灼熱の太陽浴びて立葵 吾にささやくコンフオーコ
■
新鮮な野菜を口に出来るにようになった。そのわけは野菜
の形の不揃いにある。安くて、安心なのは近くのJA(平
田町)の野菜館から買ってくるという。やれば出来るんだ
と感心する。
■
タチアオイ(立葵、学名:Althaea rosea、シノニム:Alcea
rosea)は、アオイ科の多年草。以前、中国原産と考えられ
ていたが、現在はビロードアオイ属(Althaea)のトルコ原
産種と東ヨーロッパ原産種との雑種(Althaea setosa ×Althaea
pallida)とする説が有力である。日本には、古くから薬用
として渡来したといわれている。草丈は1~3mで茎は直立
する。 花期は、6~8月。花は一重や八重のもあり、色は
赤、ピンク、白、紫、黄色など多彩である。本来は宿根性
の多年草であるが、品種によっては一年草でもある。タチ
アオイ」。花言葉は「単純な愛」「灼熱の愛」。
■
茹だるような真夏日和。玄関先の試験菜園の胡瓜も日差し
をさけるように縮こまる。それではいかんと発想記号を入
れ歌う。
■
TBSが最近変わったのではと思わせるような魅力をもっ
た番組構成や内容だ。ニュース番組も昔なら筑紫哲也一辺
倒なイメージも払拭されたし、金・土・日のゴールデン・
トライアングルの連続ドラマは他社を圧倒している。
■

陪審院制が結審し、死刑が求刑された。拘置所でのビトの
激しい自責感に苦しむそして控訴の取り下げを一馬に告げ
る。一馬はビトの冤罪を証明すべく誠一郎を探す。冤罪。
菅家利和さんや石川一雄さんの事件もあり、込み上げるも
のがあり、不覚にも大泣きとなった。『花より男子』も良
かったけれど男前だね。
■

「こうであったかもしれない」過去が、その暗い鏡に浮か
び上がらせるのは、「そうではなかったかもしれない」現
在の姿だ-長編小説『1Q84』の帯に書かれた言葉通り
この物語は男女ふたりの主人公が交互に展開する、まぎれ
もなく冴え渡った得体も知れぬ摩訶不思議な世界、村上春
樹ワンダーランドへようこそと。



■

天吾は持ってきた文庫本を取り出して読みかけたが、
少し迷ってやめた。彼は文庫本をポケットに戻し、ふ
かえりにつきあうようなかっこうで、両手を膝の上に
置き、ただぼんやり前方に目をやった。考えごとをし
ようかと思ったが、考えるべきことをひとつとして思
いつけなかった。しばらく『空気さなぎ』の書き直し
に集中していたせいで、頭がまとまった何かを考える
ことを拒否しているらしい。頭の芯にもつれた糸のよ
うなかたまりがある。
■
![]() |
黒い薄手の丸首セーターにヘリンボーンのジャケットを着
て、ベージュのチノパンツに茶色のハッシュパピーを履い
たもう一人の主人公天吾が、プリント地のコットンのワン
ピースの上に、分厚い冬物の草色のカーディガンを着て、
素足に色あせたグレーのスニーカーを履いた、読字障害(
ディスレクシア、Dyslexia)をもつ、ふかえりと中央線新宿
駅の立川方面行きプラットフオームで待合い、高尾行きに
乗り込んだシーンの描写への親和がとても印象的だ。翻訳
や物書き作業中ってよくあるという肯き ^^;。
■ Cold War
タクシーの運転手にも何かしら奇妙な印象があった。
彼が別 れ際に口にした言葉を、青豆はまだよく覚え
ていた。彼女はその言葉をできる限り正確に頭の中に
再現した。
そういうことをしますと、そのあとの日常の風景
がいつもとは少し追って見えてくるかもしれませ
ん。でも見かけにだまされないように。現実とい
うのは常にひとつきりです。
変わったことを言う運転手だと、青豆はそのとき思っ
た。でも彼が何を言いたいのかよくわからなかったし、
とくに深く気にはしなかった。彼女は先を急いでいた
し、ややこしいことをあれこれ考えている余裕もなか
った。しかし今こうして思い返してみると、その発言
はいかにも唐突であり奇妙だった。忠告のようでもあ
り、暗示的なメッセージのようにもとれる。運転手は
いったい何を私に伝えたかったのだろう?
■
青豆はここで「運転手」「ヤナーチェックの『シンフォニ
エッタ』が謎として脳裡に深く刻まれ回顧するシーンだが、
彼女は何かのテイジェント(特命官)らしき職業をもった
人間だということしか分からない。回顧は続き、連合赤軍
-浅間山荘事件-日本人拉致事件らしき時代背景が走馬燈
のように流れて、彼女にとって宿命的な1984年の空白
が『1Q84』として設定される。
警官たちが旧式のリボルバーを持ち歩いていたかつて
の世界と区別をつけるためにも、そこには独白の呼称
が必要とされている。猫や犬にだって名前は必要だ。
この変更を受けた新しい世界がそれを必要としていな
いわけはない。1Q84年-私はこの新しい世界をそ
のように呼ぶことにしよう、青豆はそう決めた。Qは
question mark のQだ。疑問を背負ったもの。彼女は歩
きながら一人で肯いた。好もうが好むまいが、私は今
この「1Q84年」に身を置いている。私の知ってい
た1984年はもうどこにも存在しない。今は1Q8
4年だ。空気が変わり、風景が変わった。私はその疑
問符つきの世界のあり方に、できるだけ迅速に適応し
なくてはならない。新しい森に放たれた動物と同じだ。
自分の身を護り、生き延びていくためには、その場所
のルールを一刻も早く理解し、それに合わせなくては
ならない。

現実世界とは、いわば気体の様な無秩序な意図的なベクト
ルの集合体であらゆる錯誤を繰り返すものである。個人が
或いは共同体のもつ確信は、個人の或いは共同体の幻想(
ふわりとしたもの)として振る舞い、想定されている調和
された世界と異なり、写像として個人或いは共同体に降り
懸かってくる。「不意打ちを食らわないように心がけなさ
い」とはいまは亡き、ピータ・ドラッガーの言葉と記憶し
ている。小説の作者の意図とは異なるがそのように思う。
五月晴れ 漱石が投げ 子規が打つ 加藤 武
■