かつて、石井輝男という、それはおもしろい映画をつくる監督がいました。現代の石井輝男は、三池崇史です。荒唐無稽が裸足で逃げ出す映画を次々につくっております。こういう作品や監督は、コンテンツ産業の活性化のために映画振興助成金とか、映画スクールやシナリオ賞の創設とか、そういう優等生のマーケティング会議からはけっして生まれず、試写会には足を運ばない映画ファンたちに、映画館の座席から手を打って賞賛されるものです。
小栗旬もいいが、やはり、「チンピラの拳」を演じたやべきょうすけが圧倒的。やべと山田孝之がプロの俳優らしく、古臭い型にはまった役作りをしたおかげで、演技には素人に等しい不良高校生役たちがより新鮮に見えた。
挿入歌を歌っているTHE STREET BEATSがまた結構。歌詞は陳腐だが、リードボーカルが味のある声とよい面構えとをしている。
(敬称略)