極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

躑躅は平壌に咲く

2009年06月07日 | 時事書評



暗き世に響き渡るは盲目の ピアニスト弾く調べ届け  躑躅の花と



【性のパラドックス】

「性」は何のためにあるのだろうか。生物学者を含めた
多くの人は、性は多様性をつくりだすしくみだと信じて
いるが、実際には無性生殖をする生物も多種多様に進化
し地球上のさまざまな環境に適応しているという。


File:Bdelloid.JPG morphological variation of bdelloid rotifers


たとえば、ワムシ(輪形動物)のなかには、1億年ほど
前に有性生殖をやめ、以来、無性生殖だけで進化してき
たグループ(ヒルガタワムシ類)がいる。彼女らはメス
だけで子孫を残し、28属363種に分類されるほど多
種多様に進化してきた。


もし、無性生殖をする生物が環境の変化に適応できない
のなら、一億年の間には彼女らが絶滅する機会はいくら
でもあっただろう。有性生殖は、次の三つの点で無性生
殖よりも不利であるといわれる。

(1)有性生殖を行うためには、オスという子を生まな
  い性をつくらなければならない。メスだけで成り立
  つ無性生殖のほうが、有性生殖よりも二倍の速さで
  増えることができる。
(2)有性生殖では親子の血縁度が半分に減ってしまう。
  遺伝子を子孫に伝えるという点で、無性生殖の方が
  二倍有利である。
(3)有性生殖ではオスの個体とメスの個体が出会う必
  要がある。自家受精をする生物を除けば、一個体で
  は繁殖できない。この性質は、密度が低い集団では
  明らかに不利である。

こうしたデメリットがあるにもかかわらず、なぜ多くの
生物はオスをつくり、有性生殖を行うのだろう。この謎
は、「性のパラドックス」と呼ばれている。


【パラドックスに挑む】

有性生殖には、一対の対立遺伝子を分離させるだけでな
く、ゲノム中の多数の遺伝子を組み換える効果がある。
多様性を生むのでよいことだと思われがちだが、せっか
く実現したよい遺伝子の組合せを壊す可能性もある。配
偶者のゲノムの中に、有害な遺伝子があるかもしれない
からだ。一つの種内でみた場合、母親のゲノムの性質が
トータルとして優れている(環境に十分適応している)
ときには、組換えによって適応的な状態を壊すリスクを
冒すより、クローンで増える無性生殖のほうが有利だ。


異なる種が交雑した場合にはどうだろう。それぞれの種
に特有の遺伝子がシャッフルされ膨大な多様性が生まれ
る。このような雑種形成をヒントにして、「性のパラド
ックス」に挑んでいる

遺伝子がシャッフルされ、異なる性質を発達させた系統
が出会い、交雑することは、二種の進化の歴史を通じて
繰り返し起きたに違いない。気候は絶えず変動し、生物
の分布も大きく変化してきた。勿論、シャッフルで、と
んでもない形質が生まれ淘汰される例もある。進化の原
動力は突然変異と自然選択がベースだが、それだけなら
無性生殖集団でも起こる。突然変異と自然選択に頼った
進化でも、システムを大きく変えて新しい環境に急速に
適応しなければならないときには、有性生殖による組換
えが有利になるという。


【島は進化の実験場である】

島に住む生物には、いくつか共通に見られる進化のパタ
ーンがあり、(1)脊椎動物は小型の動物は大型化し、
大型の動物は小型化する(島のルール)。(2)移住能
力を失う(羽がなくなる等)(3)表現型の個体変異が
増大する。(4)ニッチ幅が広がる。(5)卵数が減る。
(6)種分化速度や表現型の進化速度が速い。


ぎゅっと小さな集団が受けた環境圧に適応して、進化が
起こったことを証明し、そのメカニズムを解き明かす材
料として琵琶湖の植物がある。琵琶湖は四百万年前に存
在した。琵琶湖は今の三重県上野盆地辺りで形成され、
徐々に北上して現在の位置に至っていると考えられる。
現在も一年に約三センチメートルの速さで北東に移動し
ている
。ハマヒルガオなど固有植物が多い。約六千~六
千五百年前の縄文海進の時期、京都盆地にまで海が入り
込んでいたらしい。調査結果、琵琶湖のハマヒルガオは
固有の
ハプロタイプをもち、国内の海岸のいずれのタイ
プとも異なることが明らかになった。ハマヒルガオは、
地理的に沿岸部の集団から長期間隔離されて、生理的、
生化学的な差が現れ、琵琶湖が淡水なので、海岸に分布
していた頃にもっていた耐塩性を失っているかもしれな
いという。


