2021/9/10
・盲目で居合の達人、座頭市が病におかされた浪人の平手造酒に対して事実上の介錯をする話。
・初見だった。のちのち長く続く一大シリーズの最初の作品。勝新太郎が若い。肌がツヤツヤしている。
・座頭市が意外と早く居合の達人として認識されている。
・盲目の按摩だからってそんなに侮られているように見えない。早々に侠客たちの中の最重要戦力になっている。人物紹介の効率がいいんだと思う。
・ヤクザの対立が主軸だけど、座頭市も平手も双方の組に世話になりつつ、少し距離を置いているので、二人が仲良くなる余白が生まれている。
・初対面の時のゆったりと時間が流れる感じや、ベタな掛け合いでも達人が達人を見抜くシーンは好き。
・座頭市の付き人を任される蓼吉。親分からの信頼が厚いという人間だから善人枠なのかと思ったら、ほんとロクでもなかった。兄貴も兄貴でそろってしょうもない。
・最後も、クズがクズとして処理されていて、かえってすがすがしい。
・意外と戦闘シーンが少ない。最後の大立ち回りまで溜めている。まさに居合のような一点にかける構成。
・それまでは、それぞれの人間関係をじっくり見せる。
・蓼吉の妹おたねのエピソードは構成的に必要なのかどうかよくわからない。蓼吉と付き合ってた彼女はなんだったんだろう。始めからこういう構成だったんだろうか。
・月夜のシーンが色っぽい。おそらく、4Kデジタルリマスター版はここで効いている。夜にしては明るいんだけど、舞台美術的な美しさだった。
・野暮な話、あの刀だと、刺せば強いだろうけど、斬って致命傷を与えられるもんなんだろうか。
・斬られた下っ端がしばらく苦しむシーンが地味に好き。
・そりゃ物語的には名もない斬られ役だったとしても、斬られれば痛いし、死んでなければ助けなきゃいけない。
・小さなところだけど、そういう命の重みみたいなものを感じられたのがよかった。自分のイメージの中にあった時代劇の大立ち回りとはちょっと違う。
・剣の達人が名もない登場人物をバッタバッタを斬りつけていくのも楽しいけど、座頭市のキャラクターを考えれば、そういう泥臭い描写が適切な塩梅なんだと思う。
(札幌シネマフロンティア 9/10 10時)