ドラマのとびら

即興の劇や身体表現で学ぶ、教える、浮き沈みの日々とその後

昔と今ー『むかし・あけぼの』

2022-01-25 09:01:13 | 読書
田辺聖子著『むかし・あけぼの』

清少納言が御匣殿(みくしげどの)の局にあそびにいったおり、下男がやって来て、秣小屋の火事で住宅が類焼した」と訴える。何一つ取り出す暇がなく、妻子も含めて他人の家に宿を借りているという。「やどかりのように人の家に尻をさし入れて」というのがおかしいと皆で笑った。そこで清少納言が
御秣(みまくさ)をもやすばかりの春のひに 
 よどのさへなどのこらざるらん

という歌を書いてその下男にやる。「これは何の書付でございましょう。これで、どれほどのものがいただけますんで」という文字もろくに読めない下男をまたみんなで笑いものにする。そのことが「面白い」ともてはやされ、あちこちで面白く語られる。清少納言も得意げに語るようになる。

清少納言がよりを戻したもと夫の則光にその話をする。
則光は
「その男にしてみたら、一首の歌よりも、一すじの布のほうが嬉しかったんだよな」
という。清少納言は、歌を解さない則光にカッとなる。
「あんたなら、そういうだろうと思ったけれど、私が笑ったのは、下々の人間って何て貧弱な精神なんだろう、と思ったからよ。我々なら丸焼けになったって、そんな歌を考えて興に入っていたろう、と思うわ。云々」

則光は
「生意気いうな! 人間は、仏の前では平等で、そう変わるもんじゃないぜ。困った境遇に落とされれば、泣き患うのは大臣(おとど)も同じさ。云々。その下男はまた、なんだって、よりにもよって、一番薄情なところへいったんだろうな、かわいそうに」
という。
この則光の反応は、至極まっとうだと思う。歌の風情を理解する、しない、以前の、人としてのスタンスがまとも。清少納言にとて、もしもてはやされたのがライバルの女御だったら、則光の言うことをもっと違った気持ちで受け止めただろう。

けれど、歌を解さない則光を下に見てるから、ここで反省がない。
そして

なんで男ってものは、女が、
(これ、ご覧なさいよ)
とか
(ほら、ね)
と指示した時に、
(ほんに、そうだね)
(お前のいう通り)
といわないのだ。
もう決して女に同調しないのだから。
(いんにゃ、ちがう)
(そうかなあ、そういうもんじゃないだろ)
と必ず反対する。


話の本質をそらして、「そっちか?」という突込みもあるが、
けれど今もなお女性たちが一度ならず抱いたであろう思いを代弁するのである。

田辺聖子のこういった清少納言の描写が実に巧みだ。
宮中に登って、中宮や教養ある男たちにもてはやされ、天狗になっている清少納言と、
現代人もうなずく心理の機微を書き留める清少納言と。

単に高慢ちきだけではなく、身近に感じる清少納言の魅力を示してくれる。

平安時代のような過去のものを読む時、
現代の感覚で読んではいけないことはわかるが、それでも下々だからと笑いものにすることが、当時であっても良いこととは思われない。

話は変わるが
源氏物語を最初に読んだのはいつだったか。大学生の頃だったと思う。
与謝野晶子の現代語訳で読んだ。
その後沖縄在住の時、別の人の現代語訳でもう一度読んだが、それが誰の訳だったのか思い出せない。

二度目に読んだ時、光源氏が紫の上にしたことは、今でいえば児童誘拐監禁すなわち犯罪だと思った。
それ以来、源氏物語は、というか光源氏という人は好きになれない。

女性を誘拐して花嫁にする、という風習は、まだ世界のある地域には残っているという。
その地の風習だから、昔のことだから、と、肯定できることなんだろうか。

古典を読むということは、異文化理解だと聞いたが、理解しても肯定できないことはある。

私も自分の価値観で判断する。
それが正しいとは限らないことも知っている。
でも、変だと思うことは「変だ」と言ったほうがよいのだと思う。
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コミュニケーションとドラマ

