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一足お先に後ずさり2

2019-08-15 23:15:00 | 政治
すぐ下で立川志らく師匠のコメントを批判したばかりだが、橋口亮輔監督はそれ以上を露呈していて、正直、驚いた。どうやら、「日本人の多く」に私は入っていないのかもしれない。

橋口亮輔監督の作品では「ぐるりのこと」を観ている。それまで名前も知らずにいた木村多江という魅惑的な女優と、リリー・フランキーという「新人」性格俳優を私に知らしめてくれた映画だった。

「2009年ベストワン映画」
https://moon.ap.teacup.com/chijin/473.html

揺れ動く感情を肌理細やかに描写して、閉じようとする関係性をなんとか紡ぎ直そうとする切なさを浮かび上がらせて見事だった。その監督が「特攻隊の方型」や「芸術監督は、津田大輔氏」といった誤字誤記を見逃すだけでなく、「御真影」「散華」といった言葉をいささかの留保もなく用いる。

いったん、「公序良俗に反する」と着地しながら、激高したかのように、日本社会と日本人を侮蔑・攻撃する「悪辣な政治プロパガンダ」とフレームアップする。さらに、展示会の中止に反対する人たちをひとしなみに、「破壊者」「テロリスト」と断じて顧みない。

「公序良俗に反する」ことなく人に感動を与える芸術作品を、と説くあたり、志らく師匠と同様だが、では、戦意高揚をめざすいわゆる「戦争芸術」は、いったい、「公序良俗に反する」のか「反しない」のか。

その生涯を通じて、「反戦と平和」の道を歩き、ときに風紀紊乱者でもあったジョン・レノンなども、橋口監督の伝で言えば、「破壊者」「テロリスト」であり、「ピンポンダッシュ」の親玉ということになる。

それはもはや、「特定の政治思想」としか言いようがない。そして、「日本人の多く」の同意同感を当にできる「多くの日本人」の一人を確信しているようだ。私もまた、「多くの日本人」の一人だと思っているが、残念ながら、橋口監督のような「特定の政治思想」に与するのは願い下げである。

映画監督橋口亮輔「まっすぐ」
2019年08月09日 表現

https://www.24hitomi.or.jp/hashiguchiryousuke/

(止め)
コメント
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