「ペットボトルをリサイクルするとよけい環境に悪いとか、割り箸は使った方が良いんだとか、マイバッグでスーパーのレジ袋を減らすより、ゴミ有料化でゴミ袋を作るほうが余計に石油を使っているとか、ホントウ? 環境に良いことって、一体何なの?」
環境問題は、ある意味難しい。算数の計算のようにひとつの正しい答えがあるわけではないのです。
ペットボトルのリサイクルは、計算上、回収や処理に余計に二酸化炭素を排出します。割に合いません。最近、リユースが検討されているようですが、こちらのほうが環境には有効と思われます。しかし、究極、使わないのが一番でしょう。
割り箸も、そのために外国から木を切り出すのは問題ですが、日本の森林を守るためには、間伐材が売れなければならず、日本の間伐材でつくった割り箸は、使ったほうがいいのです。それが日本の林業を支え、日本の森林を守ることになります。割り箸にも材料の産地をかいてほしいものです。
「有料のゴミ袋を使うより、スーパーのゴミ袋をゴミを捨てる時に使った方が資源の無駄にならない」というのもその通りです。でも、これは別の問題を含んでいます。つまり、ゴミを有料にするのは、増える一方のゴミの抑制に働くということ。ゴミを減らすというのはとても大事なことです。石油や石炭などの化石燃料の消費を減らすことに繫がりますから。
環境問題の根っこに、経済のグローバル化と大量生産大量消費があります。だから、「必要な分だけ、できるだけ自分でつくるか近くでつくられたものだけを消費する」ということ。こういう指針ができれば、それほど環境問題は難しくない。
「でも、そうすると経済がおかしくなるのでしょう?」
経済がおかしくなるというのは、どういうことでしょう。お金ができるまえから、人間は生きていました。情報が集められる今なら、もっと賢くお互いが持っているものを融通しあって生きていけないのでしょうか。
とはいえ、私たちは現代社会にどっぷり浸かって生活しているわけで、それに流されていれば、何ができるのかも見えてきません。私もついついペットボトルの飲料を買ってしまいます。現実にいつでもどこでも買えるのですから。様々な視点で社会や生活を見直してみる必要があります。
ドラマ教育・ドラマワークは、多面的な視点が必要な問題にとても有効だと思います。
逆にいうと、何かのひとつの結論を押し付けるために、ドラマ教育・ドラマワークを使って欲しくないですね。
(写真はクワの実。年に何度か実をつける)
渡部淳先生を迎えての講演会、プラス小林由利子先生のワークショップ、いよいよ近づいてきました。
講演会は、沖縄国際大学の公開講座として取り組まれることになりました。「子どもにいかにして学力をつけていくのか」ということもありますが、自分自身のコミュニケーション力、表現力を考えるためにも、ステキな機会になることと思います。
ワークショップは先着順。すでに申し込みが20名になっています。ご希望の方はお早めに。
講演会
4月25日(金)19:00-21:00
沖縄国際大学 7号館201号教室
「グローバル時代の教育―表現活動を軸にした学びのデザインとは?」
参加費無料
ワークショップ
4月26日(土)13:30開場
第一部 14:00-15:50 絵本をもとにしたドラマワーク―「モンスター・ブラディン」 小林由利子先生
第二部 16:00-18:00 ドラマ教育とは―授業や学級で気軽に使えるドラマワーク 渡部淳先生
沖縄キリスト教学院大学リズム室
参加費2000円 先着順30名
2月22日付のブログもご参照ください。
「学びの即興劇」やドラマワークを広げるのは難しい。なぜなら聞いたり読んだりしても今ひとつピンと来ない。参加するのが一番。人間、何か分からないものになかなか参加しないもの。特に学校の先生は忙しい。ましてお金を払ってまで。
それでもこつこつと広げていくことは大切だと思うのですが・・・。いいことを思いついた!
ミュージカルをつくる。ある荒れた高校もしくは中学が舞台。そこへ変わった先生がやってくる。社会の先生がいいかな?その先生が悩みつつ授業やホームルームでドラマワークを試し始める。それで学校が変わっていく。
生徒役はアイドルを集め、教師役は私の好みでいうと、オダギリジョー。歌あり踊りありの中に、実際にドラマワークでの授業やホームルームを組み込んでいく。
今、演劇界の人にもドラマ教育への関心が広がっているから、ドラマ教育を広げたいと思っている人たちが集まって総力をあげれば、きっと良いものができる。問題はお金?
アイデア料を寄こせと言わないから、だれかやってみてくれないかな?
(写真はノアサガオ。この時期、満開になる)
私はドラマのワークショップをするのが好き! と、つくづく思います。「大人の女性のためのワークショップ」も私自身がとても楽しみました。
ドラマワークは、教材を準備したり企画をするときから、ワクワクします。やりながらも考え、プログラムを変えていくのですが、その変化もおもしろい。
イギリスから来日されたジョナサン・ニーランズ氏(The University of Warwick Institute of Education の professor)。彼も同じです、きっと。彼のワークショップを見てそう思いました。
彼のワークショップで一番感じたのは、「子どもが見える」ということ。彼が子どもたちのためにどのように配慮しているのかが良く分かる。そして「この時子どもたちがこんなふうに動くのだろうな」ということが、見えるのです。今回私は記録係で、参加することなく記録に徹したから、よけいそう思えたのかもしれません。
子どものことを良く知っている人。子どものことを大切に考えている人。信頼できる人。
ニーランズ先生は、絵本を題材にします。先にテーマがあって、それにふさわしい絵本(教材)を探すこともあるでしょうし、すばらしい絵本に出あって、それを教材にしたいと思うこともあるでしょう。いずれにせよ、誰かの真似ではなく、彼が必要と思ったことをプログラムにする。彼自身のプログラム。そして具体的な相手を想定してのプログラム。
3月27日(木)は獲得型教育研究会の例会として、10:00-16:00、参加者18人。テーマは「移民」。「Arrival」という絵本がもとになっていました。
3月29日(土)は獲得研主催のセミナーとして10:10から1時間、ジョナサンの講演。11:30から2時間、ワークショップ。昼食後は渡部淳氏、小林由利子氏との対談と質疑応答と、盛りだくさんな内容でした。
2時間のワークショップは「高齢者」がテーマ。参加者37人。日系カナダ人の著作「賢いおばあさん(姥捨て山)」から息子が母親を負ぶって山へ連れて行く絵。
ワークショップの詳細をここで紹介したいと思っていましたが、記録集が出されるようですので、省略します。ぜひワークショップの内容がリアルに伝わるような記録集になってほしいものです。
時間が長かったので当然と言えば当然ですが、27日のワークショップのほうが、テーマを深めることができたように思います。イギリスが移民社会であるということ。「同じ教室に居る子どもたちが、大きくなってテロで殺しあうことのない社会を」と願うジョナサンの気持ちが伝わってきました。
「姥捨て山」は日本人になじみがありすぎて、最初の方はそれに引きずられた意見が出た感がありました。イギリスの子どもは、どう思うのでしょう。日本の子どもたちはどうでしょう。今の子どもたちは、この話を知っているのかな?
37人という参加人数は私ならもてあますところですが、ジョナサンにかかると、かえってダイナミズムが出てくるようでした。参加者の多くが、自分でもワークショップをするようなレベルの高い大人だったからかもしれませんが。子ども相手で、しかも初めてのワークショップでは、ああはうまく行かないと思うのですが、違うのかな?工夫次第で、人数が多くても、できる方法があるということには確信がもてました。
疲れたけれど、得ることは多かったなあ。