コタツ評論

あなたが観ない映画 あなたが読まない本 あなたが聴かない音楽 あなたの知らないダイアローグ

リトル・ミスサンシャイン

2007-06-12 22:00:05 | レンタルDVD映画
子どもと動物が出てくる映画が嫌いだ。純粋や無垢なんて冗談じゃない。
最初の映画体験に近い『禁じられた遊び』以来、子どもを出汁(山車)にするのは汚い手口だと思ってきた。

http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=7405

したがって、アカデミー作品賞にノミネートされたこの映画についても、あまり食指は動かなかったが、やられた。美少女コンテスト「リトル・ミス・サンシャイン」に出場したオリーブが、その名前とは裏腹のキューピー体型で、おじいちゃんが振り付けた場末のストリップダンスを懸命に、そして歓びいっぱいに踊るシーンでは、不覚にも込み上げてしまった。

よくある家族の再生とそれぞれの自立で納まるロードムービーだが、ひと味もふた味も違う。「負け犬になるな、勝ち馬になれ」が口癖の俗物の父、無言の行を続ける引きこもりの兄、自殺未遂をしたばかりのゲイの叔父、老人ホームから追い出された厄介者の祖父、火の車の家計のやりくりに追われて懸命な母。バラバラにみえて、かろうじて家族であり家庭として成り立っているのはオリーブのおかげ。オリーブが家族とその規範の中心であり、美少女コンテスト「リトル・ミス・サンシャイン」への出場という共通の目的もオリーブが与える。つまり、この家族では8歳の少女オリーブが家長なのだ。

次ぎにアラン・アーキン(久しぶり!)扮するグランパ。笠智衆やスペンサー・トレイシーが演ずるような好ましい老人像とは無縁。口を開けば悪口三昧、ウエストポーチから取り出すのはコカイン、色魔ゆえに老人ホームを追い出されたという元気者。「俺の間違いをお前に踏ませたくない」と引きこもりの孫へのアドバイスが、「たくさんの女とやりまくれ!」。その一方、「負け犬になりたくない」と涙ぐむオリーブに、「お前は負け犬じゃない。負け犬とは負けるのが怖くて挑戦しない者のことだ。お前はそうじゃない」と諭しもする。

スコセッシの『デイパーテッド』とアカデミー作品賞を最後まで競った作品だが、期せずしてアカデミー賞をオリーブが挑戦する「クソ」美少女コンテストにしてしまった。痛快である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

残酷な夜

2007-06-09 23:32:56 | 新刊本
ジム・トンプソンの「新刊」が出ていた。こんな小説が雑貨屋のペーパーバックコーナーで売られていたとは!扇情的な物語を期待して知らずに買った読者はさぞ困惑しただろう。キオスクでカミュの『太陽がいっぱい殺人事件』が売られているようなものだ。ジム・トンプソンに比べれば、アメリカ小説界の狂犬とあだ名されるJ・エルロイもメロドラマといったら言い過ぎだろうか。言い過ぎだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミュリエルの結婚

2007-06-07 00:33:56 | レンタルDVD映画
CATVで視聴。思わぬ拾い物。

世界のイナカであるスェーデンのアバのヒット曲に励まされるように、同じく世界のイナカであるオーストラリアのさらにイナカ町のデブ娘が、シドニーに「上京」して自立しようとする物語。

南アフリカから移住しようとする水泳のオリンピック候補とミュリエルが偽装結婚するなど、オーストラリア事情もからむ。挫折して(というほど深刻ではないが)、いったんは故郷のイナカ町に戻ろうとするが、親友を誘ってまたシドニーに向かうミュリエルは、「グッバイ、イナカ町、グッバイ、観光客!」と叫ぶ。

オーストラリアについてまったく知らないが、イラク派兵までしてアメリカにつき従うオーストラリアの外交姿勢と、ミュリエルの愚かしい結婚願望が重なって見える。

観光地とは、そこに住む住民にとって退屈なイナカ町に過ぎない。イナカ町から自由になったミュリエルは結婚願望からも解放され、姉のような親友とのオルタナティブな家族関係を築いていくだろうと想像させる。

通俗な物語に類型的な登場人物と素朴な楽曲を組み合わせ、ミュリエルのイナカ娘ぶりを自虐的に笑いのめしながら、オーストラリアについて知的な問い直しをしているようだ。オーストラリアが少し好きになった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安部政権末期の仰天情報

2007-06-04 11:27:39 | ノンジャンル
内閣支持率30%台になると政権も死に体といわれるが、じゃ、次の政権は誰が担うのか。信頼に足らない筋によると、なんと加藤紘一だという。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする