デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

フォー・フレッシュメンに憧れて

2011-10-16 07:39:48 | Weblog
 フォー・エイセスの慕情、フォー・シーズンズのシェリー、ビーチ・ボーイズのサーファー・ガール、ブラザーズ・フォーのグリーンフィールズ、プラターズのオンリー・ユー、テンプテーションズのマイ・ガール、スタイリスティックスの愛がすべて・・・オールディズ・ファンは良くご存知の曲だが、さて共通するのは・・・ポップス、ロック、フォーク、そしてR&Bと幅広いが、全て美しいコーラスが聴ける。

 多くのコーラス・グループに多大な影響を与えたのは、1948年にインディアナポリスのバトラー大学で誕生したフォー・フレッシュメンだ。そのオリジナルメンバーであるボブ・フラニガンに続き、8月20日にロス・バーバーが82歳で亡くなり、これで初代メンバー全員が亡くなった。デビューのきっかけはスタン・ケントンがたまたま知人から、ケントン・バンドのようなサウンドを出すコーラス・グループがいるから聴いてみないかと誘われたことによる。どこにでもいる当時主流のスキャットのコーラスだろうと高を括っていたケントンが、あまりの美しさにバーのスタンドからストンと落ちるほど驚いたそうだ。

 男声カルテットのコーラスは、上から2つ目のパートがメロディを歌うクローズ・ハーモニーが一般的だったが、フォー・フレッシュメンは一番上のパートにメロディを持っていったオープン・ハーモニーに特徴がある。通常より高い声でメロディを歌うことになるので女声を加えれば簡単だが、男声ばかりのグループでは広い声域と技量の持ち主がいないとハーモニーが形成されない。それをいとも簡単にやってのけ、さらに楽器も上手い。数あるアルバムでも最高傑作は、フォー・フレッシュメン&5トロンボーンズに止どめを刺す。5トランペット、5サックス、5ギターとの同種の作品もあるが、温かい四声ハーモニーとトロンボーン独特のふくよかな音色がこれほどマッチする例は見ない。

 結成後、幾度かメンバーも変り、年齢的にはオールドマンだが、常に高水準を保ち、今尚そのモダン・ジャズ・コーラスの美しいハーモニーとユニゾンは新鮮に響く。ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンは少年のころフォー・フレッシュメンに憧れ、そのテクニックを盗もうと研究したそうだ。そこからロック史上に残る名盤「グッド・ヴァイブレーション」が誕生したといっていい。今でもフォー・フレッシュメンに憧れる少年は多いという。
コメント (24)
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