コタツ評論

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大坂なおみ賛江

2020-09-15 07:13:00 | 政治

ラッパーの恋人(右端)と一緒に

「日本の誇り」といえば少しく適切ではないだろう。アメリカ映画を観ていると、親が子に、兄や姉が弟や妹に、年長者が若輩に、「お前を」「あなたを」「君を」「誇りに思う」という場面によく出会う。「誇らしい」という満足感とともに、「未来を託す」という思いが込められているのだと思う。人から人へ贈る「誇りに思う」という表現も内心も日本人には馴染みがない。

黒人差別に反対する一連の「政治的発言」と試合ボイコットを巡って様々なプレッシャーを受けながら、全米オープンを連覇する偉業を成し遂げた「恥ずかしがり屋」の彼女に、日本のTV記者が発した第一声は、「いま、何が食べたいですか?」だったように、ほとんどギャグに等しい卑小さを装うのはなぜだろうか。そのくせ、彼女を「日本の」「日本人の」「誇り」とはいいたがる。

卑小と尊大の同居。そこには、過去と現在しかなく、未来という視野がどこにもない。一方、アメリカには、未来志向ばかりがありすぎるようだが、それを是正して過去と現在を織り込んでいるのが、「人種差別反対」に代表される市民運動なのかもしれない。

残念ながら、アメリカという「世界」の未来を担う一人と認知されはじめた大坂なおみさんの寄稿と記事をいくつかご紹介します。記事はいずれも良記事ですが、「悪貨が良貨を駆逐している」日本のジャーナリズムでは、スポーツ以外の政治や社会・経済などではなかなか受け入れられそうにありません。以下の言葉など、日本人に向けられたもののように思えます。

「人種差別主義者ではない」ことだけでは、十分ではないのです。私たちは「反人種差別主義者」でなくてはならないのです。

大坂なおみが特別寄稿。ジョージ・フロイド事件の数日後に、私がミネアポリスでデモに参加した理由
https://www.elle.com/jp/culture/a33292072/naomi-osaka-op-ed-george-floyd-protests/

アメリカの賛同・賛辞文化は日本よりはるかに優れていますね。

「この勝利は自分のため この闘いはみんなのため」NIKE広告

「あなたが受け取ったメッセージは何ですか?」22歳の女王・大坂なおみは米国でどう評価されているのか
https://number.bunshun.jp/articles/-/845038

惨敗したショックで大泣きし動揺している15歳の「天才少女」をインタビューに誘ったときから、すでに真の「女王」だったのですね。

フェデラー「あれこそがテニスさ」大坂なおみがガウフに見せた敬意【全米オープン】
https://number.bunshun.jp/articles/-/845029?page=4

(止め)

コメント
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