先日、馴染みのジャズバーでマスターと酔った勢いで与太話をしていたら居合わせたお客さんから「あのぉ、煙が目にしみるって曲ありますよね、マイルスのはどのアルバムに入っているんでしょうか?」と聞かれた。どちらからともなく会釈を交わす程度で話をしたことはないが、小生より一回り若い方だ。マスターは「さぁ?」と私に振る。「えっ、マイルスの煙はないはずですが?」と聞き返すと、YouTubeでプラターズを探していたときに見付けたという。
早速、開いてくれた。最新のiPhoneだかで音が良い。確かに「Smoke Gets In Your Eyes Miles Davis」とクレジットされている。マイルスに似ているがマイルスではない。これが収録されているCDを聴いたことがあるので恥をかかなくて済んだ。しかも録音された1992年に、このメンバーのライブを見ている。リチャード・デイヴィスは僅か1メートル前にいる。左手に真面目を絵に描いたようなジョン・ヒックス、奥に元気のいい中村達也、そしてピアノに肩肘付いてやる気のなさそうなマービン・ピーターソン。観客の少ないドサ回りで沈むのは仕方がないとしても、椅子に座ったままソロを取る大先輩のリチャードを蔑むような態度に腹が立つ。
あの輝きはどうしたのだろう。そう、あれは1972年にビリー・ハーパーと一緒にギル・エヴァンスのバンドの一員として来日したときだ。派手なイスラム風の衣装で颯爽と登場するなり新宿厚生年金ホールの屋根を突き破るようなハイノートを連発する。いやはや、こんなに上手い奴がいるのか。ギルが連れてくるだけのことはある。後に「トランペットのコルトレーン」とか「ジャズ界のモハメッド・アリ」とも呼ばれたマービンの日本デビューだ。シーンをリードする勢いがあったマービンを、20年後このような姿で聴くとは思わなかった。人気や実力が優先するジャズ界であっても先輩を敬う心がなければ大物にはなれない。
基本的にジャズミュージシャンを批判することなく、一人でも多くのジャズファンが増えるようジャズの魅力を伝えるのを当ブログの主旨としているが、期待が大きかっただけに裏切られた感が強かった。熱心なマービン・ファンには許していただきたい。ところで、YouTubeのルールは知らないが、誰がこんな悪戯をするのだろう。「犯人はハンニバル」と煙に巻いて店をあとにした。
早速、開いてくれた。最新のiPhoneだかで音が良い。確かに「Smoke Gets In Your Eyes Miles Davis」とクレジットされている。マイルスに似ているがマイルスではない。これが収録されているCDを聴いたことがあるので恥をかかなくて済んだ。しかも録音された1992年に、このメンバーのライブを見ている。リチャード・デイヴィスは僅か1メートル前にいる。左手に真面目を絵に描いたようなジョン・ヒックス、奥に元気のいい中村達也、そしてピアノに肩肘付いてやる気のなさそうなマービン・ピーターソン。観客の少ないドサ回りで沈むのは仕方がないとしても、椅子に座ったままソロを取る大先輩のリチャードを蔑むような態度に腹が立つ。
あの輝きはどうしたのだろう。そう、あれは1972年にビリー・ハーパーと一緒にギル・エヴァンスのバンドの一員として来日したときだ。派手なイスラム風の衣装で颯爽と登場するなり新宿厚生年金ホールの屋根を突き破るようなハイノートを連発する。いやはや、こんなに上手い奴がいるのか。ギルが連れてくるだけのことはある。後に「トランペットのコルトレーン」とか「ジャズ界のモハメッド・アリ」とも呼ばれたマービンの日本デビューだ。シーンをリードする勢いがあったマービンを、20年後このような姿で聴くとは思わなかった。人気や実力が優先するジャズ界であっても先輩を敬う心がなければ大物にはなれない。
基本的にジャズミュージシャンを批判することなく、一人でも多くのジャズファンが増えるようジャズの魅力を伝えるのを当ブログの主旨としているが、期待が大きかっただけに裏切られた感が強かった。熱心なマービン・ファンには許していただきたい。ところで、YouTubeのルールは知らないが、誰がこんな悪戯をするのだろう。「犯人はハンニバル」と煙に巻いて店をあとにした。