コタツ評論

あなたが観ない映画 あなたが読まない本 あなたが聴かない音楽 あなたの知らないダイアローグ

マッチ擦るうっとあったかい

2014-01-22 23:01:00 | 詩文


池田澄子

寒ければ着重ね恋しければ逢う

セーターにもぐり出られぬかもしれぬ

私より彼女が綺麗糸みみず

じゃんけんで負けて螢に生れたの

忘れちゃえ赤紙神風草むす屍

渡辺白泉

おらは此のしつぽのとれた蜥蜴づら

街燈は夜霧にぬれるためにある

気の狂った馬になりたい枯野だった

まんじゅしゃげ昔おいらん泣きました

戦争が廊下の奥に立つてゐた

藤後左右

山羊が来て苦労をともにすると云う

志布志の家百舌と女が走っていた

冬の海から見る丘の松はたまらない

畠の大根は抜いて漬けるように言つた

兵隊の誰もが持つ遥かなるまなざし



(敬称略)