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極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

鉄砲百合と湯葉と比良

2009年09月23日 | 国内外旅行


香り立つ 鉄砲百合の相席に ご馳走(箸染)越しの 比良の山々


ファイル:Caspar David Friedrich 031.jpg melancholy


君待つと 我が恋ひ居れば 我がやどの 簾動かし 秋の風吹く

                        額田王 


秋風一夜百千年。共にする秋風の一夜は価百年、千年。春
は「花」(滝廉太郎)の歌詞に顕れるように、「錦おりな
す長堤(ちょうてい)に/くるればのぼる/おぼろ月/げ
に一刻も/千金のながめを何に/たとふべき」と対照的な
「紅葉」(高野辰之)の「 溪(たに)の流に散り浮く紅葉
/波にゆられて離れて寄つて/赤や黄色の色さまざまに/
水の上にも織る錦」の歌詞が自然と浮かび流れる。


IkkyuNM1.JPG


釈迦といふ いたづらものが世にいでて おほくの人をまよはすかな

                         一休宗純


とはいえ、秋は内省の季節、反省頻りでメランコリから非
定型鬱症に落ちるかと言えば、そうはならないだろうと楽
観している。刈り終えた田畑の秋風が頬を過ぎる時、人を
詩人に変えているからだが、気温の降下が影響しているの
ではないかとも思う ^^;。


 Caspar David Friedrich

精神分析学者ジークムント・フロイトは「悲しみ」(悲哀、
喪)と「憂鬱」(メランコリー)を区別した。愛する者や
対象を失って起こる悲哀の場合、時間をかけて悲哀(喪)
の仕事を行うことで、再び別の対象へ愛を向けられるよう
になる。これに対しメランコリーは、愛するものを失った
悲しみは悲哀と共通するが、「愛するもの」が具体的なも
のではなく観念で、対象を失った愛は自己愛に退行し、や
がて愛は憎しみに変わり、憎しみが高まり自責や自嘲が起
こるというが、フロイトはここに自殺の原因をも見ている。
現代の心理学では、憂鬱(メランコリー)の概念は鬱病
(デプレッション)と同義とされている。

梓みちよの画像 梓みちよ「メランコリー」




鉄砲百合(学名 Lilium longiflorum)は、ユリ目ユリ科ユリ
属の多年生草本球根植物である。ラッパに似た形の筒状の
花を横向きに咲かせる。丈が 50cm~1m 程度に生長し、楕
円形で長い葉をつけ、葉脈は水平方向に入る。花長は 10~
15cm、直径 5cmほど、花弁が6枚あるように見えるが根元が
つながり筒状。雌雄同花である。


cm1_movie.jpg 梅の花

母のショートスティで休養の彼女とクサツエストピアの「
梅の花」へ。シルバーウィークということで1時間ほど予
定時間より遅れ食事に。湯葉と豆腐の創作懐石料理店。そ
のため魚肉料理が極端に少ないコース「梅の花膳」をいた
だくことに。特に嶺岡豆腐(=牛絡:牛乳と生クリームを
葛で固めた物)は印象的。

200906umenohanazen.jpg

湯葉煮、茶碗蒸し、お造り(マグロと長芋合わせ)、とう
ふしゅうまい、湯豆腐、生麩田楽、湯葉揚げ、湯葉グラタ
ン、デザートなどフルコースで全カロリーで1140kcalと健
康的。「豆腐シューマイ」が気に入りテイク・アウトする
ことに。部屋から琵琶湖の西岸の比良山系が眺望でき景観
は抜群。夜になると夜景が美しいだろうと思いつつ歌を書
く。らっぱに似た花の「テッポウユリ」。花言葉は「純愛」。

200906tofu_shumai.jpg


Kawahagi.jpg Thread-sail filefish

東シナ海、黄海、渤海から日本海にかけて分布するエチゼ
ンクラゲにウマズラハギ、皮剥という天敵がいるとは知ら
なかった。ウマズラハギは皮剥に比べ味が劣るといわれて
いるが実感はない。刺身は河豚に似ているが河豚以上に美
味しい。ならば養殖ということだが、共食い対策、食餌方
法で収量を大きくすれば問題ない。実際、養殖ものの方が
肝が美味しい言われているので、食糧とクラゲ繁殖抑制の
両面で「システム生育」事業として有望だ(河豚毒禍の心
配はない)。

Nemopilema nomurai1.jpg Nomura's jellyfish

それじゃ、エチゼンクラゲを食用化出来ないかというと、
「エチゼン=福井」のイメージダウンを逆手に、巨大クラ
ゲをキャラクター化し、福井県立小浜水産高等学校と北陸
ゆつぼ本舗との共同研究し「えくらちゃん」クッキーを、
また、越前本舗では「潮 羽二重餅」を開発販売している。
旧聞だが理化学研究所と信和化工株式会社は糖タンパク質
のムチンを発見し医薬品としての研究開発を行っている。

 

 クウムチンの繰り返し構造


技術が確立したら中国現地で共同事業化すれば良いではな
いかと思う。矛盾があるから進歩を育む。そうポジティブ
に考えていくと面白いではないか、実に面白い。


 ハスズシ

冷蔵庫などなかった古代に動物性タンパク質の保存の知恵
として生まれた。コイやフナなどの川魚に飯を混ぜ、重石
をして数ヶ月〜数年保存する。乳酸発酵作用によって酸っ
ぱくなり、飯は半ば流状化してしまうので、魚のみを食べ
る。これが古い形のナレズシである。くさややドリアン同
様、異臭食品で、慣れないと独特の臭気が鼻を突くが、食
べ慣れると臭気を感じにくくなる(ボツリヌス菌が繁殖し
やすいので注意が必要)。


 へしこ

実をいうと、宮世話での話題として必ずといって良いほど
なれ鮨の作り方が話題となる程好きな連中が多い。なれず
しは「ホンナレ」と「ナマナレ」、中間の「ハンナレ」に
分類でき、漬け込んだ米を食べるか食べないかという点で
も異なる。ホンナレでは漬け込む期間が長く、魚の体内体
外に一緒に漬け込まれた米が乳酸発酵によって流状化して
米粒の実体がかなり失われることもあって、米は食べない。
ナマナレは漬け込む期間が短く、魚と一緒に漬け込まれた
米が流状化する前に米も魚と共に食する。


Surströmming

それでも、メジャーになれないのは独特の臭いと骨など食
べにくさが障害となっているから。仲間のひとりがハスズ
シの試作を家から持ってきたので試食。味はそこそこで問
題ないが、堅さのムラと食べ難さが問題となる。(1)作
り方の技量はそれこそ、熟れ(ナレ)の問題だが、(2)
食指をうながすには、前発酵及び発酵プロセス開発(香り)
が課題ということで、またの寄り合いの話題に。
 

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コメント
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