暗き世に響き渡るは盲目の ピアニスト弾く調べ届け 躑躅の花と
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【性のパラドックス】
「性」は何のためにあるのだろうか。生物学者を含めた
多くの人は、性は多様性をつくりだすしくみだと信じて
いるが、実際には無性生殖をする生物も多種多様に進化
し地球上のさまざまな環境に適応しているという。
■ morphological variation of bdelloid rotifers
たとえば、ワムシ(輪形動物)のなかには、1億年ほど
前に有性生殖をやめ、以来、無性生殖だけで進化してき
たグループ(ヒルガタワムシ類)がいる。彼女らはメス
だけで子孫を残し、28属363種に分類されるほど多
種多様に進化してきた。
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もし、無性生殖をする生物が環境の変化に適応できない
のなら、一億年の間には彼女らが絶滅する機会はいくら
でもあっただろう。有性生殖は、次の三つの点で無性生
殖よりも不利であるといわれる。
(1)有性生殖を行うためには、オスという子を生まな
い性をつくらなければならない。メスだけで成り立
つ無性生殖のほうが、有性生殖よりも二倍の速さで
増えることができる。
(2)有性生殖では親子の血縁度が半分に減ってしまう。
遺伝子を子孫に伝えるという点で、無性生殖の方が
二倍有利である。
(3)有性生殖ではオスの個体とメスの個体が出会う必
要がある。自家受精をする生物を除けば、一個体で
は繁殖できない。この性質は、密度が低い集団では
明らかに不利である。
こうしたデメリットがあるにもかかわらず、なぜ多くの
生物はオスをつくり、有性生殖を行うのだろう。この謎
は、「性のパラドックス」と呼ばれている。
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【パラドックスに挑む】
有性生殖には、一対の対立遺伝子を分離させるだけでな
く、ゲノム中の多数の遺伝子を組み換える効果がある。
多様性を生むのでよいことだと思われがちだが、せっか
く実現したよい遺伝子の組合せを壊す可能性もある。配
偶者のゲノムの中に、有害な遺伝子があるかもしれない
からだ。一つの種内でみた場合、母親のゲノムの性質が
トータルとして優れている(環境に十分適応している)
ときには、組換えによって適応的な状態を壊すリスクを
冒すより、クローンで増える無性生殖のほうが有利だ。
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異なる種が交雑した場合にはどうだろう。それぞれの種
に特有の遺伝子がシャッフルされ膨大な多様性が生まれ
る。このような雑種形成をヒントにして、「性のパラド
ックス」に挑んでいる
遺伝子がシャッフルされ、異なる性質を発達させた系統
が出会い、交雑することは、二種の進化の歴史を通じて
繰り返し起きたに違いない。気候は絶えず変動し、生物
の分布も大きく変化してきた。勿論、シャッフルで、と
んでもない形質が生まれ淘汰される例もある。進化の原
動力は突然変異と自然選択がベースだが、それだけなら
無性生殖集団でも起こる。突然変異と自然選択に頼った
進化でも、システムを大きく変えて新しい環境に急速に
適応しなければならないときには、有性生殖による組換
えが有利になるという。
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【島は進化の実験場である】
島に住む生物には、いくつか共通に見られる進化のパタ
ーンがあり、(1)脊椎動物は小型の動物は大型化し、
大型の動物は小型化する(島のルール)。(2)移住能
力を失う(羽がなくなる等)(3)表現型の個体変異が
増大する。(4)ニッチ幅が広がる。(5)卵数が減る。
(6)種分化速度や表現型の進化速度が速い。
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ぎゅっと小さな集団が受けた環境圧に適応して、進化が
起こったことを証明し、そのメカニズムを解き明かす材
料として琵琶湖の植物がある。琵琶湖は四百万年前に存
在した。琵琶湖は今の三重県上野盆地辺りで形成され、
徐々に北上して現在の位置に至っていると考えられる。
現在も一年に約三センチメートルの速さで北東に移動し
ている。ハマヒルガオなど固有植物が多い。約六千~六
