シリアの空爆がとりあえず避けられ、イランが国際社会へ復帰しそうなわけで、おかげでエジプトのクーデターと反政府市民の衝突がどうなったか、とんとニュースが入ってこない。それはともかく、エジプトが中東だということに、いまだに合点がいかない。
「犬の散歩に袋」「召使雇わない」…中東が日本の美徳に注目
http://news.livedoor.com/article/detail/8180047/
「日本人はイヌの散歩の際、糞(ふん)を片付けるための袋を持ち歩く」「日本は世界で最も裕福な国の一つなのに、(大部分の)国民は召し使いを雇っていない」
貧富の差が大きいエジプトでは、高収入の家庭で使用人を雇うのは一般的で、ペットの世話なども他人任せにすることが多い。
これを読んでいたら、『損を承知で正論申す』(石堂淑朗 PHP研究所)の一文を思い出した。この本は、1989~1990年に月刊中央公論に連載したエッセイをまとめたものだが、そのなかに、「イスラム雑感」というエジプト訪問記がある。
カルナック大神殿のルクソールからアブシンベル神殿のヌビアまで、古代の神殿史跡を巡る紀行文を書いた旅の思い出である。石堂は、アブシンベル神殿を訪ねたとき、ちょっとした衝撃を受ける。
アブシンベル神殿。エジプト観光客は激減しているそうです。
「バクシーシュ(喜捨)とたかり・乞食のように押し売りしてくる禿鷹を思わせるエジプト人たち」の姿が消え、「物売りをしていても、ただにこにこしているだけで、絶対に近寄ってこない、黒塗りのお地蔵さんさながらのヌビア人」たちに出会ったからだ。「あまりの変わりようにガイドブックを読み直すと、何のことはない、国が変わっていたのである」。アブシンベル神殿のあるヌビア一帯は、スーダンにまたがるアフリカだった。
同じエジプト人とはとうてい思えない。私は温厚なヌビア人と接しながら、エジプト人達は他ならぬその昔、アフリカ原住民を奴隷としてアメリカに売り飛ばすのに大きな役割をした悪辣なアラブ商人であったことを思い出した。天が下に新しきことなし、奴隷なきいまエジプト人達はヌビア人を低賃金で奴隷のようにこき使っているのである。あちこちのホテルに泊まったが、メイドその他の下働きは例外なしに黒いヌビア人が多かったのである(同書 227p)
20年以上も前に書かれたエッセイだが、いまもあまり変わりないのではないかと思わせるニュースが出た。
奴隷を持つ恥ずべき国のリストに、インド、中国、パキスタン、ナイジェリア
http://edition.cnn.com/2013/10/17/world/global-slavery-index/index.html?hpt=hp_c2
調査によれば、インド1400万人、中国290万人、パキスタンには210万人の奴隷がいて、その他、ナイジェリア、エチオピア、ロシア、タイ、コンゴ民主共和国、ミャンマー、バングラデシュが奴隷が多い国の上位10か国だそうだ。
"We're not talking about bad choices, we're not talking about crummy jobs in a sweatshop. We're talking about real life slavery -- you can't walk away, you're controlled through violence, you're treated like property."
グーグル翻訳を意訳
"我々は、悪い選択肢について話していない、我々は搾取された悲惨な労働について話をしていない、我々は現実の奴隷制の話をしている。あなたは(彼らを)拘束している、あなたは暴力を介して制御している、あなたが扱かう資産のように。"
メイド喫茶が話題になるほどメイドさえ珍しい日本だから、奴隷なんて関係ないと思っていたが、ついこの間まで奴隷のような日本人がいたそうだ。これには驚いた。
封印された日本のタブー 人権を無視した某集落の奇習「おじろく・おばさ」
http://n-knuckles.com/discover/folklore/news000589.html
奴隷の条件や環境はさまざまに違いがあるが、奴隷が奴隷であることを、主体的といえるほどに受け入れたとき、奴隷は完全な奴隷といえる、という誰かの言葉を思い出した。
「エジプト市民」はメイドを使わない日本人に驚いているようだが、竹中平蔵率いる「産業競争力会議」は、移民受け入れに積極的なので、いずれ日本にもフィリッピン人メイドが普及するかもしれない。
田原総一朗×竹中平蔵対談【下】「移民の受け入れなどタブーなき議論をすれば人口減少下でも経済成長は達成できる」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36315?page=4
竹中: ただ、毎年毎年、2030年を過ぎると日本の人口って100万人強減ってくるんですよ。そうすると、たとえば私の学生、とくに女子学生なんかに「いちばん欲しいものは何か」と聞くと、ほとんどの人がメイドさんだって言いますね。だって自分が働くには必要ですから。
竹中平蔵主査の「産業競争力会議」が政府に提出したレポートのタイトルが、「立地競争力の強化に向けて」ですからね。日本の国土や環境や社会を、企業や工場や店舗の立地対象と同様に考えているわけです。すると、たしかに、海外のビジネスエリートやセレブを東京に集めるためには、安く働いてくれるメイドや下働きが必要ですよね。もちろん、メイドは奴隷じゃありません。しかし、階層社会はメイドを必要とし、メイドはメイドを生み、やがてメイド以下をも必要とするのです。
