コタツ評論

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天才を見つけたら

2015-04-02 21:45:00 | 音楽
先にビリー・ホリディのナンバーをビリー・ホリディのように歌うノルウェイの8歳の少女・アンジェリーナ・ジョーダンを紹介しました。今回はマリア・カラスのように歌う9歳(当時)のオランダの少女です。オーディション番組で質問に答えているのですが、Youtubeで音源を見つけたそうです。もしかすると、アンジェリーナも親のレコードではなく、Youtubeで古いジャズナンバーを聴いて覚えたのかもしれません。

難易度の高いゲームに挑戦するように、ビリーのニュアンスを込めた複雑な節回しやカラスの鮮やかな音階転移をわがものにしたとも考えられます。幼児が取説も読めないのに、PCやゲームをすぐに操作してマスターするように、幼きころの身体能力はきわめて高いのです。幼児期に爆発的に言語能力を獲得するのも、脳もまた身体の一部と考えれば納得できる話です。

声帯を使う発声も同様なはずですから、彼女たち二人を天才と驚愕するまえに、もしかすると子どもとはすべからく天才なのかもしれないと考え直してもよい気がします。彼女たちはボイストレーニングやレッスンを受けずに、かといって独学ですらなく、プロに遜色なくジャズやオペラを歌っているのです。

まるで一杯のコップの水を飲むように、声や音を聴き入れ、歌い出しているかのようです。英才教育とはべつの認知と学習の仕組みが働いているとしか思えません。驚くべきは、じつはそこなのかもしれません。彼女たちが、「天才少女歌手」で終わり、大成しなかったとしても、人間の可能性を知らしめた意義は変わらず大きいのではないでしょうか。

アミラ・ウィリグヘイゲンと読むようです。個性的な美人に育ちそうな強い目が印象的です。マリア・カラスが歌って有名なプッチーニの「オ・ミオ・バンビーノ・カーロ(私のお父さん)」です。

Amira Willighagen - O Mio Babbino Caro - for English-speaking viewers


では、マリア・カラスを。やはり、圧倒的です。

Maria Callas - O Mio Babbino Caro - Giacomo Puccini


(敬称略)
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