デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

2009-08-23 07:40:01 | Weblog
 顔の表情から相手の感情を読み取る際に、欧米人は口元に注目するのに対し、東洋人は目の表情を重視する傾向がある。という研究結果が先だって、米科学誌「カレント・バイオロジー」に掲載されたそうだ。目は口ほどに物を言うの諺通り日本人は確かにその傾向にあるが、目や瞳を歌った曲が多い欧米では日本以上に目の表情を読むと思っていただけに意外だった。何事もストレートなのが欧米流なのだろうか。

 「初めてあなたに会って恋に落ちたのは、そのあなたの瞳のせいよ」と、日本人ではとても口にできないような歌詞は、ウィリアム・トレイシーが作詞した「ゼム・ゼア・アイズ」で、作曲は「スウィート・ジョージア・ブラウン」で知られるメイシオ・ピンカードによるものだ。欧米でも男女間における目の表情は恋愛に欠かせないしぐさのようで、この曲や「エンジェル・アイズ」、「黒い瞳」、「スター・アイズ」等、「eyes」が付く曲は、恋する乙女のようなロマンティックな詞と、印象的なメロディを持っている。恋に落ちた瞬間を女性はいつまでも忘れないのだろう、ビリー・ホリデイをはじめ女性シンガーの名唱が多い。

 ゲイル・ロビンズが残した唯一のアルバム「アイム・ア・ドリーマー」でこの曲を歌っている。なかなかの美女で、ドリス・デイが主演した映画「カラミティ・ジェーン」に出演した女優だ。高音が伸びる美しい声をその美貌からイメージするが、顔に似合わないドスの利いた太い声で、流し目を送りながらけだるく歌うナイトクラブの歌手を思い出す。まるでその場に惚れた男がいて、じっと彼の目を見つめながら歌っているとしか思えないほど、色っぽくゆったりとしたテンポだ。歌唱力はそこそこだが、男を虜にする妖艶な雰囲気はえも言われぬ趣があり、鼻にかかった声で決めるラストフレーズの「Ooh those crazy eyes」は、その狂おしい目に吸い込まれそうだ。

 日本人が目の表情を重視することと直接は関係ないだろうが、日本語には「目」の入った慣用句が多い。そろそろ迎える「季節の変わり目」、どの町にもある「目抜き通り」、金の切れ目は「縁の切れ目」、ほかにも「名目」「目的」「目方」「欲目」「面目」等々、「目にあまる」ほどある。おっと、肝心な慣用句を忘れるところだった。小生に代表される「二枚目」、いや「抜け目」のないやつとも言われているが・・・
コメント (22)
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