(敬称略)
「犬の散歩に袋」「召使雇わない」…中東が日本の美徳に注目
http://news.livedoor.com/article/detail/8180047/
「日本人はイヌの散歩の際、糞(ふん)を片付けるための袋を持ち歩く」「日本は世界で最も裕福な国の一つなのに、(大部分の)国民は召し使いを雇っていない」
貧富の差が大きいエジプトでは、高収入の家庭で使用人を雇うのは一般的で、ペットの世話なども他人任せにすることが多い。
これを読んでいたら、『損を承知で正論申す』(石堂淑朗 PHP研究所)の一文を思い出した。この本は、1989~1990年に月刊中央公論に連載したエッセイをまとめたものだが、そのなかに、「イスラム雑感」というエジプト訪問記がある。
カルナック大神殿のルクソールからアブシンベル神殿のヌビアまで、古代の神殿史跡を巡る紀行文を書いた旅の思い出である。石堂は、アブシンベル神殿を訪ねたとき、ちょっとした衝撃を受ける。
アブシンベル神殿。エジプト観光客は激減しているそうです。
「バクシーシュ(喜捨)とたかり・乞食のように押し売りしてくる禿鷹を思わせるエジプト人たち」の姿が消え、「物売りをしていても、ただにこにこしているだけで、絶対に近寄ってこない、黒塗りのお地蔵さんさながらのヌビア人」たちに出会ったからだ。「あまりの変わりようにガイドブックを読み直すと、何のことはない、国が変わっていたのである」。アブシンベル神殿のあるヌビア一帯は、スーダンにまたがるアフリカだった。
同じエジプト人とはとうてい思えない。私は温厚なヌビア人と接しながら、エジプト人達は他ならぬその昔、アフリカ原住民を奴隷としてアメリカに売り飛ばすのに大きな役割をした悪辣なアラブ商人であったことを思い出した。天が下に新しきことなし、奴隷なきいまエジプト人達はヌビア人を低賃金で奴隷のようにこき使っているのである。あちこちのホテルに泊まったが、メイドその他の下働きは例外なしに黒いヌビア人が多かったのである(同書 227p)
20年以上も前に書かれたエッセイだが、いまもあまり変わりないのではないかと思わせるニュースが出た。
奴隷を持つ恥ずべき国のリストに、インド、中国、パキスタン、ナイジェリア
http://edition.cnn.com/2013/10/17/world/global-slavery-index/index.html?hpt=hp_c2
調査によれば、インド1400万人、中国290万人、パキスタンには210万人の奴隷がいて、その他、ナイジェリア、エチオピア、ロシア、タイ、コンゴ民主共和国、ミャンマー、バングラデシュが奴隷が多い国の上位10か国だそうだ。
"We're not talking about bad choices, we're not talking about crummy jobs in a sweatshop. We're talking about real life slavery -- you can't walk away, you're controlled through violence, you're treated like property."
グーグル翻訳を意訳
"我々は、悪い選択肢について話していない、我々は搾取された悲惨な労働について話をしていない、我々は現実の奴隷制の話をしている。あなたは(彼らを)拘束している、あなたは暴力を介して制御している、あなたが扱かう資産のように。"
メイド喫茶が話題になるほどメイドさえ珍しい日本だから、奴隷なんて関係ないと思っていたが、ついこの間まで奴隷のような日本人がいたそうだ。これには驚いた。
封印された日本のタブー 人権を無視した某集落の奇習「おじろく・おばさ」
http://n-knuckles.com/discover/folklore/news000589.html
奴隷の条件や環境はさまざまに違いがあるが、奴隷が奴隷であることを、主体的といえるほどに受け入れたとき、奴隷は完全な奴隷といえる、という誰かの言葉を思い出した。
「エジプト市民」はメイドを使わない日本人に驚いているようだが、竹中平蔵率いる「産業競争力会議」は、移民受け入れに積極的なので、いずれ日本にもフィリッピン人メイドが普及するかもしれない。
田原総一朗×竹中平蔵対談【下】「移民の受け入れなどタブーなき議論をすれば人口減少下でも経済成長は達成できる」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36315?page=4
竹中: ただ、毎年毎年、2030年を過ぎると日本の人口って100万人強減ってくるんですよ。そうすると、たとえば私の学生、とくに女子学生なんかに「いちばん欲しいものは何か」と聞くと、ほとんどの人がメイドさんだって言いますね。だって自分が働くには必要ですから。
竹中平蔵主査の「産業競争力会議」が政府に提出したレポートのタイトルが、「立地競争力の強化に向けて」ですからね。日本の国土や環境や社会を、企業や工場や店舗の立地対象と同様に考えているわけです。すると、たしかに、海外のビジネスエリートやセレブを東京に集めるためには、安く働いてくれるメイドや下働きが必要ですよね。もちろん、メイドは奴隷じゃありません。しかし、階層社会はメイドを必要とし、メイドはメイドを生み、やがてメイド以下をも必要とするのです。
(敬称略)