『フレイルティー妄執』
FRAILTY(2001年アメリカ)
監督 ビル・パクストン
脚本 ブレント・ハンレイ
出演 ビル・パクストン
マシュー・マコノヒー
マット・オリアリー
パワーズ・ブース
■ストーリー■
「神の手」というメッセージを残す連続殺人犯を追うFBIのダラスの捜査本部に、ある嵐の夜、犯人を知っているという若者フェントンがやってくる。犯人は弟のアダムだという。犯行後、アダムは自殺したという。そして捜査本部のドイル捜査官になぜアダムが殺人犯になったのかを語りだす。それは兄弟が子供のころまでさかのぼる話になるのだった…
兄弟がまだ幼いころ、ごく普通の優しい父親が、神のお告げを受けたから父子3人で悪魔を殺そうというのだ!(←んなムチャな)で「悪魔を倒す聖なる武器も授かったぞ!」って手に入れたのが農場に忘れ去られたような斧と手袋!兄のフェントンは人を殺しちゃダメだと思うのだが弟のアダムは父親の影響をうけていく…
□■□ネタバレあり!□■□
■感想■
ビル・パクストンが監督、主演のホラー映画です!父親役を演じてます。
いかにも普通の人そうなビル・パクストンが父親役だと、今作のように、おかしなコト言い出しても
「正気を取戻して、早くこっちの世界に返ってきて!!」って思いますもんネ。
これが父親役にキャスティングされたのがジャック・ニコルソンだったら
「あッ、もうムリムリ!!絶対ムリ!!向こうの世界に行っちゃって、絶対にこっちには戻って来ないヤ、ハハハ」って思っちゃいますもんね。
このキャスティングだけでも、今作はもうかなりのレベルで成功してます!!!ビル・パクストンみたいな普通の人に見える人が父親役じゃないと、主人公の兄弟に感情移入出来ないですもんね。
ところで、今作のうたい文句は
“ホラーの帝王、スティーブン・キングが絶賛し、死霊のはらわたのサム・ライミが驚愕した禁断のショッキングホラー!”
ですけど、
この宣伝コピーに、一切偽りなしの面白さです!!!
まぁ、でも人気作家スティーブン・キングって基本的には“THE B級ホラー映画大好き”だから、普通の映画ファンには、あんまり当てにならないんですけどネ(←ホメテますヨ~)。
『羊たちの沈黙』(1990年)以降、ブームになった良くありがちなサイコスリラーなのかなぁ??な~んて油断して観てると、ラストで、メチャクチャなカウンターパンチに出くわします!!
こういうサイコスリラー的な映画やらオカルトホラー映画やらが好きな人で、察しのいい人は途中で、
「もしかするとそうなのかなぁぁ?」
とか思うだろうけど、ホラー映画じゃなくて
「まさかネ、ごくごく普通のサイコスリラーだもんねぇ」
とか思って観てる方が、勝手に自分の中で否定しちゃうんですけど、サイコスリラーじゃなくて、ラストに向かって行くと、まさかのホントのオカルトホラーになってしまうんだから超超超ビックリ!!
サイコホラーと思わせておいて、ホントのオカルトホラーだとはッ!
“神のお告げ”や“天使”や"聖なる武器”がホントだなんて誰が想像できるんだ!っていう感じです!!!超ビックリ!!もう低予算ホラー映画のお手本みたいな作品です。お金が無いならアイデアで勝負しろ!!って感じです!
今作の場合、最後の最後まで、父親やフェントンたちが正しかったのか、それともおかしい人たちだったのかわからないままにしておくというストーリー展開もアリですけど、今作のように、ちゃんとタネ明かししちゃった方がインパクト1000倍強くて良いです!!!
聖なる武器が“うす汚れた斧と汚い手袋と縄”だとか、父親が見る天使がスゴイ形相してたりしてて、また、その天使が父親の見た幻なのか本物なのかわからないようにしてるあたりとか、観てる観客をだますように良く良く出来てます!!
いくつもミスディレクションをかいくぐってこういう展開になるなんて思った人は、よっぽどヒネクレ者でしょ。
駐車場で普通のおじさんを誘拐するとき、父親が兄弟に「正しいことをしているから目撃されない!」とかいう意味のこと言いますけど、それがFBI捜査本部のビデオテープの映像が聖なる力が働いて画像が乱れることで証明されるんですからネ。そういう伏線もバッチリです!!
ミステリー映画ファンにもおすすめの1本。100点
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