デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

ジュリー・ロンドンのカレンダーを捲ってみよう

2007-12-09 07:16:38 | Weblog
 12月に入ると例年の如くあちこちから来年のカレンダーを頂く。大きく日付が並んだ実用的なものから、簡単なメモ書きができるもの、写真や絵をちりばめたもの様々だ。刷り立てのインクの匂いが残る新しいカレンダーは、一様に一足早い新年を感じさせる。一月の間、毎日のように見るものなので、やはり美しい絵や写真が付いているほうが壁を賑やかにする。それも魅力的な女性で肌の露出が大きいほど男性には好まれるようだ。

 そう、ここで登場するのはセクシーな水着姿で殿方を悩殺するジュリー・ロンドンのカレンダー・ガールである。写真が6枚しかないではないか、ご心配ありません、ジャケット裏にも妖艶なジュリーが微笑んでおります。(笑)1月から順番に各月にちなんだ曲を並べ、しかも曲名に月名が入る凝りようだ。月名の曲というと「4月の思い出」や「9月の雨」しか思い付かないが、大半はこのアルバムのために書かれたオリジナルという徹底ぶりだ。しかも13曲目に「13月」という書き下ろしまで加える手の込んだもので、1年間を長く楽しめるアルバムである。

 ジュリーはテレビドラマ「緊急指令レスキュー」の婦長デキシー・マッコール役でお馴染みの女優なのだが、歌手としても32枚のアルバムを残している。大胆なフェイクをするジャズ歌手ではないが、スモーキーなセクシーヴォイスはジャズフィーリング溢れるもので、豊かでない声量が逆にその端正で肉感的な容姿と重なりジャジーな雰囲気を醸し出す。紙に落としたインクがゆっくりと周辺に広がるようようにジュリーの品のあるフェロモンは、亡くなった今も尚ファンをじわじわと増やしている。

 冒頭で例年という言葉を使ったが、本田宗一郎氏はこの「例年」という言葉を嫌ったそうだ。例年というものはなく、毎年新しい年なのだから、毎年新しい生き方を考え、新しい工夫をしなくてはならない、という日本を代表する経営者らしい考えに基づくものだ。来年のカレンダーを捲り、新しい日付に新たな夢を描いてみたくなる。
コメント (49)
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