Zooey's Diary

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「わたしに会うまでの1600キロ」

2015年10月02日 | 映画



米西海岸のメキシコ国境からカナダ国境まで南北に貫く自然歩道PCT(Pacific Crest Trail)を
94日間かけて踏破したシェリル・ストレイドの自叙伝を、ジャン・マルク=ヴァレ監督が映画化。

どんな逆境にあっても常に前向きであった最愛の母。
女手一つで育ててくれた母を亡くして自暴自棄になったシェリルは
ヘロインにおぼれ、誰彼構わず男と寝て、夫からも離婚される。
すべてを失くしたシェリルは、ふとした思いつきからPCTを歩くことを決意する。

しかし初心者の彼女は、荷物の作り方も靴の選び方も知らない。
不必要な物まで詰め込んで、重すぎる荷物を持ち上げることもできない。
燃料を間違えて、火を点けることすらできない。
そんなので砂漠や雪山を乗り越えることができるのか?と観る側もハラハラしますが
本人も「何故こんなことを始めたのか、2分毎に後悔してる」とつぶやいている。
それでもとにかく、彼女は1000マイル(1600キロ)を歩き続けるのです。



ただひたすら歩く彼女の脳裏に、色々な過去がフラッシュバックする。
DVの夫から逃れて家を出て、貧しい暮らしの中でも明るかった母。
45歳の若さであっという間に逝ってしまった母。
しかし、だからといって麻薬に溺れるか?
父親の分からない子どもを妊娠するまでに自堕落になるか?
あのおなかの中にいた子は、一体あれからどうしたのか?
共感できない部分も多いのですが、
しかしとにかく歩き続ける彼女の姿には感服する。

歩き続ける彼女が時々口ずさむのは、サイモン&ガーファンクルの「コンドルは飛んでいく」。
「かたつむりになるよりも 雀のほうがいい
 釘になるよりも ハンマ-のほうがいい」
そりゃその方がいいに決まってる。
でも人生、中々思うようにはいかないよねえ…
世の中は不条理に満ちている。
あの迷い子のラマは彼女の、雪の中のキツネは母のメタファか。

この夏観た「奇跡の2000マイル」は、やはり自分を探してオーストラリアの
砂漠を歩いた、若い女性の話でした。
しかも同じく実話であり、自叙伝の映画化。
何故に同じような話を同時期に映画化するのか非常に不思議なのですが
私としては、「わたしに会うまでの」の方が感情移入できたかな。
それは多分、シェリルがどうして歩くことになったのか、その痛い過去を
これでもかとたたみかけてくれたからでしょう。

本作の途中に、シェリル・ストレイド本人が出演したのだということを
後になって知りました。
あの、唯一出逢った女性のハッカーがそうだったのです。



「わたしに会うまでの1600キロ」 http://www.foxmovies-jp.com/1600kilo/
コメント (6)
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