先月末に原節子さんが、9月5日に95歳で亡くなっていたことが報道された。42歳で引退しているので新作を映画館で観たことはないが、「青い山脈」や「東京物語」という名作はテレビで鑑賞している。生涯一度も結婚しなかったので「永遠の処女」と言われ、スクリーンを去った後は表舞台に一切姿を現すことがなく伝説化された女優だ。類い稀な美貌の持ち主で小生より上の世代は胸ときめかせたことだろう。
奇しくも今年10月24日に同じ歳で亡くなったアメリカの女優がいる。西部劇のヒロイン役で有名なモーリン・オハラだ。数ある出演作のなかでもジョン・ウェインと共演した「静かなる男」は印象深い。典型的な美人なので、どのような表情でも綺麗なのだが、ハッとするほど美しいのは怒った顔である。例えば浮気がバレて彼女に怒られた時、「怒った顔も綺麗だよ」と言い訳にならないフレーズで繕ったりするが、余程の美女でない限り怒った顔は間違いなく鬼なのである。いや、プライドの高い美人ほど恐ろしい形相になるものだ。オハラの怒った顔が美しいのは、芯が強くて勝ち気な女を演じることが多かったこともあるが、赤い髪と燃えるような紅い唇、そしてクールな目元にある。
その容姿からテクニカラーの女王と呼ばれたオハラは歌も上手い。女優の余技ではないことを先に言っておく。まず大きく肌蹴た胸元のジャケットに吸い込まれる。そして「Love Letters From Maureen O'Hara」というタイトル。メールのない時代にどれほどラブレターに思いを馳せたことだろう。次にライナーノーツ。何とジョン・フォード監督が書いている。そして選曲。「Love Letters」は勿論のこと、「My Romance」に「You'd Be So Nice」、聴かずににはいられない。そして極め付きは「I Only Have Eyes For You」だ。ややラテン調のアレンジでメリハリを付けて美しい声でドラマティックに歌い上げる。クラシック風の味付けはオハラならではの気品といえよう。
二人の女優は1920年生まれで戦前から戦後にかけて銀幕を彩っていた。映画が娯楽から芸術性を帯びていく時代である。片や小津安二郎監督のお気に入りで、片やジョン・フォード監督御用達だ。21世紀に残したい映画100本に選ばれた「東京物語」、ヒューマン・ラブストーリーの最高傑作と謳われる「静かなる男」。後世に残る名監督の名作は名女優なくしてあり得ない。
奇しくも今年10月24日に同じ歳で亡くなったアメリカの女優がいる。西部劇のヒロイン役で有名なモーリン・オハラだ。数ある出演作のなかでもジョン・ウェインと共演した「静かなる男」は印象深い。典型的な美人なので、どのような表情でも綺麗なのだが、ハッとするほど美しいのは怒った顔である。例えば浮気がバレて彼女に怒られた時、「怒った顔も綺麗だよ」と言い訳にならないフレーズで繕ったりするが、余程の美女でない限り怒った顔は間違いなく鬼なのである。いや、プライドの高い美人ほど恐ろしい形相になるものだ。オハラの怒った顔が美しいのは、芯が強くて勝ち気な女を演じることが多かったこともあるが、赤い髪と燃えるような紅い唇、そしてクールな目元にある。
その容姿からテクニカラーの女王と呼ばれたオハラは歌も上手い。女優の余技ではないことを先に言っておく。まず大きく肌蹴た胸元のジャケットに吸い込まれる。そして「Love Letters From Maureen O'Hara」というタイトル。メールのない時代にどれほどラブレターに思いを馳せたことだろう。次にライナーノーツ。何とジョン・フォード監督が書いている。そして選曲。「Love Letters」は勿論のこと、「My Romance」に「You'd Be So Nice」、聴かずににはいられない。そして極め付きは「I Only Have Eyes For You」だ。ややラテン調のアレンジでメリハリを付けて美しい声でドラマティックに歌い上げる。クラシック風の味付けはオハラならではの気品といえよう。
二人の女優は1920年生まれで戦前から戦後にかけて銀幕を彩っていた。映画が娯楽から芸術性を帯びていく時代である。片や小津安二郎監督のお気に入りで、片やジョン・フォード監督御用達だ。21世紀に残したい映画100本に選ばれた「東京物語」、ヒューマン・ラブストーリーの最高傑作と謳われる「静かなる男」。後世に残る名監督の名作は名女優なくしてあり得ない。