コタツ評論

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ミュリエルの結婚

2007-06-07 00:33:56 | レンタルDVD映画
CATVで視聴。思わぬ拾い物。

世界のイナカであるスェーデンのアバのヒット曲に励まされるように、同じく世界のイナカであるオーストラリアのさらにイナカ町のデブ娘が、シドニーに「上京」して自立しようとする物語。

南アフリカから移住しようとする水泳のオリンピック候補とミュリエルが偽装結婚するなど、オーストラリア事情もからむ。挫折して(というほど深刻ではないが)、いったんは故郷のイナカ町に戻ろうとするが、親友を誘ってまたシドニーに向かうミュリエルは、「グッバイ、イナカ町、グッバイ、観光客!」と叫ぶ。

オーストラリアについてまったく知らないが、イラク派兵までしてアメリカにつき従うオーストラリアの外交姿勢と、ミュリエルの愚かしい結婚願望が重なって見える。

観光地とは、そこに住む住民にとって退屈なイナカ町に過ぎない。イナカ町から自由になったミュリエルは結婚願望からも解放され、姉のような親友とのオルタナティブな家族関係を築いていくだろうと想像させる。

通俗な物語に類型的な登場人物と素朴な楽曲を組み合わせ、ミュリエルのイナカ娘ぶりを自虐的に笑いのめしながら、オーストラリアについて知的な問い直しをしているようだ。オーストラリアが少し好きになった。

コメント
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