千五百年前の縄文海進の時期、京都盆地にまで海が入り
込んでいたらしい。調査結果、琵琶湖のハマヒルガオは
固有のハプロタイプをもち、国内の海岸のいずれのタイ
プとも異なることが明らかになった。ハマヒルガオは、
地理的に沿岸部の集団から長期間隔離されて、生理的、
生化学的な差が現れ、琵琶湖が淡水なので、海岸に分布
していた頃にもっていた耐塩性を失っているかもしれな
いという。
■ ハマゴウ
琵琶湖の海浜植物は、人為的に植えられたのではないか
どうかを調査した結果、千年以上昔の『本草和名』とい
う本に、平安京ではすでに漢方薬の材料として、琵琶湖
岸で採集したハマゴウの果実を使っていたとの記載を発
見。ハマゴウは海浜植物らしく砂地を好む植物で、琵琶
湖では大規模河川の河口に発達した砂地(州)に生える。
かつては定期的に洪水が起き、砂州に生えるほかの植物
が定期的に除かれた結果、ハマゴウの繁殖地が形成され
ていたらしいが、湖岸の整備が行われた結果、群落の中
でハマゴウが生きれない状況が起こっているという。
■ Vascular bundle
【植物と徹生物の共進化-菌糸が繋ぐ地下ネットワーク】
植物が最初に上陸したのは今から約4億年前の古生代デ
ボン紀。海の中に光合成をする生物が誕生してから25
億年以上、植物とその祖先は水中で生活してきた。陸上
というフロンティアで植物を待ち受けていた障害は、乾
燥、紫外線、そして栄養塩の不足だった。過酷な条件を
克服して植物が陸上生活に適応できたのは、根と維管束
の進化に負うところが大きいという。しかし、植物の上
陸に際してある別の生物が寄り添ってきたことは知られ
てない。その生物は現在に至る4億年の間ずっと陸上植
物の約8割に今も寄り添い続けている。その生物が化石
として発見されたのは、デボン紀初期(約3億9千万年
前)の陸上植物スコットランドのライニーチャートから
である。それが植物の上陸を肋けたと考えられる生物、
アーバスキュラー菌根菌だ。
■ アーバスキュラー菌根菌
アーバスキュラー菌根菌は植物の根に共生し、土壌に含
まれるリン酸を植物に与え、植物からは光合成産物をも
らって生きている。「チッソ、リン酸、カリ」と言うよ
うに、リン酸は肥料の三要素の一つで、植物の生育に欠
かせない栄養塩だが、多くの植物は土壌中のリン酸を効
率よく吸収できない。十分な機能を果たす根をもたなか
った最初の陸上植物が、リン酸を利用する必要からアー
バスキュラー菌根菌との共生を始めたと推測されている。
以来、4億年以上ずっと、アーバスキュラー菌根菌が根
の中に共生してリン酸を植物に与えてきた。アーバスキ
ュラー菌根菌も、現生のものは植物と共生することなし
に生きられない。アーバスキュラー菌根菌に比べ、マメ
科植物の根に根粒菌というバクテリアが共生する。この
「菌根」は、シイタケやマツクケも菌根の一種である。
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アーバスキュラー菌根菌は、比較的最近知られた菌類で、
はじめは接合菌に近いと考えられていたが、リボソーム
RNAを使った分子系統分析により、これらのグループ
とはまったく異なる系統であることがわかた。ところが
まだちゃんとした分類さえ載っていない。こんな生物が
身近にいるとは不思議である。
mycorrhiza
マツタケやシイタケは外生菌根といい、担子菌のなかま
が木の根の表面を菌糸でマット状に覆ってできる。菌糸
は根の中に入らず、木から栄養分をもらいかわりに土壌
中のリン酸を与えているようだ。ツツジなどに見られる
ツツジ菌根やアーブトイド菌根は、根の表皮細胞の中ま
でしか入らないタイプ。ギンリョウソウなど、葉緑体が
ないため光合成ができない植物では、モノトロポイド菌
根菌という共生菌をパートナーに、菌糸を介して別の光
合成植物とつながり、栄養をもらって生きている。
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共生というシステムがどのように成り立っているか。な
ぜ寄生に転じていかず、共生関係が成り立つのか。その
バランスを巧みに維持しているメカニズムはどんなもの
なのか。
たとえば、根粒菌と共生する植物にとって、根粒菌は「
チッソ、リン酸、カリ」のうちの窒素を供給してくれる
ので、ほかの植物が入り込めないやせた上地にも分布で
きる利益がある。一方で、根粒菌が空気中の窒素を植物
が使える形に固定するには、大量のエネルギーを消費す
る。そのエネルギーは、宿主である植物から供給される。
つまり、根粒菌がたくさん共生すればするほど植物はよ
く育つのではなく、あるバランスを越えてしまうと、自
身の生育が阻害されるほど根粒菌にエネルギーを吸いと
られることになる。関係は一気に、共生から寄生に変わ
る。
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バランスを保つために、どういうシステムを進化させた
のか。最近の研究によって、マメ科植物は地下にある根
で、いまどれくらいの量の根粒があるかを知り、その情
報をいったん植物の地上部(シュート)に伝え、シュー
トから根粒を減らせ、あるいは増やせとシグナルが出る
ことがわかってきた。
この様に、植物の進化過程を考えることで、いままで思
っていたイメージが激変することになった。この次は、
同シリーズの『植物は感じて生きている』を通して植物
の培養のあり方を考えてみたい。
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ちょっと物騒な情況になっているようだ。強面の評論家
(劇場評論)だけでなく、一国の総理大臣まで一線を交
える覚悟をしろと言いだした。東京都議選(7月12日)
の応援で訪れた麻生総理が、武蔵野市のJR吉祥寺駅前
で街頭演説し、弾道ミサイルの発射準備を進める北朝鮮
に関し、「我々は戦うべき時は戦わねばならない。その
覚悟を持たなければ、国の安全なんて守れるはずがない」
と述べ、制裁強化などで圧力を強める姿勢を強調し、そ
の返す刀で国際的警察行動に対する「海賊対処法案」に
反対する民主党の姿勢を批判したという(「対北、戦う
べき時は覚悟を」麻生首相が演説/6月7日19時31分配信
読売新聞)。
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いま起こっている一連の動きは、(1)金正日専制体制
の後継(2)長期の経済停滞の深化(3)核拡散の3つ
の問題に集約できる。但し、(2)(3)は外貨獲得と
チョルノーブィリ事故再発防止と核ミサイル売却の問題と
が絡む。
開戦を決行するには最低限、盟友中国共産党の同意無し
には戦争遂行が不可能であり、中国共産党が賛同するこ
とは皆無に等しい(来年は上海万博開催年)。仮に、暴
発したところでたちまち国際世論の反対に見舞われ、直
ちに、わが国の国防軍及び国際連合軍により停戦、国際
裁判による制裁措置が迅速に執られる(政府の責任とし
てその道筋を周到に準備しておく)。
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核ミサイル及び通常ミサイルの飛来の可能性は皆無とは
いえないが、仮にそのような事態に陥れば、前述と同様
に直ちにわが国の国防軍及び国際連合軍により防衛・停
戦。国際裁判による制裁措置を採る。
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この時、北朝鮮の現体制は崩壊乃至は無条件降伏状態に
陥り、北朝鮮を一定期間国際連合による民主化の暫定政
権樹立に移行すると考えられる。これにより日本や中国、
韓国、米国、ロシアの政治経済の混乱や経済的損失は膨
大になることを覚悟する必要がある。
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威勢のいい話には、太平洋戦争突入直前の日本から学べ
ば慎重にならざるを得ない。一線を越えることは当事国
々民に多数の死傷者がでる。故福田赳夫総理の「人命は
地球より重し」を言葉でなくイメージとしてはどんなも
のだろう。例えば、貨幣価値で換算すると世界の GDPの
5千兆円以上となり百名の国民が死亡したとしたら60京
円超となる。6ヵ国で按分すると8京円超/国となる。
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金も食糧もない北朝鮮。唯一の核ミサイルと覚醒剤のさ
ばき先は、貧困国家諸国(イスラム圏)とやくざ組織の
み。「チェチェ主体思想」(民族民主国家イデオロギ)
を放棄せず乗り切るには、ベトナムに学び復興するのが
最善だろうと考える。容量が尽きかけている。万葉の昔
からある「ツツジ」。花言葉は「節制」「情熱」。勤勉
で優秀な北朝鮮の人民にこの花を届けたい。
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