先週話題にした「I Remember You」を聴き比べるため「The Interpretations of Tal Farlow」を取り出した。そう言えば片岡義男さんがエッセイでタルのことを書いていたのを思い出し書棚を探す。「彼女の部屋の、ジャズのLP」。そうそうこれだ。「彼女と彼女の部屋には、タル・ファーロウがもっとも似合っていた・・・彼女はまさに『イッツ・ユー・オア・ノー・ワン』の曲そのものであり、演奏はタル・ファーロウ以外にはあり得ないのだった」と。
タル・ファーロウが似合う彼女とはどんな女性なのだろう?これがエヴァンスなら少しでも乱暴に扱えば壊れてしまう繊細な少女、マイルスなら凛としたクールな美女、MJQなら10度に首をかしげて微笑む淑女、パーカーなら度胸が据わった姐さん、デクスター・ゴードンなら胸を大きく開けた娼婦となるが。タルといえば音色は太く逞しい。そしてオクトパスと呼ばれた大きな手で複雑なコード進行をすいすいと弾きこなす。そこからイメージするなら男勝りで痒い所に手が届く女性となる。そしてタルが似合う部屋とは丈夫な観葉植物カポックやハンフリー・ボガードのポスターが映える空間なのだろう。
It's You Or No One、作曲はジュール・スタインで、1948年の映画「Romance on the High Seas」に使われた曲だ。映画では主演のドリス・デイがサミー・カーンの詞を丁寧に歌い上げている。エッセイのようにタルで聴いてみよう。ピアノはクロード・ウィリアムソン、ドラムはスタン・リーヴィ、そして先週も登場したレッド・ミッチェルがここでは本業のベースを弾いている。3分半の短い演奏ながらドラマチックな展開で、美しい女性が更に美しくなり手の届かない存在になるかもしれないという不安と、今一緒にいる満足感が同時に伝わってきた。絃の微妙な響きやピッキングの強弱がその心理を表している。
ジャケットはタイム誌の表紙や数々のジャズ・レコードのデザインを手がけたデイヴィッド・ストーン・マーチンによるものだ。イラストからギターの音色、それもタルとわかる太い響きが聴こえてくるし、楽器の形の美しさがよく出ている。ギターはそのひょうたん形からときに女性に例えられるほどボディラインは美しい。因みにこのエッセイがまとめられている本のタイトルは、『「彼女」はグッド・デザイン』である。
タル・ファーロウが似合う彼女とはどんな女性なのだろう?これがエヴァンスなら少しでも乱暴に扱えば壊れてしまう繊細な少女、マイルスなら凛としたクールな美女、MJQなら10度に首をかしげて微笑む淑女、パーカーなら度胸が据わった姐さん、デクスター・ゴードンなら胸を大きく開けた娼婦となるが。タルといえば音色は太く逞しい。そしてオクトパスと呼ばれた大きな手で複雑なコード進行をすいすいと弾きこなす。そこからイメージするなら男勝りで痒い所に手が届く女性となる。そしてタルが似合う部屋とは丈夫な観葉植物カポックやハンフリー・ボガードのポスターが映える空間なのだろう。
It's You Or No One、作曲はジュール・スタインで、1948年の映画「Romance on the High Seas」に使われた曲だ。映画では主演のドリス・デイがサミー・カーンの詞を丁寧に歌い上げている。エッセイのようにタルで聴いてみよう。ピアノはクロード・ウィリアムソン、ドラムはスタン・リーヴィ、そして先週も登場したレッド・ミッチェルがここでは本業のベースを弾いている。3分半の短い演奏ながらドラマチックな展開で、美しい女性が更に美しくなり手の届かない存在になるかもしれないという不安と、今一緒にいる満足感が同時に伝わってきた。絃の微妙な響きやピッキングの強弱がその心理を表している。
ジャケットはタイム誌の表紙や数々のジャズ・レコードのデザインを手がけたデイヴィッド・ストーン・マーチンによるものだ。イラストからギターの音色、それもタルとわかる太い響きが聴こえてくるし、楽器の形の美しさがよく出ている。ギターはそのひょうたん形からときに女性に例えられるほどボディラインは美しい。因みにこのエッセイがまとめられている本のタイトルは、『「彼女」はグッド・デザイン』である。