 ハマゴウ

琵琶湖の海浜植物は、人為的に植えられたのではないか
どうかを調査した結果、千年以上昔の『本草和名』とい
う本に、平安京ではすでに漢方薬の材料として、琵琶湖
岸で採集したハマゴウの果実を使っていたとの記載を発
見。ハマゴウは海浜植物らしく砂地を好む植物で、琵琶
湖では大規模河川の河口に発達した砂地(州)に生える。
かつては定期的に洪水が起き、砂州に生えるほかの植物
が定期的に除かれた結果、ハマゴウの繁殖地が形成され
ていたらしいが、湖岸の整備が行われた結果、群落の中
でハマゴウが生きれない状況が起こっているという。


File:Celery cross section.jpg Vascular bundle


【植物と徹生物の共進化-菌糸が繋ぐ地下ネットワーク】

植物が最初に上陸したのは今から約4億年前の古生代デ
ボン紀。海の中に光合成をする生物が誕生してから25
億年以上、植物とその祖先は水中で生活してきた。陸上
というフロンティアで植物を待ち受けていた障害は、乾
燥、紫外線、そして栄養塩の不足だった。過酷な条件を
克服して植物が陸上生活に適応できたのは、根と維管束
の進化に負うところが大きいという。しかし、植物の上
陸に際してある別の生物が寄り添ってきたことは知られ
てない。その生物は現在に至る4億年の間ずっと陸上植
物の約8割に今も寄り添い続けている。その生物が化石
として発見されたのは、デボン紀初期(約3億9千万年
前)の陸上植物スコットランドのライニーチャートから
である。それが植物の上陸を肋けたと考えられる生物、
アーバスキュラー菌根菌だ。


File:Wn8-05-2.JPG アーバスキュラー菌根菌

アーバスキュラー菌根菌は植物の根に共生し、土壌に含
まれるリン酸を植物に与え、植物からは光合成産物をも
らって生きている。「チッソ、リン酸、カリ」と言うよ
うに、リン酸は肥料の三要素の一つで、植物の生育に欠
かせない栄養塩だが、多くの植物は土壌中のリン酸を効
率よく吸収できない。十分な機能を果たす根をもたなか
った最初の陸上植物が、リン酸を利用する必要からアー
バスキュラー菌根菌との共生を始めたと推測されている。
以来、4億年以上ずっと、アーバスキュラー菌根菌が根
の中に共生してリン酸を植物に与えてきた。アーバスキ
ュラー菌根菌も、現生のものは植物と共生することなし
に生きられない。アーバスキュラー菌根菌に比べ、マメ
科植物の根に根粒菌というバクテリアが共生する。この
「菌根」は、シイタケやマツクケも菌根の一種である。


アーバスキュラー菌根菌は、比較的最近知られた菌類で、
はじめは接合菌に近いと考えられていたが、リボソーム
RNAを使った分子系統分析により、これらのグループ
とはまったく異なる系統であることがわかた。ところが
まだちゃんとした分類さえ載っていない。こんな生物が
身近にいるとは不思議である。

 mycorrhiza

マツタケやシイタケは外生菌根といい、担子菌のなかま
が木の根の表面を菌糸でマット状に覆ってできる。菌糸
は根の中に入らず、木から栄養分をもらいかわりに土壌
中のリン酸を与えているようだ。ツツジなどに見られる
ツツジ菌根やアーブトイド菌根は、根の表皮細胞の中ま
でしか入らないタイプ。ギンリョウソウなど、葉緑体が
ないため光合成ができない植物では、モノトロポイド菌
根菌という共生菌をパートナーに、菌糸を介して別の光
合成植物とつながり、栄養をもらって生きている。


共生というシステムがどのように成り立っているか。な
ぜ寄生に転じていかず、共生関係が成り立つのか。その
バランスを巧みに維持しているメカニズムはどんなもの
なのか。

たとえば、根粒菌と共生する植物にとって、根粒菌は「
チッソ、リン酸、カリ」のうちの窒素を供給してくれる
ので、ほかの植物が入り込めないやせた上地にも分布で
きる利益がある。一方で、根粒菌が空気中の窒素を植物
が使える形に固定するには、大量のエネルギーを消費す
る。そのエネルギーは、宿主である植物から供給される。
つまり、根粒菌がたくさん共生すればするほど植物はよ
く育つのではなく、あるバランスを越えてしまうと、自
身の生育が阻害されるほど根粒菌にエネルギーを吸いと
られることになる。関係は一気に、共生から寄生に変わ
る。


バランスを保つために、どういうシステムを進化させた
のか。最近の研究によって、マメ科植物は地下にある根
で、いまどれくらいの量の根粒があるかを知り、その情
報をいったん植物の地上部(シュート)に伝え、シュー
トから根粒を減らせ、あるいは増やせとシグナルが出る
ことがわかってきた。

この様に、植物の進化過程を考えることで、いままで思
っていたイメージが激変することになった。この次は、
同シリーズの『植物は感じて生きている』を通して植物
の培養のあり方を考えてみたい。



ちょっと物騒な情況になっているようだ。強面の評論家
(劇場評論)だけでなく、一国の総理大臣まで一線を交
える覚悟をしろと言いだした。東京都議選(7月12日)
の応援で訪れた麻生総理が、武蔵野市のJR吉祥寺駅前
で街頭演説し、弾道ミサイルの発射準備を進める北朝鮮
に関し、「我々は戦うべき時は戦わねばならない。その
覚悟を持たなければ、国の安全なんて守れるはずがない」
と述べ、制裁強化などで圧力を強める姿勢を強調し、そ
の返す刀で国際的警察行動に対する「海賊対処法案」に
反対する民主党の姿勢を批判したという(「対北、戦う
べき時は覚悟を」麻生首相が演説/6月7日19時31分配信
読売新聞)。




いま起こっている一連の動きは、(1)金正日専制体制
の後継(2)長期の経済停滞の深化(3)核拡散の3つ
の問題に集約できる。但し、(2)(3)は外貨獲得と
チョルノーブィリ事故再発防止と核ミサイル売却の問題と
が絡む。


開戦を決行するには最低限、盟友中国共産党の同意無し
には戦争遂行が不可能であり、中国共産党が賛同するこ
とは皆無に等しい(来年は上海万博開催年)。仮に、暴
発したところでたちまち国際世論の反対に見舞われ、直
ちに、わが国の国防軍及び国際連合軍により停戦、国際
裁判による制裁措置が迅速に執られる(政府の責任とし
てその道筋を周到に準備しておく)。


核ミサイル及び通常ミサイルの飛来の可能性は皆無とは
いえないが、仮にそのような事態に陥れば、前述と同様
に直ちにわが国の国防軍及び国際連合軍により防衛・停
戦。国際裁判による制裁措置を採る。


この時、北朝鮮の現体制は崩壊乃至は無条件降伏状態に
陥り、北朝鮮を一定期間国際連合による民主化の暫定政
権樹立に移行すると考えられる。これにより日本や中国、
韓国、米国、ロシアの政治経済の混乱や経済的損失は膨
大になることを覚悟する必要がある。


 Simone Weil

威勢のいい話には、太平洋戦争突入直前の日本から学べ
ば慎重にならざるを得ない。一線を越えることは当事国
々民に多数の死傷者がでる。故福田赳夫総理の「人命は
地球より重し」を言葉でなくイメージとしてはどんなも
のだろう。例えば、貨幣価値で換算すると世界の GDPの
5千兆円以上となり百名の国民が死亡したとしたら60京
円超となる。6ヵ国で按分すると8京円超/国となる。




金も食糧もない北朝鮮。唯一の核ミサイルと覚醒剤のさ
ばき先は、貧困国家諸国(イスラム圏)とやくざ組織の
み。「チェチェ主体思想」(民族民主国家イデオロギ)
を放棄せず乗り切るには、ベトナムに学び復興するのが
最善だろうと考える。容量が尽きかけている。万葉の昔
からある「ツツジ」。花言葉は「節制」「情熱」。勤勉
で優秀な北朝鮮の人民にこの花を届けたい。


 

コメント
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