2022-01-24 14:59:24 | 芸術およびコミュニケーション
ドラマ教育のなってみる体験はコミュニケーションを豊かにする。

けれどドラマ体験はコミュニケーションのスキルを学ぶことなのか

自分で考え判断する力を養うことは重要だ
コミュニケーションによって伝えること、また他者の考えを聴くことがなければ、「自分で考え判断したこと」が生かされない。

考えや判断に至らない何かもやもやしたものも、表現してみないと明確になって来ない。
表現するコミュニケーション・スキルを身につけることは重要。

けれど一方で、それを受け止める相手が必要。
実はコミュニケーションが円滑に進むかどうかは、受けとめること、聴くこと、相手をよく見ることのほうがよほど大切に思える。
そういうことをするのが演劇であれば、演劇はコミュニケーションを豊かにするはず。

もうひとつ大切なことがある。それは人を人として尊重するということ。
それが一番大事。
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眉毛を剃る?

2022-01-24 14:24:30 | 日記・エッセイ・コラム
今、田辺聖子の『むかし・あけぼの』を読んでいるのだが。

平安時代、「女性は成人すると眉を抜き、眉墨で眉を描いた」とある。(源氏物語【1】王朝メイク事情〈前〉

私は自分の黒々とした眉も気にせず、ろくに手入れをしないできたが、
近年この眉が、茫々と長く飛び跳ね、始末に悪い。
この年になって、だれも私の眉など見ていないだろうけれど。

理髪店では眉を整えてくれるが、美容院ではカミソリが使えない。
自分で手入れするしかないのかな?
うまくできるかな?

平安時代の化粧がちょっとうらやましかったりして。
でも白塗りは私には似合わない。
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歯医者さんにお世話になりました

2022-01-19 12:45:48 | 日記・エッセイ・コラム
8月から通い始めて今月中旬にやっと一段落。

とにかく医者嫌いの私。
特に歯医者には不信感が。

私は顎が小さく、歯並びが悪く、歯はトラブルだらけだった。
沖縄で良い歯医者さんに出会い、家族そろって定期的に点検してもらい、ブラッシングを丁寧に教えてもらった。

その歯医者さんが高齢で辞められてから、ろくな歯医者に出会わない。

ちょっとしたまだ虫歯の卵ぐらいの治療の必要も感じない歯を、ゴリゴリ削られて余計に悪くなったりして。
ひたすら丁寧なブラッシングを心掛け、歯医者には極力いかないことに。

ところが京都に戻ってしばらくして、昔治療したところが具合悪くなり、駅前の歯医者で詰め直してもらったところが、何かが舌に引っかかり納まり悪く、そう訴える私に「何も悪くないですよ。今は違和感があっても慣れます」との返事。
デンタフロスがそこで引っ掛かるのだから、悪くないはずがないのだが。

そうこうするうちに、今度は別の昔詰めた金属がデンタフロスに引っ掛かって取れてしまった。
ネットでの評判を手掛かりにいろいろ探した結果、良さそうと思ったところに行った。
そこは悪くなかったのだが、予約の時に「必要以上のことをしない歯医者を望んでいます」と書いたせいか、検査もせず詰め直してそっけなく終わった。
面倒でウルサイ患者に関わりたくないと思われたのだろう。
専門家としての話には十分耳を傾ける用意があるのだが。

そう言うこともあって、近所で良い歯医者を見つけたいと思っていた。

今通っているのは仕事場の近く。
仕事が終わったついでに行けるのがメリット。
新しく開院して、設備見学があり、仕事帰りに行ってみた。
最新の設備で清潔そう。めちゃ若い歯科医。
若いのにどうしてこんな資金があるのだろうと思う。借金だろうけど。
父親も歯医者らしい。
弟が歯科技工士だそう。

クライエントの話をよく聴いて、治療方針を提案し、同意なしに治療はしないという。
それで予約を入れた。

最初は最新の設備を使って、写真撮影。歯の検査と洗浄。

検査に基づいて、写真を見ながら説明してくれる。
虫歯が8本ぐらいあるが、とりあえず治療を要するのは2本ぐらい。
あとは定期的に検査しながら様子をみて治療していくとのこと。
納得の説明だったので、次も通うことに。

