Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

「世界で一番しあわせな食堂」

2021年02月26日 | 映画

フィンランド北部、ラップランド地方の小村にバスでやってきた中国人の父と幼い息子。
二人はバス停前の食堂に入り、女主人シルカや客に、たどたどしい英語である人物を知らないかと聞く。
寡黙で礼儀正しい父親チェンと、つまらなさそうにスマホでゲームばかりしている息子ニュニョ。
「フォントロン」という人物の消息を求めて、チェンはその食堂から離れようとしない。
ホテルもないその村で、シルカは見かねて空いている部屋を提供する。



ある日、観光バスが車の故障でそこに停まり、大量の中国人観光客が店に来る。
ソーセージとマッシュポテトくらいしかない食堂の料理に難色を示す中国人たちにチェンがやおら立ち上がり、近くのスーパーから食材を買い込んで料理を始める。
鶏肉の麺料理、魚の甘酢あんかけ、バナナの揚げ春巻き。
チェンは上海の有名レストランのシェフだったのだ。



料理が評判を呼んで、閑古鳥が鳴いていたシルカの店は繁盛するようになる。
チェンの料理を食べたおかげで病気が治った、体調がよくなったと村人が騒ぐのは大げさな気もするが、毎日ソーセージとポテトばかり食べていた人々が丁寧に料理された様々な野菜、魚、肉を食べるようになれば、それもありかと。
頑固な村の老人たち、訳ありのように見える独り者のシルカ、もっと訳ありの息子連れのチェン、
それぞれがどのように文化の違いを乗り越え、心を開いて行ったのか。



「希望のかなた」を作ったアキ・カウリスマキの兄ミカ・カウリスマキが監督。
ストーリーはやや薄っぺらい気もするが、森と湖の国フィンランドの美しい風景を舞台に、ホッとさせられる映画です。
こんな北の果てまで中国人の団体客がと驚きますが、コロナ前のラップランドには中国人観光客が殺到していたのだそうで、実際に監督はそれを見て、この映画を作る気になったらしい。
世間の狭い私は、寡黙で礼儀正しい中国人という人物を具体的に知らないのが、ちょっと残念です。

2019年フィンランド・イギリス・中国合作 原題「Mestari Cheng」
公式HP 

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする