コタツ評論

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今夜は、尾崎紀世彦

2020-09-22 10:10:00 | 音楽
「また逢う日まで」が大ヒットした頃、あまり興味を持てる歌手ではなかった。声を張り上げるところが属国臭く、それもカントリーぽくて、ともかく古臭いスタイルに思えた。サビをさらりと流すところも物足りなかった。

こちらが相応に年を食ってみると、いずれも気にならなくなった。どんな曲でも軽々と歌いこなし、洋楽に日本語歌詞を載せても自然に聴かせる、とても得がたいシンガーであったことにあらためて気づかされた。

惜しむらくは、COVER曲の多くにおいて、編曲・伴奏に安手なものが多いことだ。歌唱に癖やケレンがないのだから、編曲はもっとメリハリが効いていなければ。「また逢う日まで」が派手なイントロを必要としたわけだ。

結局、プロデューサーやディレクターに恵まれなかったのかもしれない。ジャンルは分かれていても「歌謡曲」でなければ受け入れられない日本では、「ハワイアン」がルーツという資質の違いも大きかっただろう。

この胸のときめきを 尾崎紀世彦 UPC‐0246


ダスティ・スプリングフィールドやプレスリーのように劇的に歌い上げない。ただ、ダスティ・スプリングフィールドやエンゲルベルト・フンパーディンク、トム・ジョーンズくらいのクオリティのアレンジで歌わせたかった。

レット・イット・ビー Let It Be - 尾崎紀世彦
https://www.youtube.com/watch?v=EMdhDf40eVE

少なくともポール・マッカートニーより上手い。歌唱だけをとりあげて云々するのはあまり意味がないが。

明日に架ける橋 尾崎紀世彦 UPC‐0016


いや、どの動画のコメント欄にも、「キーヨ」の歌唱を絶賛するファンの声が多いので。オリジナルよりずっと上手いじゃないか、といいたくなるその気持ちはよくわかる。

尾崎紀世彦 好きにならずにいられない
https://www.youtube.com/watch?v=AOjdGYllcHU

あなたのすべてを
https://www.youtube.com/watch?v=zDN0Dq6AZhY

尾崎紀世彦 やさしく歌って 1974 / Killing Me Softly with His Song
https://www.youtube.com/watch?v=Y1x2EhoZaOE

尾崎紀世彦コンサート モノマネ集


こんなに楽しい人だとは知らなかった。

尾崎紀世彦 I LOVE YOU (尾崎豊)2011


病気のせいか、声が出なくなってハラハラします。あれほど、スムーズだったファルセット転換が!「思いを込めて」歌わないスタイルでしたが、寄る辺なき青春の不安とぬくもりを描いたこの歌に、晩年の不安定な歌唱が寄り添うように聴こえます。

(止め)
コメント
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