極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

女郎花と色素

2009年09月16日 | WE商品開発


秋風に 女郎花揺れ 稲穂立つ 遠くに走る 車も涼し


 

  


【特命】アミロイドベータ蛋白(Aβ)を排除せよ

ファイル:COMPARISONSLICE HIGH.JPG

林原グループの林原生物化学研究所は9月8日、写真フ
ィルムの増感剤などに使われる感光色素の一種に、
アル
ツハイマー病
の症状を改善させる作用があることを、動
物実験などで確認したと発表した。新たな治療薬の開発
につながる世界初の成果。同研究所は「5、6年後の実
用化を目指したい」との新聞が流れる。




同研究所はこれまでにシアニン系感光色素の一種が神経
細胞を保護したり細胞の変成を抑制し、小脳変性症(
定疾患
)や
脳梗塞といった脳神経障害に効果があること
を動物実験などで確認。アルツハイマー病に対する効果
も調べていたという。

林原生物化学研究所がアルツハイマー病の改善効果を確認した感光色素

アルツハイマー病の症状を発症するよう遺伝子操作した
マウスに、感光色素を投与し実験。プールを泳がせ、水
面下の足場に到達する時間を調べたところ、無投与マウ
スが認知機能障害により、時間短縮できないのに対し、
投与マウスは1日ごとに短縮。3日目では約半分の時間
で到達し正常なマウスと同程度の結果が得られたという。


  amyloid β protein


File:APP processing.png

神経モデル細胞を使った試験管実験でも、アルツハイマ
ー病の原因物質とされるアミロイドβ(ベータ)ペプチ
ドを加えた場合、通常は約6割の細胞が死滅。色素を添
加すると、ほとんどの細胞が生存し、増殖するケースも
あった。こうした結果から、病気の進行を抑えるだけで
なく、改善させる効果が期待できるという。


 

 △Aβ(50μM)

 △Aβ(50μM)+NK-4(200ng/ml)

PC12細胞の核をHoechst 33258色素で蛍光染色した写真。

凝集させたAβペプチドを添加した細胞は核が凝縮・小
型化して大部分が死滅するが、そこにNK-4を共添加した
場合、核の凝縮がみられず2~3倍の生存率を示した。

社は医薬品・食品原料製造できる約2万種の感光色素か
ら「キノリン骨格3核シアニン(NK-4)」という色
素に神経細胞が傷つくのを抑えるほか、脳の認知機能を
改善する作用を発見したが、この色素は、すでにアレル
ギー性の治療薬にも使われている。

  NK-4構造式




感光色素とは、写真フィルムの増感剤やCD―R、DV
D―Rの記録材料などの工業用途のほか、免疫活性や抗
菌などの薬理作用を持つ色素もあり、医薬品や化粧品に
も使われている。



ところで、光の吸収あるいは放出は物質を構成する電荷
と光子の相互作用の結果である。電子のエネルギー準位
に相当する光の波長は多くの場合紫外領域に存在し、分
子の電気双極子の振動に相当する光の波長は赤外領域に
存在する。したがって、可視光を吸収あるいは放出する
色素となりうる化合物は少数である。


 分子軌道法(水素分子)

発色機構には、発色は電荷と光子の相互作用なので、量
子効率の高い物質では物質固有の特性である紫外吸収が
長波長側にずれたり、あるいは近赤外吸収が短波長側に
ずれると、吸収スペクトルの裾野が可視領域にかかるの
で、色として認識される。



 色素増感太陽電池

今日では有機色素の呈色の多くは、共役π電子系が置換
果によりその吸収スペクトルを移動させたり、吸収強
度を増大させることで物質の可視領域の吸収が増大して
呈色すると考えられている。一般に長大な共役π電子系
はより長波長側に吸収帯を持つ(「ウッドワード・ホフ
マン則
」)。


  日写「色素増感」で低価格実現

感光性色素がAβ蛋白にどの様に作用するのか?ヒトの
体を構成するそれぞれの細胞は、“同じ体を作る仲間”
と互いに認識しあう機能を持ち、この認識をつかさどる
物質として細胞膜表面の糖鎖-ゴルジ装置と呼ばれる細
胞内小器官で作られるが、細胞膜上の蛋白質は、ゴルジ
装置を通過するときに糖鎖が付加され、その後に細胞膜
に運ばれ、糖鎖の付加を行うのが糖転移酵素。糖転移酵
素は、ゴルジ装置の膜に埋め込まれて存在しているが、
一部の糖転移酵素は、ゴルジ装置の膜からタンパク質分
解酵素によって積極的に切り出され、細胞外に活発に分
泌されるが、糖転移酵素を切り出してしまえば糖鎖の合
成が停止する。この反応は糖鎖合成の重要な調節機構で
ある。

BACE1はシアル酸転移酵素を切断する

一方、アルツハイマー病を引き起こす原因物質と考えら
れるAβは、アミロイド前駆体蛋白質が、2種類の酵素
により2ヶ所で切断されて生じる。この酵素の切断作用
を抑えることによりAβの産生を低下させる作用が働い
たと考えられる。この様に、機能性色素(感光色素)と
バイオの相互分野の将来展開に期待するところが大きい。





女郎花しほるゝ野辺をいづことて一夜ばかりの宿を借りけむ

                 源氏物語/夕霧の巻


女郎花(Patrinia scabiosifolia)は、合弁花類オミナエシ科
オミナエシ属 の多年生植物。秋の七草の一つ。チメグ
サ、敗醤(はいしょう)ともいう。沖縄をのぞく日本全
土および中国から東シベリアにかけて分布している。夏
までは根出葉だけを伸ばし、その後花茎を立てる。葉は
やや固くてしわがある。草の丈は60~100cm程度。8~10
月に黄色い花を咲かせる。





 
ほど近き法の御山をたのみたる女郎花かと見ゆるなりけれ 

                    与謝野晶子


めっきり涼しくなり、秋風の揺れる女郎花に撓わに稔る
稲穂が広がる田園風景。遠くに走る自動車も陽を浴びな
がら涼しげに心地よさそうだと詠う。日本では万葉の昔
から愛されて、前栽、切花などに用いられてきた。漢方
にも用いられる。
秋の七草の「オミナエシ」。花言葉は「美人」
「親切」。


                                        
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