写真は4Kで、口のまわりの短い髭までばっちり写っていて、解像度が良すぎるのも美しくないなあ。

2回目は、銀を詰めたところが虫歯になっている左下奥歯。
写真を見ると、詰めた銀と歯の間に隙間ができている。
詰めた銀を外して虫歯を削ってセラミックを埋める。
まず口を大きく開くことを強要されないので、すごく楽。
今までの歯医者のイメージ一新。
治療が早い。
しかも納まりが抜群。
でもこの歯、私自身は痛くもなんともない歯で、本当に治療が必要だったかどうか。
まあ、前より美しくなったから良しとしよう。

次に治療を要するのは例のデンタフロスが引っかかる歯とその横の銀をかぶせた歯とのこと。
だがこの歯の治療には時間がかかるし場合によっては麻酔も必要とのことで、まずは歯周ポケットの掃除をしましょうということに。

最初の歯の洗浄の時に、洗浄しても取れない左上の歯に黒い点に気づく。
そこがシミ始める。
それで、その虫歯を削って、つめてもらう。
これまた、早い、楽、納まりが良い。

次から歯周ポケットということだったが…。

タイミングよく、デンタフロスが引っかて気になる歯の、詰め物がデンタフロスに引っ掛かって飛びだしてしまった。
穴がボコッとあいて、不便この上ない。
すぐに治療をしてもらう。
これがまた、早い。
詰めた後、また舌に何かが引っかかるので訴えたところ、
「いや大丈夫ですよ」
そんなわけない。
「ああ、わかりました。隣の歯にくっついていますね」
と取り除いてくれ、一件落着。
良かった良かった!
とにかく、早い、楽、治療後の歯の納まりが良い。

それがあって、次は隣のかぶせた歯を治療することに。
虫歯だと思っていたのが、かぶせた金属を外してみると、
金属のせいで色がついていただけだった。
おかげでセラミックをかぶせなおすだけで、たいそうな治療をせずにすんだ。

それからあとは、上下左右の4回に分けて歯周ポケットの洗浄。

そして最後にもう一度、歯の点検。写真付き。

計8回通った。
次は3か月後に検査して、歯の洗浄をするそうな。
歯茎にはほとんど問題なく、
手入れの状態が良いと誉められた。
沖縄でお世話になった平良先生のおかげだ。
平良先生の予言では、私は歯の質が良くなく8020は難しいとのことだったが、なんとか維持したいものだ。

今回、治療を要する歯はすべて治療したので、とうぶん大丈夫。
ただ、以前に詰めたものを今後も詰め直す必要がでてくるだろう。
写真によると右上奥歯があやしい。

歯医者は若い新しいところへ行け!という。
治療・検査機器の進歩が目覚ましい。

ただ4Kで写真をとるからか、治療費は高いようだ。
夫の通っている歯医者より割高なようだ。
機器代も回収しないといけないしね。
しかたないだろう。

年をとると女性も髭が生えるという。
自分では眼鏡をかけていても見えない髭だが、剃ったほうがほうがよいのかしらん。
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正月に嬉しい訪問

2022-01-11 09:23:45 | 気楽にたまり場
2022年
明けましておめでとうございます。
私が今気になっているのは、沖縄の基地問題はもちろんなのですが、北陸新幹線。
北陸新幹線そのものをこれ以上延長する必要ないと思うのに、京都の地下を通すなんてもってのほか…。

先日、卒業生が3人、家に来てくれました。
楽しくおいしいひと時を過ごしました。

ひとりは時々来てくれるMさん。
ひとりは久々に会ったYさん。彼は盛んに発信していたのに、一時途絶えて心配していたのですが、とても元気でした。
そして卒業以来のBさん。なんと!沖縄在住。たまたまお正月で帰省していたとか。

面白いのは、私と繋がっている人たちが、授業では一緒になって無くても、私の知らないところで繋がっていること。そして私を知っているという共通点で会いに来てくれること。
我が家で「はじめまして」となる人もいたりします。
そうしてまた人のつながりが広がっていくのは楽しいです。

献立
焼き豚風豚ロース炒め
鮭の塩麹焼き
鶏のから揚げ
生ハムおにぎり純胡椒入り
ココファーム白ワイン「いまここ」
オリオンビール(Yさん持参)
クリームを挟んだワッフル(Bさん)
薄いパンケーキのような皮で案を包んだ和菓子(Mさん)

牡蠣フライも予定していたけれど、牡蠣だめが二人もいて断念。
若い人たちは、足りたかしら。

ああ、話がはずみすぎて、また写真を撮らなかった。
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