕する愚行とされる。)して、その後の経過を慎重に見守っていたはずではなかったのか。

しかし、私の目からみれば、はるか以前の最初のダム工事でこの川はすでに死の川になっていたと思われる。

従って、まがりなりにも多少よみがえりつつあった自然を、今また完全に破壊したからといって大勢に影響はないのかもしれない。

しかし、あまりにも行き当たりばったり、節操がない成り行きである。あきれた。呆れた。アキレタ。

世界遺産指定には一定期間を過ぎると見直し作業があるらしく、そのため先年、世界遺産知床を係官が再視察にきた。

この係官の目は完全な節穴ではなかったようで、知床の川に世界遺産にふさわしくないダムがこんなにも沢山あるのは極めて異常と強く指摘したという。

知床世界遺産指定取り消しの可能性に震え上がった当局が、急遽、魚道設置でこれを切り抜けようと考えた。

近年激減した地方公共事業に飢えている地元土木業者にも福音だ。そのため、なりふりかまわぬ魚道造設工事が行われたと考えるのは、私の考え過ぎであろうか。

これら知床の目立った渓流全般に施工されてきた短期間の一連の工事で手ひどい打撃をこうむったのは恐らく善良な、オショロコマなど淡水生物や川岸に棲む動植物のみだが、一般の人々の生活にとっては、それこそ、なんの影響もない。

こうして、ここ知床においてすら、誰も気づかないうちに(計画立案者たちや、やっている当事者たちすら気ずかずに)残り少なくなった自然が密やかに消えてゆくことが繰り返される。

しかし、自然はこんな些細な事象をはるかに超越して50年、100年、500年、1000年、1万年.....単位で、なるようにしかならない人知を越えた大きな法則に従って動いてゆく。

つい最近、東北地方でおこった災害(東日本大震災)がそれを如実に象徴していると思う。そのような視点からは居麻布川の自然破壊など些細な?ことに目くじらを立てるのは愚かなことなのかも知れない。

しかし、大震災同様、自分たちのすぐ目の前で、自分たちが生きている時に、自然が大破壊されるという不愉快・悲惨なことが起きることは、ほんとうにつらいものです。

その後、気分が少し落ち着いてきたら、いまさら居麻布川でのこういった蛮行・愚行を憤ってもどうにもならない。さて今後、例えば百年後、この川は一体どうなってゆくのだろうか?と別な意味での興味が湧いてきた。

私は、居麻布川のまわりの知床渓流の推移を長年みてきた経験からすると、他のいくつかの渓流のように数10年以内には水無し川になって消えてゆく可能性を最も考えている。当然、その確証は無く私の直感のようなものであるが。それほどに水量が少ない渓流である。

たまたま、この川の破壊に手を貸した人たちも、それを憤る私たちもその頃には当然鬼籍に入っているため、それを見届けることは出来ないが。

念のため、ダム下、二段ダムの間の水域、ダム上のチョロ川をさぐってみたが、当然ながら魚信は全くなかった。


PS : もし、このブログ記事がその頃でも、この世に残っていれば、知床の自然経過に興味を持つ人にとってはきっと貴重な記録になるだろう。

と考え、この記事を書きしるしておきます。


この記録は 先年、マックがサーバーを停止したため、消えてしまっていたものですが 貴重な記録と思い再録したものです。


               この項、続く。





にほんブログ村 釣りブログ 渓流釣りへにほんブログ村


にほんブログ村 釣りブログ 渓流釣りへにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする