『せかいいちうつくしいぼくの村』(小林豊)は、アフガニスタンのある村にすむヤモという少年が主人公の絵本です。
きっかけは、今年3月の獲得研セミナーでした。
セミナーを終えて、真理子先生との反省会にキューピーさん、すぅさん、ゆりさん、わっさんが参加。そのとき、『せかいいちうつくしいぼくの村』のワークショップに参加していたすぅさんとキューピーさんが、「あれは、何か違う」と。
キューピーさんは、たかさんのイギリスのドラマ教育の報告に刺激され、日本の教材で同じようにドラマを創れないかと考え、『せかいいちうつくしいぼくの村』を選び、すぅさんと一緒にワークショップをやってみたことがありました。それで、余計に刺激を受けました。
それなら、キューピーさんとすぅさんのワークショップを受けてみたいと、実現したのが6月23日の応用ドラマ教育研究会。
そのワークショップに、私はとても刺激を受けました。一番感じたのは、学校の先生に「これがドラマ教育ですよ」と実感してもらうのに適している、と。それでキューピーさんとすぅさんの了解をもらって、私なりにプログラムをアレンジして、今日の免許状更新講習で実施したのでした。おふたりのプログラムは、絵本のほとんどすべての場面をドラマ化されていましたが、時間の制約もあり、削り込みました。
もとのプログラムをそのままいただいたものは黒字、基本的な点はいただきながら少しかえたものは青字、私が付け加えたものは赤字で示します。約60分でした。ウオームアップとして、「なんでもバスケット」「ナイフとフォーク」「私は木です」を約30分で実施しました。
・パグマンの村:フィジカルスケープ
・ハルーン出征の前夜の家族(心の声):静止画 登場する人をヤモ、ハルーンにいさん、おとうさん、おかあさん、もうひとりは設定自由)
・バザール(フィジカルスケープ+即興劇 ヤモがサクランボを売る)
・足のないおじさんとの会話:テキスト+即興
・チャイハナ(食堂)でのヤモとおとうさんの会話:ティーチャーインロール(おとうさん) ひとりのヤモ役を募り、おとうさんと会話する。
・羊を買って帰った夜の家族の会話:即興劇 最初の家族と同じ設定。ただしハルーンにいさんのかわりに羊。
・フィジカルスケープ:パグマンの村 最初のシーンを再現し、最後のシーンへ。
・家族のグループで感想(その後ふりかえり用紙、提出は最後に)
戦争状態にあっても、日常生活はある意味普通に流れていきます。少年の日常と、バザールというハレの体験を中心に、プログラムを組みました。最初と最後のパグマンの村のシーンは、ぜひ入れたいと思いました。それから、家族のシーンも、始めと終わりに入れたい。バザールのシーンは盛り上がるので入れたい。足のないおじさんとの会話は、授業に取り入れやすい形ということもあって入れたい。チャイハナでの会話はヤモの体験を共有するためもあるけれど、ティーチャーインロールの説明に使えるので入れたい。ということで、これ以上削れませんでした。
最後のシーンだけが、完全オリジナルです。
結果として狙い通りだったと言えます。ワークショップは、生き物だなと感じます。パーツではなく全体として生きてくる。スタッフとして関わってくれた学生も含めて、「おもてなし精神(?)」が伝わった気がします。このワークショップは午後でしたが、午前にゆりさんのコミュニケーションをテーマにしたワークショップがあったことが、初めての参加者がドラマに入り込める重要な要素となっていました。
また、絵本をゆりさんに読んでもらったことによって、とてもスムーズに進みました。あとの話し合いのときにも、大切なポイントを指摘してもらって、ボーッとしていた私はとても助かりました。なかなか良いコンビかも。
これに実務に長けた人が加わってくれれば、最強ドラマ・ワークショップチームがつくれまっせ~! 何でもできるという気になっています。