ドラマのとびら

即興の劇や身体表現で学ぶ、教える、浮き沈みの日々とその後

ファミリーサポート:Sちゃんとのてんやわんや その3

2023-12-06 08:17:51 | 子どもと学ぶ
Sちゃんが博多人形を壊した。

夫(Kさん)の父の遺したもので、床の間に飾ってあった。

その時、私はSちゃんに頼まれてプリキュアのキャラクターの一つをスマホで見ながら写していた。Sちゃんが自分でも描いた後、私にも描いてと言ったから。

その間のできごとだった。

Sちゃんは、「人形の手が取れた」と私のところに持って来た。
「あーっ!それKさんが大事にしているものだから、ごめんなさいを言いに行こう」
というと、「嫌!」という。そこへお母さんが帰ってきた。

事情を聞いて、おかあさんが「ごめんなさいは?」「ごめんなさいが言えない子は許さないから」というが、それでも言わない。
「壊そうと思ってやったんじゃないよね。それはふうみんも分かるよ。でも、Kさんは悲しいよ。明日まで考えておいてね」と言って、その日は帰っていった。

翌日は、会うなり「お人形を壊してごめんなさい」と言った。
家に着くと真っ先にKさんに誤った。
そうとう家で言われたのだろう。

「どうして壊れたの?」と訊くと、座布団を積んでその上に乗って遊んでいたら、座布団が崩れて人形にあたって、人形がころがって手が折れた、ということのようだった。
人形を壊そうと思ったわけではないので、「壊れた」と正直に言ったのに、謝れと言われたことが納得できなかったのだろう。
親に言われて「ごめんなさい」と言ったものの、本当に納得したかどうかは分からない。
けれど、自分にその気がなかったとしても、結果として自分のせいになることがあるという経験をひとつ積んだことになる。
所有とか財産とかの概念もまだ育っていないのかもしれないが、
いろいろな経験の中で身につけていくだろう。

この日のお迎えはお父さんで、恐縮してとても謝っておられた。
けれど、何をしでかすか分からないSちゃんの手の届くところに置いておいたこちらも悪い。
形あるものは、いつかは壊れる。

家でなら壊しても「あ~あ」ですんだかもしれない。
Sちゃんは、本当なら学童のあとすぐ家に帰ってお母さんやお父さんに甘えたいだろう。
けれど他人の家に行って、家ではできない経験を積むのも、良いことかもしれない、
と今回は思った。

夫は、博多人形の手を接着剤で直し、天井裏に収納。
かわりに青磁の花瓶を飾っている。
Sちゃんに「これも大事なものだから、壊さないようにね」というと
「私はビンは触らないから大丈夫」と言っていた。
人形だって、触って壊したわけじゃないけれどね。

でもまあ、喉元を過ぎるまでは床の間に近づかないだろう、たぶん。
単なる私の希望かも知れないが。
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